映画評「千姫御殿」

☆☆★(5点/10点満点中)
1960年日本映画 監督・三隅研次
ネタバレあり

余り気乗りしない題材だが、ご贔屓の三隅研次なので観ることにした。

徳川二代将軍秀忠の娘で豊臣秀頼と政略結婚させられた千姫が、燃え盛る大阪城から救い出した坂崎出羽守との婚約を反故にして本多家にお輿入れするが、それを恨みに思った出羽守が邪魔立てしようとして殺される。

という有名なエピソードは回想形式で紹介されるが、千姫色情狂の噂を織り交ぜ時代に翻弄された千姫の悲恋が展開するメロドラマ時代劇。

若い大工が本多家の御殿に招かれた後殺されて池に棄てられた事件を発端に、同じような事件が続いた後、招き入れられた幸若舞の得意な若侍・田原喜八郎(本郷功次郎)に千姫が恋をする。
 彼の正体は隠密だが、本分を忘れた為に彼は切腹を言い渡され、幕府安泰の為千姫は出家を強要される。

三分の二くらいまでは型通りのお姫様映画で一向に面白味がなく、動きと構図の面白さで見せる三隅監督らしさを発揮せずに終るのかとがっかりしていたが、終盤辛うじて実力の片鱗が伺える。
 つまり、侍女・如月(山田五十鈴)が出羽守の姉で、千姫について讒言し亡き者にしようと画策していたことが判明し、片や出羽守一味と挌闘する田原と、片や如月に襲われる千姫とをカットバックで捉えるシークェンス、それに続いて切腹する田原と剃髪される千姫のカットバックは本作の中では覇気がある部類で一応楽しめる。田原への介錯の刀と切られた千姫の髪を一種のマッチカット(下の画像参照)として繋ぐアイデアも面白い。

画像

このカットバックにより権力に翻弄された二人が【連理の枝】の如く結ばれている印象が強められる。田原の文(ふみ)が読まれる幕切れは些か冗長だが、カットバックの積み重ねで相当盛り返した。

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