映画評「いいかげん馬鹿」

☆☆★(5点/10点満点中)
1964年日本映画 監督・山田洋次
ネタバレあり

山田洋次がハナ肇主演で作った「馬鹿」シリーズの第二作で、これだけが今回初鑑賞。

戦中の昭和19年、8歳くらいの少女・弓子が瀬戸内海の小島に疎開する。彼女を可愛がったのは心根は優しい暴れん坊少年・安吉だが、彼を拾って育てた漁師・源吉(花澤徳衛)に怒られて船で漕ぎ出してそのまま行方不明に。
 10年後成人したその彼(ハナ肇)が怪しげな一座のマネジャーとして帰郷、大学へ進学することになった弓子(岩下志麻)と再会してボーっとしてしまう。が、一座が刃傷沙汰の末に旅館に負債を残して去ったので安吉が人質になる。

というのが前半のお話なのだが、この時点で既に後の「男はつらいよ」シリーズへの応用されるアイデアがいっぱい。言うまでもないが、少年時代に故郷を捨て成人して帰って来る、美人に弱いヤクザ者の主人公、その彼が旅館の人質になるといった設定である。

時代の背景を描く監督の興味も同様で、昭和29年頃盛んに行われたブラジルへの移民やら昭和30年代の経済成長時代を予感させる開発ブーム(への批判)、ついでに「君の名は」のパロディー・ドラマまで紹介される。
 これがドラマに絡んで行き、最後に出現する安吉は寅さんよろしく的屋をやっているし、ヒロインは孤島の女教師になり、「男はつらいよ」シリーズの栗原小巻のような印象を与える、といった具合に「馬鹿」シリーズ、中でも本作は後の大成を予感させる要素が横溢していると言って良い。しかし、後の完成品を観ているのでどうしても習作的な印象に留まり、演出的にはそれなりにまとめているといった程度。

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そして何と言っても硬質なハナ肇と柔軟な渥美清とでは可笑し味にいかんともしがたい差があるのだ。好みの問題と言えば、それまでだが。

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