映画評「阿修羅のごとく」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2003年日本映画 監督・森田芳光
ネタバレあり

2004年映画鑑賞メモより。

惜しくも20余年前に台湾で航空事故死してしまった才女・向田邦子は今でもTVで大人気、これはその頃NHKでシリアル・ドラマ化された彼女の代表的脚本の、森田芳光による映画化である。恐らくTVシリーズを御覧になった方の中には不満を持たれる方もあろうが、僕は評価したい。TVドラマはこの三十余年間自発的に観たことはないが。

性格の異なる四人姉妹の愛憎劇で、物語の発端は、図書館司書を務める地味な三女・深津絵里が父親・仲代達矢が若い女性とその子供と一緒にいる場面を見てしまったことである。
 堅物とばかり思っていた父親の秘密に触れてしまった姉妹は動揺するのだが、母親・八千草薫に秘密にしようと密談などするうちに、料理屋の旦那と浮気する長女・大竹しのぶ、サラリーマンの夫・小林薫の浮気を確信する次女・黒木瞳、依頼先の興信所経営・中村獅童との間に恋を芽生えさせる三女、ボクサーとできちゃった結婚をする奔放な四女・深田恭子。

妻から夫を奪う後家である長女と不倫されているかもしれない次女との精神的葛藤、性格は異なるのにライバル心を燃やす三女と四女の確執と書けば陰々たる展開を想像させるが、実際はかなりコミカルな要素を含んでいるのがよろしい。森田演出も肩の力が抜けて好調である。

典型的なホームドラマの趣きで、かつ女性中心の葛藤と言えば現在人気のTVドラマ「渡る世間は鬼ばかり」を思い出さずにはいられない(以前家族との団欒の為に過ごす時に嫌でも音声が聞こえてきた。現在は始まると自室に逃げ出す)が、同ドラマが喜怒哀楽の喜怒、愛憎の憎しか興味の対象にしないのに対し、これには哀楽も愛もある。人生への賛歌がある。

新聞に載った投書の扱いも巧く、愛憎渦巻いた末に大人の女性の達観ぶりがはじける終幕が心に残る。姉妹の関係もやがて改善され、この一家に新しい春が訪れることになる。これぞ本物のホームドラマ。感心しましたです。

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