映画評「男はつらいよ 寅次郎の縁談」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1993年日本映画 監督・山田洋次
ネタバレあり

「男はつらいよ」シリーズは第1作を除いてテーマ【映画 あ行】から省きましたので、テーマ【山田洋次】にて検索をお願い致します。

シリーズ第46作。

大学4回生になった満男が就職活動を展開するが尽く不採用、嫌気が差して家出してしまう。
 柴又に戻ってきた寅さんは郵便物の住所を辿り、老人たちを手伝って便利がられている満男を連れ戻しに瀬戸内海の琴島にやって来るが、満男の泊っている家には老人(島田正吾)と娘の葉子(松坂慶子)がいて、例によって例の如くといった展開となる。

寅さんのマドンナに対する態度が昔の作品のようで嬉しいのだが、やって来る前に披露したアリア「満男、帰っちゃいけないから」転じて「去るべきか、留まるべきか」が通奏低音になっていくのが味わい深く、具体的にはミイラ取りがミイラになってしまう寅さんに最初に適用される。
 雨が降りしきる中、島の駐在と住職(桜井センリ)が家の反対側から坂を下って船着き場に向おうとする寅さんを眺めている。葉子が扉を開けて出てきて「行っては駄目」となる。そして、船が出航できなくなったと知りニコッとする寅さんを正面から捉える。
 この場面のカメラワークと演出は絶品で、昔からシリーズの中でもトップクラスと思っている。可笑しいだけでなくクラシックな叙情性もあり、惚れ惚れとしてしまう。

やがてこのアリアが看護婦(城山美佳子)と親しくなった満男にも適用されるまで、二つの恋模様が時には重なるように時には対照的に語られて可笑しくも切ない二重奏を奏でて行く。

シリーズの中で決して定評のある作品ではないが、それでもこれだけの巧さを発揮する山田洋次は正に端倪すべからざる才能と言うしかない。

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この記事へのコメント

ぶーすか
2007年01月16日 08:09
四国にはまだ行った事がないのですが、是非とも行ってみたいところのです。その中で今回は香川。すごくイイ観光ガイドにもなっていて面白かったです。
<シリーズの中でもトップクラス
自然なカメラワークで過剰な演出を押さえているのがイイなぁ…と毎回思うのですが、なるほどー、素人目にはよくわからなかったですがそうなんですねー^^;)。
オカピー
2007年01月17日 03:08
ぶーすかさん、こんばんは。
私は仕事の関係で国内より海外の方が色々と行っていまして、西は京都、北は新潟が限度。本州から離れたことはありません。情けなかあ。

あそこは良いですよ。しかし、今回の放送では津波注意報で邪魔されて激昂中。DVD保存版にするかどうか迷っています。5本に入るか。ちょっと厳しいか。まさか「ごめんなさい」再放映はあるまいなあ。

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