「ヒッチコック劇場 第1話~第6話」

ネタバレあり

4月頃からNHK-BS2が放送を始めたので、DVDに保存し、少しずつ鑑賞している。が、既に二度撮り損なってがっかりしちょります。

僕は年寄りぶっているが、実は意外と若くて(笑)さすがに本放送は見ておらず、1980年頃に日本テレビが1957年から放送したもの(計208本)の一部を再放送したのを見たことがある(再放送局名は不明)。
 今回NHK-BS2が扱っているのは、69年にTBSが放送した27本の一部と忠実リメイクの「新・ヒッチコック劇場」からの放映だと思う。

どの作品も眼目は落ちで、いかに最後まで巧みな話術で持たせるかということに尽きる。中途がだらだらすれば落ちは効いて来ないのは言わずもがな。

ヒッチコックも20本に一つくらいは演出していたが、TVの若手に任せることが多かったので、演出的に特別凄いというものは殆ど見当たらない。脚本家では「チャーリーとチョコレート工場」で一般にも知られるようになった推理作家ロアルド・ダールのものが好みだった。

本編とは別にヒッチコックが最初と最後に作品のテーマに関して妙なセットの中で飛ばすジョークが楽しみ。本編より面白いものもあったかもしれない(笑)。
 テーマ曲も有名でしょう。

本シリーズの影響を受けるか、触発されるかしたと思われるのは、「ミステリー・ゾーン」や「夜にも不思議なアメージング・ストーリー」、我が国の「世にも奇妙な物語」などが挙げられると思う。「アメージング・ストーリー」シリーズは何本か観たが、残酷趣味でげんなりさせられるものが多かった。

参考までに星をつけておきますが、映画評と違って評価の基準はお話の面白さと思ってください。


第1話「65歳の花婿」The Pearl Necklace・・・アメリカでの通算第220話(1961年)
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
監督ドン・ウェイズ
脚本ルー・ショー、ペギー・ショー

病気持ちの65歳の富豪アーネスト・トルークスが25歳の秘書ヘーゼル・コートに求婚する。彼女が恋仲のジャック・キャシディにそのことを告げると、遺産目当てに老人と結婚しろと言う。病気で長持ちするまいと思っていたのである。
 それが1年持ち、5年、10年、そして25年の月日が経ち、彼女は夫に愛情を持つようになる。そしてその死後、今は金持ちに成った彼女が、少年時代から世話を見ていたキャシディの息子マイケル・バーンズと懇ろになり、20歳以上も年下の彼と結婚すると宣言する。

欲をかいた男が自ら強いた手法でぎゃふんと言わせられる皮肉で、夫が妻のほうに真珠を転がすショットと1年ごとにネックレースの珠の数が増えていくショットの繰り返しが絵的に面白い。
 演じたジャック・キャシディはデーヴィッドとショーンのキャシディ兄弟の父親。


第2話「いとしき誘拐」A Crime for Mothers・・・アメリカでの通算207話(1961年)
☆☆☆★(7点/10点満点中)
監督アイダ・ルピノ
脚本ヘンリー・スリーザー

ロバート・サンプスンとパトリシア・スミスの若い夫婦は酔いどれ女クレア・トレヴァーの娘を我が子として育てている。突然現れたクレアは金をゆすろうとしたが巧く行かず、ヤクザな弁護士の口車に乗って誘拐を敢行するが、その誘拐には裏があったというお話。

実は弁護士は若い夫婦の友人で、誘拐した娘と実の親子であり、懲らしめる為に協力したという種明かしで、自分の娘も判らない女には金儲けもできませんよ、という皮肉。
 酔いどれ女を演じたクレア・トレヴァーは「駅馬車」の莫連女で知られるが、大分お年を召していた。監督をしたアイダ・ルピノは女優でもあります。


第3話「あとのまつり」You Can't Trust a Man・・・アメリカでの通算第221話(1961年)
☆☆☆(6点/10点満点中)
監督ポール・ヘンリード
脚本へレン・ニールセン

前歴を隠してのし上がった歌手ポリー・バーゲンが着服事件で長期服役していた前夫ジョー・マロスに過去をネタに脅迫されて車で連れ出されるが、逆に用意周到に射殺してしまう。暴発事件として一件落着するが、前夫は電気製品の発明で特許を取っていたと知らされ、がっかり。

彼女の行動は順調に行き過ぎるが、22分の長さでは仕方があるまい。落ちも唐突なので、さほどのインパクトにはならない。


第4話「ノックアウト」The Throwback・・・アメリカでの通算第211話(1961年)
☆☆★(5点/10点満点中)
監督ジョン・ブラム
脚本ヘンリー・スリーザー

ジョイス・メドウズを巡って若い恋人スコット・マーロウが、彼女が付き合っている年配の男シリル・ハーディーンと談判しに出かけるが、ちょっとした運動施設を持っている彼の罠に嵌ってしまう。

罠を仕掛けた男がそのまま勝つ、というストレートな展開なので、意外性が足りないと言わざるを得ないですかね。


第5話「共犯者」A Woman's Help・・・アメリカでの通算第215話(1961年)
☆☆★(5点/10点満点中)
監督アーサー・ヒラー
脚本ヘンリー・スリーザー

病気の妻ジェラルディン・フィツジェラルドを甲斐甲斐しく面倒を見ている夫スコット・マッケイが実は愛人でもあるアントワネット・バワーを看護婦として雇う。ミルクに少しずつ薬を混ぜて暗殺を謀りかけた時に逢い引き場面を見られてしまう。妻は彼女を解雇し、老婦人を雇って夫に向けて哄笑するが、夫は一枚上手だった、というお話。

つまり、老婦人は彼の母親で、彼の指示通りにミルクに薬を入れることを約束する。
 怖いですねえ、と言いたいところだが、脚本家スリーザーが用意した落ちが彼自身の「いとしき誘拐」と同じ家族協力なので余り面白くない。
 夫が老婦人と最初に会う場面でいかにも初めて会った、という印象を与えるのはもっとまずい。妻と一緒に観に行く設定なら「初めて会う」振りをする意味があるが、観客しか見ていない状況ではトリックの為のトリックになってしまうのである。


第6話「求人難」Servant Problem・・・アメリカでの通算第225話(1961年)
☆☆☆★(7点/10点満点中)
監督アラン・クロスランド・ジュニア
脚本ヘンリー・スリーザー

作家ジョン・エメリーが婚約者ジョーン・ハケットの家族と出版人夫婦を招いてパーティーを開いている時に、何十年も前に捨ててきた妻ジョー・ヴァン・フリートが突然現れて、彼を慌てさせる。
 翌日談判しにアパートを訪れ、激昂して絞殺してしまうが、現場を出版者の妻に見られて一巻の終わり。

またまたスリーザーの脚本だが、これはなかなか面白い。<部屋に隠れる>という行為が前半と後半で全く別の意味を持つという着想の面白さである。
 ジョー・ヴァン・フリートは「エデンの東」でキャルの母親を好演した名女優。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

fujisan
2007年07月22日 15:38
また、来てしまいました。
本放送で見たのは、1時間ものでしたが(40数年前)
始めとCMの前、終わりに出て来るヒッチコックが面白くて楽しみでした。声を熊倉一雄氏がされていたのですが、これがまたひょうきんというか、たんたんとしゃべるのですがなんとも味があってベストマッチでした。
2007年07月23日 09:43
おはようございます^^

【【お誕生日、おめでとうございます!】】

「イノセント・ボイス」より、プロフェッサーのお誕生日祝いはヒッチコックがふさわしいだろうと思い、こちらこメッセージを^^

私も再放送で観ていた口で、熊倉一雄の吹き替えによるヒッチコックのジョーク(時には一人コント)を楽しみにしておりました(笑)
もちろん、いくつか忘れられない話もあり「65歳の花嫁」も、そんな中の一本です。
資産家との歳の差結婚。ありがちな話は、愛人と共謀して資産家を殺す展開。ところが本作は、見事に視聴者の思惑を外してくれます。

すぐにでもクタバリそうな資産家が10年、20年としぶとく生き延びる。ご指摘の通り、記念日ごとに増えていくネックレスの真珠で、時の経過を端的に表すあたり、実に気の利いた仕掛けでしたね。
歴史は繰り返す・・・の言葉通り、なんとも皮肉な結末が、実に面白い作品でした。
2007年07月23日 09:45
(続きです)

もっとも、ヒッチコック劇場とは名ばかりで、ヒッチコックが演出に携わった作品は少ないわけですが、それは「オーソン・ウェルズ劇場」も同じ(笑)
要はヒッチコック風サスペンスを眼目にしたシリーズで、作品ごとの出来不出来はあるものの、総じて良質なドラマだった印象です。

今、誰かの名前を冠して、ドラマのシリーズを作るとすれば誰なのでしょうかね。日本でも「木下恵介劇場」ってのがありましたが。
アメリカでは「スピルバーグ劇場」、日本だと「山田洋次劇場」・・・プロフェッサーのお誕生日を考慮しつつ(笑)
個人的には「メル・ブルックス笑劇場」とか「黒沢清・恐怖アワー」なら観てみたいかな・・・って思います(笑)
オカピー
2007年07月23日 18:30
fujisanさん、ようこそ。
返事が送れてすみません。

>熊倉一雄
そうですね。あの太った体でとぼけた表情がぴったりでしたね。
最初は熊倉氏にも触れようと思ったのですが、敢えて書きませんでした。
fujisanさんにコメントして戴いて、丁度良かったです。

遠慮なさらずに、またいらしてくださいね。
オカピー
2007年07月23日 18:54
優一郎さん

どうも有難うございます。
もう誕生日にケーキは出てきませんが、今年は景気が良くて配当がかなりもらえそうな予感(爆)。

>65歳の花婿
昔ヒッチコックが編み出した、時間の流れを端的に示す演出(例えば、ポスターが徐々に破れていき、そこに景色の変化を加える)が応用された感じで、映像的にも大変楽しめた作品です。
他の作品は映像的に「やられた」というのがちょっとありません。

>山田洋次劇場
冠だけで結局ご本人はなかなか監督まではやらないんですよね。
監督が脚本のいずれかに参加するなら毎週見ますね。^^

>黒沢清
「CURE」は映画史に残る傑作と思います。^^)ゞ
カカト
2007年07月25日 12:11
最近は映画よりヒッチコック劇場ばかり観ている私です。
「あらすじの紹介をしてみては?」というアドバイスを貰っていながらなかなか実行に移せずにいましたら、オカピーさんが先に書いてくださいました。
これでますます私の筆不精が加速しそうです~・笑

ご存知かもしれませんが、熊倉一雄さんは、「長文になりがちの日本語で、ヒッチコックのユーモアを伝えるために体言止めで話すことを思いついた」と記事に書いてました。
あの体言止めの話し方が良いリズムになってますよね。
オカピー
2007年07月26日 00:52
カカトさん、こんばんは。

大事な落ちまで書くのはどうかと思いましたが、読まれる人は既に鑑賞済みだろうという仮定の下に簡単に書いてみました。
お母様はごゆっくりしていらしてください(笑)。

熊倉一雄氏のお話は聞いたことがあるような気が致しますが、ご紹介有難うございました。
日本の吹き替えは昔から優秀ですよね。

この記事へのトラックバック