映画評「エル・ドラド」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1966年アメリカ映画 監督ハワード・ホークス
ネタバレあり

ハワード・ホークスには「リオ・ブラボー」という傑作西部劇があるが、7年後の本作も快調。リー・ブラケットが両方とも脚本を書いているので構成・人物配置がそっくりだが、なかなかどうして面白い。

エル・ドラドと言っても幻の黄金都市ではなくてテキサスの小さな町で、二人の牧場主が「大いなる西部」よろしく水源を巡って土地の争奪戦を繰り広げている。
 保安官のロバート・ミッチャムは大家族側に加担しているが、敵側の応援を頼まれた腕利きガンマンのジョン・ウェインは旧友ミッチャムの話を聞いて翻意する。が、弟を殺したと勘違いした一家の娘ミシェル・ケリーの銃弾を受け、後々これが影響して来る。
 一旦町を去ったウェインはナイフ投げのうまい若者ジェームズ・カーンと知り合って彼を連れて町に戻ると、保安官は女に振られてアル中になっていてしかも足を負傷してしまう。これに保安官助手の老人一人を加えた四人で、手ごわいガンファイター(クリストファー・ジョージ)を味方に引き入れた敵一味と対決することになる。

ウェインとミッチャムは莫連女シャーリーン・ホルトを巡る恋敵同志でもある旧友という設定で、二人の喧嘩友達ぶりを描いた部分が楽しく、ウェインがカーンと知り合う酒場場面はアクションの切れ味良く、伏線としても巧妙に作られている。

ミッチャムは「リオ・ブラボー」のディーン・マーティンに相当する役で、同じように酒浸りの為に銃に弾丸も上手く込められないみじめさが映画としては楽しい要素となる。
 リッキー・ネルスンに相当するカーンはナイフは上手いが銃はからきし駄目で、銃身を短くして扱いやすくしたショットガンをあてがわれて何とか使いこなす。

彼らが一家の二番目の息子を撃った犯人三人組を追い、連中が隠れている教会の鐘を目掛けて次々と発射すると鐘があたかも音楽を奏でる、というのはブラケットらしいユーモア。教会の中の場面では撃たれた一人が落ちてきてカメラを覆ってしまうショットが面白い。

クライマックスは体に残った弾丸の為に利き腕が使えないウェインと足の怪我が癒えないミッチャムが協力して敵に立ち向かうというアイデアの勝利。
 主役三人の見せ場がバランスよく扱われ、楽しさが全編遍く散らばっているのは、さすがホークスとブラケットの名コンビと言うべし。

ウェインのようにジャンルを背負った役者は今後出て来まい。デューク死して西部劇滅ぶ。

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この記事へのコメント

優一郎
2007年03月05日 14:45
こんにちは^^
早速に書き込みさせていただくのでした・・・(笑)
実は本作、子供のころから繰り返しTVで観ていたのですが、ノーカット字幕スーパーで観たのは今回が初めてでした。
個人的には「リオ・ブラボー」の方が好きなのですが、どちらにしろ、これぞ王道の娯楽ウエスタン大作!
「お楽しみ満載の宝箱」 といった作品ですよね。

ただし、TV版で編集された短い尺の方がずっとテンポがよろしく、スターの顔見せが意識された長い会話シーン(特に決着がついてからなど)にはちょっとビックリ。これもファンへのサービスと思えば気にはなりませんが、TV版の方が良いという私などは、ビッグ・デュークの片腕ライフルで頭を吹っ飛ばされるのでしょうね^^;

ジョン・ウェインが西部劇最大のスターなのは、異論の余地なし!
その後、ペキンパーやレオーネが出現しますが、彼らはやはり「マガイモノ」。(好きか嫌いか・・・という議論では譲れませんが)頭を吹っ飛ばされてはかなわないので、いくらかプロフェッサーに歩み寄るのでした(笑)
オカピー
2007年03月05日 19:02
優一郎さん

私も完全版は初めてみたい(笑)。
「リオ・ブラボー」は映画館でも観ておりますし、かなり観ています。勿論「リオ・ブラボー」のほうが面白い。

昔ならウェインとミッチャムの会話など退屈したでしょうが、私も年をとったのでしょうか。ホークスらしいユーモアが漂ってなかなか面白いのでありました。二時間を割るくらいの長さの方が勿論アクション映画として快テンポには繋がりますが、ウェインの懐の大きさが味わえないのではないかなどと思ったりします(抽象的ですみません)。

私も意外と潔癖症ではなくて、大学生時代に「TVの短縮必ずしも悪からず」と友人に言って顰蹙を買いました。本作はともかく、水増しと無駄だらけの作品なら映画会社若しくは監督の編集より面白くなる確率が結構あるでしょう。

簡単にはすまないので、レオーネとペキンパーについてはまた別途とします(笑)。
しかし、70年代のTVにおけるマカロニウェスタン・ブームは凄かったですよね。一月に数本・・・それが77年くらいまで続きましたね。
その頃はデュークよりジェンマ。次がイーストウッドで、F・ネロは趣味ではなかった(笑)。
蟷螂の斧
2020年05月19日 06:46
おはようございます。昨日この映画を見ました。面白かったです。まだ若かった頃のジェームズ・カーンが「リオ・ブラボー」のリッキー・ネルソンみたいな役どころなんですね。そしてロバート・ミッチャムと言えば「恐怖の岬」のマックスのイメージが強いですが、ここではアル中で頼りにならない保安官役と言うのもいいです。

>水源を巡って土地の争奪戦

国同士の争いもそういうパターンが多いんですよね?

>あれは土曜の昼間で前編・後編でやったと思います。

そうです。「カジノロワイヤル」は131分もありますから。僕は中学生の頃にNETテレビ系で日本語版を見ました。バルバラ・ブーシェ、ジョアンナ・ペティット、ダリア・ラヴィと言った女優さん達が素敵だと思いました。

>丁度そういう実際の三行半が出て来た

逃げてきた女性の体の一部、あるいはその女性が投げた草履や簪が駆け込み寺の敷地内に入ればOKだったんですよね?TBSテレビ小説「女・かけこみ寺」(1982年)でもそういう場面がありました。
オカピー
2020年05月19日 21:26
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>ジェームズ・カーンが「リオ・ブラボー」のリッキー・ネルソン
>みたいな役どころなんですね。

まあ本作全体が「リオ・ブラボー」のリメイクみたいなものですからね。
要は保安官をアル中に変えただけで、似たような話でした。

>「カジノロワイヤル」
>バルバラ・ブーシェ、ジョアンナ・ペティット、ダリア・ラヴィ
>と言った女優さん達が素敵だと思いました。

若い人は御存じないでしょうが、男優陣も女優陣も超豪華でしたね。寧ろオムニバス的なコメディーだからできた布陣でした。

>「女・かけこみ寺」(1982年)でもそういう場面がありました。

さだまさしの作った「縁切寺」を思い出します。シングルはバンバンが歌いましたが、バンバンではこの歌の気分が出しきれなかった。
蟷螂の斧
2020年05月20日 20:09
こんばんは。

>手ごわいガンファイター(クリストファー・ジョージ)

あくが強い男を好演していました。そして最期の場面も良かったです。実生活では「1948年から1952年まで海兵隊に入隊、この間、朝鮮戦争にも従軍している。」鍛えられたんでしょうね。残念ながら、52歳で心筋梗塞のため死去。

>さだまさしの作った「縁切寺」

今youtubeで初めて聞きました。「この寺の山門前できみは突然に泣き出してお願いここだけは 止してあなた」女性の方が縁を切るのを嫌がったイメージですが・・・?

>寧ろオムニバス的なコメディーだからできた布陣でした。

そうです。「恋の面影」が流れてピーター・セラーズとウルスラ・アンドレスが仲睦まじく(?)する場面の監督は誰でしょうか?
オカピー
2020年05月20日 22:26
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>>クリストファー・ジョージ
>52歳で心筋梗塞のため死去。

映画ファンになりたての頃は、スタンリー・キューブリックとバズ・クーリック、ジョゼフ・ロージーとフランチェスコ・ロージ等、色々と混乱しましたが、クリストファー・ジョージとクリストファー・ジョーンズも混乱しましたね。後者は僕のお気に入り「ライアンの娘」で大人気でした。
 そうですか、彼もそんな若くして亡くなりましたか。「スクリーン」に訃報が載ったと思いますが、忘れていました。

>さだまさしの作った「縁切寺」
>女性の方が縁を切るのを嫌がったイメージですが・・・?

だから、三番でこう歌っているのです。
「人の縁とは不思議なもので そんな君から別れの言葉」
こんな詩をかけるさだまさしはやはり天才。その中でもお気に入りの曲は、グレープ時代の「ほおずき」。抒情派としてメロディーも詩も完璧で、言うことありません。

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