映画評「間宮兄弟」

☆☆★(5点/10点満点中)
2006年日本映画 監督・森田芳光
ネタバレあり

森田芳光はメジャー・デビュー作「の・ようなもの」以来全て観ていると思うが、86年(「そろばんずく」)から90年代半ばまでの不調を経て「(ハル)」で復活、その後の仕事ぶりは評価している。評判の悪い「模倣犯」も原作や役者の演技力に拘って的を射ない批判が多い中で邦画の標準を上回ると判断した。前作「海猫 umineko」は物足りなかったが、今回はいかに。
 原作は「東京タワー」などで御馴染みの江國香織の小説。

兄(佐々木龍之介)はビール会社の研究員、弟(塚地武雅)は小学校の用務員(最近は校務員というらしい)という間宮兄弟。静岡の資産家出身らしいが、東京で二人仲良く暮らしている。横浜ベイスターズとビデオによる映画鑑賞と飛行機が好き、小書店並みの蔵書があり豊富な知識が持っていても、そばに寄り添う女性がなければ充実した人生とは言えぬ。
 そこで、小回りの利く弟が兄の為に画策を開始、小学校の女教師(常盤貴子)やビデオ・レンタル店の店員(沢尻エリカ)を巻き込んでカレー・パーティついで浴衣パーティを開くが、勿論こんなことで恋の芽が出るはずもない。
 兄の上司と離婚した女性に懸想した弟も空振りに終り、かくして二人の生活は十年一日のごとく進むのである。

少年時代の関係が20年後も続いているようなメルヘンチックな兄弟をスケッチ風に、「の・ようなもの」の小ネタ集の感覚で描いたものだが、僕はデビュー作に余り感心しなかったほうなので、これもそう面白いとは感じられない。
 変な兄弟と今時のレンタル店員姉妹を対比して兄弟姉妹の関係を見つめようという終盤の狙いは解らないではないが、かくもほのぼのとした兄弟関係が必ずしも理想的とは言えず、現代若者気質を描くというには兄弟は例外的すぎ、スローライフの味わいを楽しめということなのか、主題を正確に把握出来ない。面白くないというのはそういう意味である。結局は小ネタの面白さしか残らない気がする。

映画的にある程度興味をそそられるのは映像とシンクロしない台詞や内面モノローグの使い方だが、★一つ分のご褒美とするにはやや物足りない。

この記事へのコメント

シュエット
2007年04月26日 16:16
プロフェッサー様、すみません、本作と全く関係ないコメントで。TB制限にチェックが入ってました。多分、少し前にドッグフードの宣伝TBが入ってきてそれを削除したために自動的にチェック入ったのではと思いますが…。まだあちこち目が行き届かなくてご迷惑かけました。チェック外しました。
優一郎
2007年04月27日 02:17
こんばんは^^

「ちょっと奇異だけど憎めない、メルヘンチックな兄弟愛を観て和んでください」って辺りが、森田の狙いなのでしょうか。
プロフェッサーご指摘の通り、まさに「笑いの小ネタ集」で、長く映画ファンの記憶に留まる作品とは思えません。そうした普遍性を森田も求めていないのかもしれませんが。

私の記事は森田への愚痴と化し、作品評はほぼございませんが、TBよろしくお願いいたします^^;
kimion20002000
2007年04月27日 12:38
TBありがとう。
なるほど。でも、僕は、文芸大作で巨匠じみたことをやっていた森田芳光より、こっちのほうが、ずいぶん評価しています。
オカピー
2007年04月27日 17:23
シュエットさん

コングラッチュレーションズ!(笑)
私が今制限しているのは、全て英数文字のものと、エッチ系の文字が入っているもの。余り広げると映画ブログの記事もはじいてしまうので、ほどほどにしていますが。
webryの場合ははじいてもスパム扱いで保留されていますが、まともなブログ記事がはじかれていないかたまにチェックしています。
オカピー
2007年04月27日 17:31
優一郎さん、こんばんは!

森田全体の評価では異なるものの、本作に関しては大体のところ意見の一致を見たようですね(笑)。
小ネタ集そのものは完全否定しないものの、もう少し純度を増す方法が無かったかなあと思います。
オカピー
2007年04月27日 18:14
kimion20002000さん

私は大衆的な上手い映画というポイントを評価の基軸にしていますので、大衆によく理解できかつ上手さのある映画の評価が上がることが多いですね。独善的になっていなければ限り難解な映画も評価しますが。
その意味では、この映画は物足りなかったですね。文学的に或いは社会との絡みで二人を追究していけば興味深いのですが、森田監督がそれを最大限に生かす演出をしたかと言えば疑問が付くのです。
カカト
2007年07月03日 15:30
こんにちは。
昨夜トラックバックしたのですが、入ってなかったようで失礼しました。

オカピーさんの記事を読んで、「そうそう、なにを言いたいのかわからない。そのとおり!」とスッキリしました。
しかも私は一人っ子なので、余計に兄弟のあり方などに鈍感なのかもしれません。
オカピー
2007年07月03日 20:24
カカトさん、こんばんは。

いや、それはwebryの問題です。しっちゃかめっちゃかだったらしいです。

ムードが主題である映画、即ちストーリーや起承転結はどうでもいい作品もあるわけですが、ムードの映画というにはストーリーがありすぎるようでもありますしね、どうもピンと来なかったです。

私には兄と姉がいますが、仲の良い三人兄弟です。夫々結婚すると気を使うところも出てきますが。

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