映画評「鬼軍曹ザック」

☆☆★(5点/10点満点中)
1950年アメリカ映画 監督サミュエル・フラー
ネタバレあり

ヌーヴェルヴァーグの連中(特にカイエ・デュ・シネマ出身者)がヒッチコックやハワード・ホークスを高く評価するのは尤もだとしても、ニコラス・レイやサミュエル・フラーに関しては首を傾げる。特にフラーはそこそこコンパクトなB級アクションを作る映画作家という評価で十分ではないか。本作はそのフラーの戦争映画第一作である。

朝鮮戦争初期、北朝鮮の捕虜になりかけ唯一生き長らえた軍曹ザック(ジーン・エヴァンズ)が韓国の少年と出会い、やがて別の小隊を加えて五重塔の寺に立てこもり、北朝鮮軍と闘う。

戦後映画界はリアリズムに目覚め、こうしたB級映画もそれに準じてきたことが分るが、恐らくは元来そうした志向を持っていたフラーの特性と合ったと理解して良いと思う。
 全く無名の役者だけで演じられたお安いシャシンで、森の中でちょっとした戦闘場面があった後、最終盤までアクションは殆どない。

ザックが第2次大戦から活躍したベテランで達観した様子、片や青二才ばかりの小隊との対比が点出され反戦というより厭戦ムードが漂う。
 その一方で、寺に一人篭っていた北朝鮮の少佐が捕縛され日系米人や黒人と話をする部分はイデオロギー的。革命即ち一気に社会を変えようとする北朝鮮、進歩即ち漸次的に進もうとするアメリカの対照という図式で、映画の価値には殆ど寄与しないものの、フラーの考えが伺えるので一応興味深い。ゴダールがいかにも好みそうだ。
 が、後年の「最前線物語」のほうがアクション映画として見せ場が多く切れ味も良いので、ずっと高く評価できる。

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