映画評「ロバと王女」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1970年フランス映画 監督ジャック・ドミー
ネタバレあり

「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」に続くジャック・ドミー監督のミュージカル第3弾で、今回はシャルル・ぺローの韻文童話「ロバの皮」をベースにしたお話。デジタル・ニューマスター版ということだが、前回と印象は特に変わらず。

金銀財宝を産むロバのいる国の王様ジャン・マレーが亡くなった王妃の遺言を守ろうとした結果王女カトリーヌ・ドヌーヴと結婚すると言い出す。困った彼女はリラの精霊デルフィーヌ・セイリグと相談し次々と難しいドレスを要求するが、王様が難なくこなし大切なロバを殺してその皮まで与えるので、遂にその皮を着て別の国の洗濯女になり、王子ジャック・ペランに見染められる。

終盤は一番有名なぺロー童話「シンデレラ」と似た趣向で、王子は城に国中の未婚女性を集めて指輪の合う女性を探し始める。

文字通りメルヘンチックなのんびりとしたお話で、青の国の王女で最初は青いドレスを着ているカトリーヌが無理難題で作らせた月や太陽を象徴する煌びやかなドレスに着替えるのがお楽しみ。「竹取物語」ほどの難題ではなく、同じパターンを三度繰り返すのはいかにも欧州らしい。
 王子の国は逆に赤の国で服は、勿論馬や家来の顔まで赤く塗っている。「シェルブールの雨傘」でもインテリアを単色にして様式化を図っていたが、本作においても単なる様式と解釈して良いだろう。
 王女と王子が結ばれると白い服に統一され、ここでは、しがらみのなくなったことを示す象徴として白が使われている。

最後にオーパーツ的にヘリコプターが出て来る意図は不透明だが、リラの妖精が途中で電池といった現代的な言葉を吐いているので、何かしら明確な意図があるのかもしれないが、まるで掴めない。これはやらなかったほうが無難だったであろうし、実風景の捉え方にも全体のメルヘンチックなトーンを破壊している部分がある。

音楽は三度ミシェル・ルグラン。「雨傘」のような際立った名曲はないが、半音的でちょっと居心地の悪いくせに強い印象を残す音符は健在。レシピがそのまま歌になるアイデアが面白かった。

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  • <ロバと王女> 

    Excerpt: 1970年 フランス 90分 原題 Peau D'Ane 監督 ジャック・ドゥミ 脚本 ジャック・ドゥミ 撮影 ギラン・クロケ 音楽 ミシェル・ルグラン    出演 青の国の王女、青の国の.. Weblog: 楽蜻庵別館 racked: 2007-04-05 19:28
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