映画評「ピンクパンサー」

☆☆(4点/10点満点中)
2006年アメリカ映画 監督ショーン・レヴィ
ネタバレあり

毎月三、四本のリメイク作品を観るが、こちらは余り歓迎したくない部類。
 本編は、延々と続編が作られたが、主演のピーター・セラーズは芸歴を狭められ、監督のブレイク・エドワーズも才能を潰した、とセラーズ自身が認めるくらい泥臭い喜劇シリーズだった。本シリーズを巡るセラーズとエドワーズの確執は「ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方」で軽く描かれているので、是非参照してください。

セラーズの代りにクルーゾー警部を演ずるのはスティーヴ・マーティンで、むやみに物を壊すズッコケぶりを踏襲している。しかし、例の帽子は被っていない。

サッカーのフランス代表チームの監督がフィールドで毒矢を撃たれて殺され、身に付けていた巨大な宝石<ピンクパンサー>が消える。
 警視ドレフュス(ケヴィン・クライン)がこの事件の為に無能な警官クルーゾーを警部に昇進させる。彼がへまをしている間に事件を解決して栄誉を独占する算段で、相棒に付けられるのはジャン・レノ扮するポントン。
 被疑者は監督の愛人である歌手(ビヨンセ)や確執のある選手やコーチ、事業に金を出していた中国人である。

泥臭い笑いは変わらず、<フランス語風英語>も踏襲されているが、中盤の【アンバーガー】騒動は本当のフランス語をベースにしていればもっと笑えたはず。物を壊しまくり人を負傷させるばかりというパターンは、繰り返しで飽きる以前に、レベルが低すぎる。

ズッコケしか能がないと思われた警部が実は中国語に堪能で、最後にいきなり名探偵ぶりを発揮するのは、いくらズッコケ喜劇とは言えども附に落ちず、調子が良すぎて手抜きという印象を免れない。

マーティンよりアニメのピンクパンサーが☆一つ分の貢献。この出来でも続編は作られるのだろうか。

室温は 30度なれども 我が部屋に ピンクの豹の 秋(飽き)は来にけり

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この記事へのコメント

2007年06月04日 15:44
まったく笑えない喜劇を2時間見せられるのも
いかにシンドイものかを改めて痛感させられた本作。(笑)
たいしたことないホンを仰々しい表情とオーバーアクションの
連発で演じてる役者さん、あれで面白かったのかしらん。^^

「ライフ・イズ・コメディ~」は未見ですが
キートン、チャップリンをはじめ勿論セラーズもそうですが
人を笑わせる名人は超!偏屈、超!無愛想、超!変わり者の素地が
人並みはずれて持っていなければならないと私、思ってますの。
元祖ピンク・パンサーだって内容自体はさほど面白いものでは
なかったけれどセラーズ、彼のあのキャラだから
あのようにウケたと。
オカピー
2007年06月04日 18:38
viva jiiiさん

喜劇にも色々ありますが、このシリーズはキートンや初期チャップリンのスラップスティック・コメディーに感覚的には近いものですよね。
登場人物は真面目なのに彼の行く先破壊が行われる。キートンはニコリともせずにそれをやりのけたのでシュールさが際立ちました。
喜劇人セラーズの持ち味は掴み得ていませんが、少なくともクルーゾー警部は典型的な無表情型でしたね。その辺りのギャップがキートン同様に面白かったかもしれません。
しかし、このシリーズ、キートンやチャップリンのように機知がなかったんですわ。マーティンはクルーゾーではなくて、コナイゾーといった顔ですな(意味不明)。

変幻自在で売ったセラーズ。
「ライフ・イズ・コメディ!」はそこを大いに利用して二重構造的に巧妙に作られた秀作だと思ったのですが、余り評判にならなかったようです。日本の批評家も洒落っ気がなくなった。

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