映画評「ティファニーで朝食を」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1961年アメリカ映画 監督ブレイク・エドワーズ
ネタバレあり

「ピンク・パンサー」シリーズはブレイク・エドワーズの才能を浪費させたと思うと先日の「ピンクパンサー」リメイク映画評で書いたが、実際、第一作「ピンクの豹」の前には「酒とバラの日々」や本作のような秀作も放っていた。
 原作は早熟トルーマン・カポーティの同名小説(26歳の時の作品)。

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ニューヨークのアパートに拾った猫と暮らすホリー(オードリー・ヘプバーン)が下の階に越してきた若い作家ポール(ジョージ・ペパード)と親しくなる。シンシン刑務所で服役している麻薬シンジケートのボスと会うごとに100ドルを稼ぐという変な女性(コールガール)だが、実は影もある。青年は14の時に家出した彼女の前に現れた年配の夫との別れを見守ったことから彼女への愛情を芽生えさせるものの、ブラジルの富豪と結婚すると言い出した彼女の天衣無縫さに翻弄されてしまう。

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僕は常々オードリー・ヘプバーンを【都会の妖精】と形容しているが、この作品のホリーはニューヨークに住み、天衣無縫で謎がいっぱい、正に典型的と言うべき魅力満開。
 実像は14才で中年獣医と結婚してすぐに家を飛び出し、「マイ・フェア・レディ」のイライザと同じく訛りを直された田舎っぺ。家出の理由は彼女自身が再会した夫への別れ言葉の中で「傷ついた動物は直ると籠から飛び出てしまう」と何気なく分析している。自由を満喫しているようで、棄てられた猫に孤独な自分を見出している。
 それ故に、どしゃぶりの雨に猫と共にずぶ濡れになる結末は恋愛映画のクラシックなハッピーエンドを超え人間的に胸を打つものがあるのである。

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この幕切れと並んで素晴らしいのは、タイトルバックの人がまるで見えないニューヨーク早朝の風景で、映像的にはここが一番良い。映画は開巻が大事なので、快調な滑り出しと言って良いのだが、その直後に出て来るミッキー・ルーニー扮する日本人は日本人には笑えず、彼がいきなり物にぶつかり回るのは「ピンク・パンサー」的ギャグの原形で、苦笑するのがやっと。

しかし、折々紹介されるエピソード群に面白いものが多く、特に万引き騒動はエドワーズの呼吸が良い。おまけで付いてきた指輪の扱いも半ば狂言回し的で巧み。

二人に挟まれて苦しそうニャン、とうちのいたずら小僧・斎藤もすけ(猫です)が申しておりました。

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この記事へのコメント

2007年06月28日 18:34
わぁお~~~ん、にゃんともビューチフォーなオードリーの
映画UP、ありぎゃとうでごにゃりまするニャン^^♪
わたいがブログ始めて4つめの'05,8,8,13:00:21にUPした、
にゃんともお粗末な記事、持参しましたニャン。(^^;)

早朝の“ブレックファースト”、窓辺のギター、ヘンな
出ッ歯メガネの日本人とベッドの上のでかい提灯風ランプシェード、
で、ティファニーの店員、大根ペパード、雨の中の抱擁、
そして茶トラの猫クン・・・どれをとっても映画的ロマン
満載のラヴストーリーの名作ざますね。

あぁ~~~~~ん、大根ペパードのパトロン、パトリシア・
ニールについてひっとこともプロフェッサーったら
書いてくれてにゃ~~~~い!(しくしく・・・)
オカピー
2007年06月29日 02:58
viva jiji姐さん、こんばんは。

おお、最近のに比べると随分シンプルな記事だニャン。
これぞロマンティック・コメディだニャン。
コールガールがそれらしく見えないから却って良いのだニャン。^^)

と、うちのもすけが言っているかどうかは知りませんが、パトリシア・ニールの件は申し訳ないごわす。
何度も観ているこの作品を観始めた時、序盤に彼女が出てきたので何と書こうかと思っているうちに、すっかりオードリーに夢中になってしまったでごわす。^^;
オードリーは演技を超えた魅力なので別格として(笑)、パトリシアは唯一しっかりした演技を披露しましたね。「摩天楼」も良いけど、「ハッド」も印象に残っておりますですよ。

>ペパード
ハンサムなようでよく見ると変な顔かもと思っていました(笑)。
60年代人気のあった男優さんです(誰に言っているんだ?)。「大いなる野望」なんてのが一番頑張ったのではないでしょうか。「ブルー・マックス」が一番格好良いですが、戦争映画はお嫌いでしたね?
2008年01月09日 23:09
オカピー様,コメント有り難うございました.

主題歌の「ムーン・リバー」は愛唱歌でした.
と言ってもアンディ・ウィリアムスのヴァージョンでしたが.

歌の意味は未だに謎です.
誰か見事に訳してくれないかしら.
オカピー
2008年01月10日 03:15
ほんやら堂さん、こんばんは。

>ムーン・リバー
おおっ、そうですか。
私が訳しましょうか(それで収入を得ることもあります)。
そもそもタイトルのMoon Riverからして解らない、詩ですけどね。あははは。
オンリー・ザ・ロンリー
2008年09月02日 12:14
実はポール・ニューマンやマーロン・ブランドから「嫌みの毒気」を抜いた感じの(!)G・ペパードは「西部開拓史」(大物スターの中でよくやった、エライ、笑)以来期待したのにアーシュラ・アンドレスくらいからおかしくなり、おまけにデブに。今いずこ?。
オカピー
2008年09月02日 20:18
オンリー・ザ・ロンリーさん、こんばんは。

>ポール・ニューマンやマーロン・ブランドから「嫌みの毒気」を抜いた感じ
なるほど~。骨相学的にはブランドに似ているかな。
役者タイプとしてはデビュー当時のロバート・レッドフォードみたいなので、RRが駆逐したと勝手に思っておりまする(笑)。

>アーシュラ・アンドレス
ちゅうことは「ブルー・マックス」ですかね。
空中戦は好きでしたが、映画としては大したことはなかったかな。

>今いずこ?
暫くはTVで頑張っていましたが、15年くらい前に亡くなっています。合掌。

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