映画評「イベリア 魂のフラメンコ」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2005年スペイン映画 監督カルロス・サウラ
ネタバレあり
カルロス・サウラの、フラメンコを中心にしたダンス映画群がコンスタントに日本に輸入されるところを見ると、日本人のダンスへの理解も徐々に増してきたということになるようだ。
タイトルの「イベリア」はスペインの国民楽派作曲家イサーク・アルベニスのピアノ組曲で、12の楽曲から構成されているが、何曲かは聞き憶えがある。それをマノロ・サンルーカル(フラメンコ・ギタリスト)といった演奏家たちが編曲して伴奏しているのだが、フュージョン風で聞きごたえがある。
前作「サロメ」は擬似ドキュメンタリー風の趣向に始まり、ダンスが展開するうちに知らずサロメの物語に惹き込むといった構成だったが、本作は「サロメ」に主演したアイーダ・ゴメス、サラ・バラス、アントニオ・カナーレス、ホセ・アントニオといった名ダンサーの練習風景を収めた純粋なドキュメンタリー。
学術的なものではなく、ひたすらフラメンコやフラメンコの趣を残すモダン・バレエ、ジャズ・ダンスといった踊りの芸術的収録に徹している。
<練習>と言っても完成度が高く、途切れずに展開しているので見応え十分、官能的で圧巻と言うべきパフォーマンスが続くが、ゼンタイズムを思わせる演目まであり、かなり多種多様。サウラのことだから<練習>に見せかけた実演なのだろう。個人的には女性ダンサーのほうが興味をそそられる。
ダンス・パフォーマンスは実際に観るに如かずだが、寒暖色の照明を駆使し、踊っている人物の背後に映像設備を用意して本物と重ねる演出も面白い。
でかいスクリーンで観たかったなあ。
2005年スペイン映画 監督カルロス・サウラ
ネタバレあり
カルロス・サウラの、フラメンコを中心にしたダンス映画群がコンスタントに日本に輸入されるところを見ると、日本人のダンスへの理解も徐々に増してきたということになるようだ。
タイトルの「イベリア」はスペインの国民楽派作曲家イサーク・アルベニスのピアノ組曲で、12の楽曲から構成されているが、何曲かは聞き憶えがある。それをマノロ・サンルーカル(フラメンコ・ギタリスト)といった演奏家たちが編曲して伴奏しているのだが、フュージョン風で聞きごたえがある。
前作「サロメ」は擬似ドキュメンタリー風の趣向に始まり、ダンスが展開するうちに知らずサロメの物語に惹き込むといった構成だったが、本作は「サロメ」に主演したアイーダ・ゴメス、サラ・バラス、アントニオ・カナーレス、ホセ・アントニオといった名ダンサーの練習風景を収めた純粋なドキュメンタリー。
学術的なものではなく、ひたすらフラメンコやフラメンコの趣を残すモダン・バレエ、ジャズ・ダンスといった踊りの芸術的収録に徹している。
<練習>と言っても完成度が高く、途切れずに展開しているので見応え十分、官能的で圧巻と言うべきパフォーマンスが続くが、ゼンタイズムを思わせる演目まであり、かなり多種多様。サウラのことだから<練習>に見せかけた実演なのだろう。個人的には女性ダンサーのほうが興味をそそられる。
ダンス・パフォーマンスは実際に観るに如かずだが、寒暖色の照明を駆使し、踊っている人物の背後に映像設備を用意して本物と重ねる演出も面白い。
でかいスクリーンで観たかったなあ。
この記事へのコメント
拙記事にもありますがTV画面よりはましな71席の小劇場
(息子の演じる芝居小屋より小さいの・笑)で観ましたわ。
ミュージカルや音楽やこの手の舞踏ものは
「盆栽」と「森林」ぐらいの差異を感じながら
プロフェッサーでしたら思いっきり想像力を
ふくらませてご覧になっているのでしょうね。
当方もあの劇場の小さなスクリーンでは可哀相とは
観始め思いましたが、いつのまにかあの素晴らしい
躍動感と魂の舞いに埋没し魅了されました。
私もこれはDVDでのみ鑑賞ですわ。「サロメ」が、自分にとっていまひとつ消化不良気味だったので、この作品は心から楽しめました。
ゴメスの踊りは、変なインターバルをおかず通して見せて欲しいと思ってしまうので…。
ゴメスの踊りは言葉もありません!よくもまあ、あれだけ自分の意思通りに身体が動くものだと感心すらします(笑)。
「サロメ」の7つのベールの踊りのフィニッシュで、彼女、バタフライ一丁になりますでしょ。一瞬露になる肉体のなんと美しいこと!鍛え上げられたダンサーの身体ですよね。
姐さんはそれでもスクリーンでご覧になられたのですね。そりゃラッキーですよ。ああ、私もでっかいスクリーンで観たかったなあ…。とほほ。
DVDも買ってしまいました。音楽がまた良かったですね。
そう、少なくとも4桁に上る映画を映画館で観てきたから、虫眼鏡を通したように勝手に大きく想像することができますです、はい(笑)。
しかし、想像力は所詮想像力、自ずと限界がありましてね。音のサイズも大分違いますし。
小さいと言えども劇場は劇場、TVよりましだわさ。
そう言えば昔、TVのサイズを大きくするレンズみたいなものがありましたね。我が家でも数年使ったかな。モノクロ時代ですが。
そうですね、私も「サロメ」よりこちらのほうが見応えあったかな、と思います。あの「サロメ」のゴメス嬢のバタフライ姿はいやはや、その、何と申しましょうか、あのその、と言う感じでした(笑)。
冗談はともかく、確かに肉体そのものが芸術ですから、凄いですね。この作品では照明も原色系で良い。鈴木清順を続けて観た後なので、大分混乱しましたが(笑)。解らない? さるまた、しっけい(笑)。
普通の映画館ということは、viva jiji姐さんの71席よりは大きいということですね。そりゃ、益々結構。
音楽。思わずパコ・デ・ルシアかアル・ディ・メオラでも聞きたくなりましたが、残念ながらCDは持っていない。テープでほんの少し持っている程度なので、探すのも面倒だということで諦めました。
照明の色彩鮮やかだったでしょう。鈴木清順と・・・(あっ、既に豆酢さんへのコメントバックで述べましたね)・・・さるまた、しっけい(笑)。
この映画は去年2月に文化村のルネシネマ1で見ました.カルロス・サウラはアントニオ・ガデスのフラメンコ3部作以来のファンです.
スペインの踊りと音楽がこんなに日本人である僕の興奮をかき立てるのは,何故なのでしょうね.
>アントニオ・ガデス
「カルメン」からですか。もうベテランさんですね(笑)。
あの作品はかなり強烈なイメージを残しまたよね。
一種の二重構造になっていて、フラメンコの魅力もいっぱいでした。
>フラメンコ
よく解りませんが、どこかクロマニヨン人時代くらいにまで遡れる原初的な感じがあるからではないですか、リズムが強くて。