映画評「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2005年イギリス=アメリカ映画 監督ニック・パーク、スティーヴ・ボックス
ネタバレあり

ストップモーション・アニメと区別が付かないほどCGが立体感を出せる今時分に珍しいクレイ・アニメである。英国の人気アニメの映画版。

年に一度<巨大野菜コンテスト>が行われている英国の村、発明家ウォレスと犬のグルミットが発明品を駆使して野菜を食い荒らすウサギを捕獲、そのウサギたちにチーズ好きの自身の好みを注入しようと新発明の装置と連結するが実験失敗。
 その晩から夜な夜な巨大なウサギが野菜畑を荒らして大騒ぎになるが、巨大ウサギの正体は何とウォレスと判明する。

というお話は「蝿男の恐怖」(「ザ・フライ」)のパロディーで、月夜になると変身し金の弾丸に弱いのは「狼男」(狼男が弱いのは銀の弾丸)。
 彼をやっつけようとつけ狙うハンターは姓がクォーターメインなので、「キング・ソロモン」の冒険家アラン・クォーターメインの子孫のつもりかな。大ウサギになったウォレスが愛するレディ・トッティントンを攫ってビルを駆け上るのは「キング・コング」・・・といった次第で、パロディーの面白さ満載であります。

全体としては英国製らしくとぼけた印象で、パロディーとしての狙いが明確になってからはかなりゴキゲンになれる。アメリカ産と違って説教臭いことを言わない度の高さが魅力で、単だからと言って子供向けということは全く言えない。

スムーズな動きという点でストップモーション・アニメは圧倒的に不利だが、本作はCGにも劣らない滑らかさ。丹念に作ったことに敬意を表したい。

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この記事へのコメント

viva jiji
2007年05月08日 18:05
>スムーズな動きという点でストップモーション・アニメは圧倒的に不利だが、本作はCGにも劣らない滑らかさ。丹念に作ったらしいね。

あ~~~、受け取り方が~~・・・
クレイ(粘土)だから!
ストップモーションだから!
いいのよ~。
あの!ぎごちなさがたまらないのよ~~。
わかってもらえないかな~~~。(困)
スムーズ過ぎないところに魅力があるの~~。
今回は滑らかさを出すために若干CGを使ったとか。

パロディ?
思いもつかなかったし。ホホホ。(笑)

シンプルに楽しみました。私は。(笑)
オカピー
2007年05月09日 03:16
viva jiji姐さま

勘違いしてもらっちゃあ困りますです(笑)。
ストップモーション・アニメの神様レイ・ハリーハウゼンの全盛期に映画に目覚めた人間ですよ~ん。
わて、CGがクレイアニメより良いなんて一言も申していないでしゅよ。
動きの滑らかさに関する事実を言ったまで、作者にご苦労様という敬意を込めたわけでございます。それではちょっと表現変えましょう。

その証拠に1月のチェコ映画「真夏の夜の夢」の記事の最後の部分をお読みください。下記のURLで直行です。

http://okapi.at.webry.info/200701/article_11.html

>パロディ
「解って欲しかった」と作者が仰っております(笑)。
優一郎
2007年05月10日 09:40
おはようございます^^
連休明けで不精しておりました^^;

映画のパロディっていうのは、気がついたらより楽しめるし、たとえ気がつかなくても面白く観られるのがベターなわけで、作り手としては観客に気がついて欲しいけど、気づかない人にも、とにかく楽しんでもらいたいってことなのでしょうね。

本作の下敷きは 『狼男』 そのもので、出だしは 『サンダー・バード』。洋服を着るオートメーションは 『モダン・タイムス』 を彷彿とさせますよね。
で、怪しげな転換装置が出てくるシーンは 『蝿男の恐怖』 だと私も思いました。『ブレイン・ストーム』 だったか、『アルタード・ステイツ』 にも似たような頭に付ける装置が出てきましたが、あれも元を辿ると『蝿男の恐怖』 かもしれないですし。
一般には 『フランケンシュタイン』 のパロディとして流されそうなシーンなので、さすがはプロフェッサー!
『キング・ソロモン』のクォーターメインの末裔って辺りのご指摘は、私も全く気づかず。プロフェッサーの面目躍如でございます!
優一郎
2007年05月10日 09:43
(続きです)
後半は 『狼男』 にプラスして、『キングコング』 のパロディを連発していて、まあ楽しい楽しい。
ウサギを吸い上げる機械で、ウサちゃんが光の中に吸い込まれていくシーンはスピルバーグの何かかなとか、トッティントン嬢のドーム型温室に 『サイレント・ランニング』 を思い出したり、その名の通りの “Dog Fight” は 『レッド・バロン』 とか・・・まあ、他にも気がつかないパロディがテンコ盛りなのでしょう。

ちなみにTottingtonというのは、英国人ならすぐにピンとくる名前なのかもしれませんが、私にも何のことか判りませんでした。作者の意図とは別に、私はホッテントットを思い浮かべ、あの特徴的な唇の形に大人の連想をしていたのでした^^;
大人の楽しみといえば、最後に全裸になったウォレスが股間を隠すチーズのダンボール箱に “May contain nuts” なんて書かれてあるので大笑いしてました(笑)
優一郎
2007年05月10日 09:45
気が利いた笑いが散りばめられてあるのも楽しいですが、やっぱりブタ鼻のウサギやら、グルミットの風になびく耳など、クレイ・アートならではの造形や動きに、大人が童心に返って楽しめる・・・そんな名作であると私は思いました。

追伸
なぜに、viva jiji様に責められているのでしょうか^^;
とにかく、大変でしたね(笑)
オカピー
2007年05月11日 02:55
優一郎さん、こんばんは。

いやあ、予想も付かない反応でした(笑)。
けちょけちょに貶したわけでもないのに。なかなか難しいものですね。

>パロディ
全く仰る通り。
かなり露骨に使いながらも、「フライング・ハイ」「ホットショット」のようにこれ見よがしではなく、自然体なのが好感を持てました。
パロディは小ネタではなく、本作や「吸血鬼」「ヤング・フランケンシュタイン」のように一貫したテーマに沿って扱われるのが理想でしょう。

妙な装置を連結する辺りから興味津々、実験失敗とくれば次は「蝿男」だよねえと思っていたので、巨大ウサギの出現と来れば頭を捻るまでもなかったわけで、そこに月夜と金の玉(あはは)と来れば勿論狼男。
「キング・コング」もそのまま。
クォーターメインは昨今色々と出てくるし、英国における知名度と言えば恐らく星飛雄馬級なのでは?
(続く)
オカピー
2007年05月11日 02:58
違う面にも目を向けるべきだったのでしょうが、造形についてはグルミットとウサギは良いものの、人間のほうはどうも親しめない。特に女性があれではねえ。そこに触れるとマイナス面が強調されてしまうので避けた、というのが正直なところ。

ストップアニメーションあるいはクレイ・アニメを知らぬ若い方も読む可能性があるわけですので、CGのスムーズさと比較するほうが自然だと思ったのですがね。ちょっと舌足らずだったみたい。

>“May contain nuts”
ありました、ありました。
英語が解る方は爆笑でしたでしょう♪♪
豆酢
2007年05月14日 14:22
うまくいったかどうかわかりませんが、拙宅からもTBお送りします。とりあえずご報告まで。
オカピー
2007年05月14日 17:19
豆酢さん、こんばんは。
TBはちゃんと入っていました。
しかし、こちらからのTBは禁止なのですね(TT)。

私はこれが初体験だったです。なーんも知らんのです。
相変わらず大雑把で、すみませんでした。
豆酢
2007年05月14日 22:30
プロフェッサー、どうも<(_ _)>

TBの件は、本当に本当に申し訳ありません<(_ _)>。いましばらく禁止の方向でいかせてくださいまし。いろいろとまあ、ありましてね(^_^;)。

ところで!この作品に高い点数をつけていただいて、私はうれしかったですよ。というのも、前作「チキンラン」への評価が振るわなかったという事情もありましたので。
ニック・パークのクレイ・アニメの造形は独特で、あの出っ歯振り(笑)もデビュー作当時からの伝統なんです。でもね、初めてご覧になる方には違和感があって当然だと思いますよ~。
この作品は過去の名作のパロディがいたるところに散りばめられていて、ワクワクいたしました。これに限らず、「チキンラン」も「大脱走」のオマージュでしたし、パーク監督ってホントに映画好きなんですよね。

>“May contain nuts”
申し訳ありません、私も爆笑でした(笑)。
オカピー
2007年05月15日 02:50
豆酢さん

とにかくスパムやら嫌がらせやら困りますね。

>高い点数
7点を高い点と言って戴けるのは本ブログの方針をきちんと理解されていらっしゃる証拠。実にありがたいです。
10点を付けながら根本的な注文をつける方がいらっしゃいますが、どうも私にはその心境が解りません。私は7点で佳作、8点なら満足ですからね。

そうなの、ウサギやグルミットは良いけど、人間がどうもねえ。
「チキンラン」は「大脱走」でしたか。案外すんなり観てしもうた(笑)。

>“May contain nuts”
この手の隠語ぶりを観ても子供むけじゃあない。間違いない(笑)。

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