映画評「探偵事務所23 くたばれ悪党ども」

☆☆★(5点/10点満点中)
1963年日本映画 監督・鈴木清順
ネタバレあり

今回WOWOWは鈴木清順監督の特集を10本組んでいて、4本は既に観ているので後回しにしているが、放映順に観ていくと何故か段々古くなる。古くなるに従って鈴木監督らしさが減りただの日活アクションになってくる。本作などは唐突に赤い照明の場面が挿入されるのが鈴木監督らしいくらいで、細かく見ればまだまだあるだろうが、全般的にそう面白いとは言いにくい。

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探偵事務所23の所長・宍戸錠が、暴力団同士の争いに乗じて両者を一気に瓦解しようと企むガソリンスタンド偽装の武器密輸組織に潜入する。勿論、警察の理解と協力を得た上だが、彼が身分を偽った服役囚を巡って組織側が探りを入れる場面は一通り面白い。
 その舞台が教会で刑事たちが教会関係者を演じる、ヒッチコック的なサスペンスととぼけた面白さがあるが、アイデア程度に留まっている。
 脚本にも問題ありで、顔の知れた刑事諸君を配置すれば情報力のある組織にはばれますわな。顔が知られていないので宍戸を潜入させた意味が半減してしまう。

組織は正体を知った後も泳がせ、さしずめ狐と狸の化かし合いが続くのだが、軽いジャブ程度に推移するだけで一向にサスペンスが盛り上がらない。キャバレーで歌われる二曲が場面の説明になっているのはちょっとしたミュージカル気分だが、邦画のミュージカル的場面の例に違わず貧乏臭くてプラスにならないのはお気の毒様。

喜劇色を入れたがるこの時代の鈴木監督作品群の中でも喜劇味が強いが、センスが余り良からず、雑誌記事の為に事務所で働いている<おばちゃん>初井言栄がモダンでちょっと面白いくらい。
 この当時の邦画の感覚ではアメリカ映画並みのハードボイルドを期待するのは木によって魚を求む暴挙としても、喜劇色が強すぎる。原作者の大藪春彦氏も苦笑したろう。

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