映画評「ゴスフォード・パーク」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2001年イギリス=アメリカ映画 監督ロバート・オルトマン
ネタバレあり

2004年映画鑑賞メモより。

ロバート・オルトマン(またはアルトマン)の最新作。

1932年の英国は片田舎。ゴスフォード・パークと呼ばれるカントリーハウスに、館の主であるマッコードル卿夫妻(マイケル・ガンボン、クリスティン・スコット・トーマス)に著名人たちが呼ばれる。
 この中にヒッチコックの「下宿人」で主演した実在の俳優イヴォー・ノヴェロ(ジェレミー・ノーサム)や探偵小説「チャーリー・チャン」シリーズの映画化を進めているプロデューサーが混じっているのが映画ファンには楽しい。

序盤はこの著名人たちが集まる様をアガサ・クリスティー風に見せていき、やがて彼らに仕える屋敷の召使たちの様子に移り、中盤はオルトマンらしい群像劇の様相となるが、その中盤で卿が殺されてしまう。
 劇中で語られるE・D・ビガーズの「チャーリー・チャン」とも関連のあるような殺され方なのでミステリー・ファンはにやりとすることになるが、終盤にかけてはクリスティーとは大分違う味がにじみ出る。クリスティーにとって人間ドラマは殺人への伏線であり理由づけであるが、この作品において殺人は多彩な人間ドラマを構成するエピソード群のハイライトに過ぎない。

推理小説と絡めた辺りにオルトマンには珍しい洒落っ気があり色々と楽しめるが、僕にとっては彼の多様なフィルモグラフィーの中で抜群とは言いにくい。

マギー・スミス(「ナイル殺人事件」「地中海殺人事件」)が登場するのは、ミステリー映画ファンには嬉しいサービスじゃよ。

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この記事へのコメント

kabumasa
2006年11月14日 03:17
こんばんは。アルトマンはアルトマンでいいんじゃないですか。
最初のaにアクセントのある語はaltoが付いた形的にアルトと読む
のがほとんどですから。オールとなるのはたいてい後ろにアクセント
がありますから。
アルトマンの作品では「ゴスフォード・パーク」はどうでも良いかな。
私的にはアルトマンは「「マッシュ」「ボウイー&キーチー」それに
最高に好きな「ロンググッドバイ」だけで良いぐらいなんです。
「ザ・プレイヤー」とか「ショートカッツ」とか悪くはないけど
何回も観たいかと言うと否定的で。好きな3作は何回でも観たい
作品。とくに「ロンググッドバイ」なんて震いつきたくなるほど。
かよちーの
2006年11月14日 12:35
アルトマン好きです!でもコレは観ていません。
わたしもkabumasaさんと同様に「ロンググッドバイ」が最高に好きです。
アルトマンってだいたいのストーリー展開が水戸黄門の印籠的なところがあって一種の安心感があると思うのはわたしだけでしょうか。
オカピー
2006年11月14日 15:11
kabumasaさん、こんにちは。
オルトマン表記に関しては「スクリーン」誌に準じております。人名発音辞典(?)に当り、本人にも確認することが多いと聞く同誌を信用しまして。

「マッシュ」も好きですが、「ナッシュビル」の渦巻く群像劇にゾクッとしましたよ。「ロンググッドバイ」は映画としては良いのですが、やはりこちらが勝手に作り上げたマーロウのイメージにエリオット・グールドが合わないので減点なのでした(笑)。
オカピー
2006年11月14日 15:18
かよちーのさん、こんにちは。
アルトマンは、ミステリーのないアガサ・クリスティー(?)。クリスティーと横溝正史は三作読むと飽きますけど、アルトマンはどうかな。

「ロング・グッドバイ」に意外と隠れファンが多いことにびっくり。私はフィリップ・マーロウ=ハンフリー・ボガートなので、グールドのマーロウがピンと来ません。古い映画を観すぎた弊害ですかね。
kabumasa
2006年11月14日 16:47
「スクリーン」ですか。あの雑誌とNHK(とくにクラシック音楽)はなぜか他とは違う外人名の発音に異常にこだわることがあるんですよ。スクリーンはこれまで買ったことはないのですが、立ち読みしていて、ある俳優の名前を見て「ナンジャコリャー」と失笑したことが何回もあり。ゲーテのことをギョエテみたいな発音にこだわっていることがあるんですよね。ここ数年は立ち読みもしていないのでわからないが。はっきり言ってスクリーンの独自の発音は一般的じゃないですよ。そんなものにこだわることはないんじゃないかな。外国語というより言語学が好きでこれまで20カ国語近くの外国語を勉強した(まさに勉強しただけで実用にはなりません)経験では、カタカナで発音表記するのは完璧には不可能ということ。ある程度一般的な表記で十分ということ。皆がアルトマンと言っている時に、オルトマンとこだわって話がさっぱり通じない方がよほどアホらしいでしょう。
kabumasa
2006年11月14日 16:50
続きです。

「ロンググッドバイ」ファンは何も隠れファンじゃないでしょう。初期からアルトマンを見ている映画ファンなら普通に好きな映画ですよ。私自身は初期の方が好きで、群像劇スタイルのはあまり好みじゃないんですよ。アルトマンファンには群像劇タイプ映画で巨匠扱いになったあとの映画しか見ていない人が意外に多くて、「ロンググッドバイ」や「ギャンブラー」「ボウイ&キーチ」なんてのを知らない偽アルトマンファンがいるんじゃないかな。映画関係のサイトを散策しているとそんな感触も。
オカピー
2006年11月14日 19:02
kabumasaさん

Altmanの発音がオルトマンに近いことはほぼ間違いない事実らしく、私以外にも使われている方も少なくないですよ。
一般的であってもロナルド・リーガンといった間違った表記が、実際の発音と違うという理由で一夜でレーガンに変わった例もありますし、アルトマン⇒オルトマンをリーガン⇒レーガンと関連付けて述べているブログもありました。
勿論私にしても本人に確認したわけではありませんが、【スクリーン】誌はインタビュー等の作業中に必ず確認していると思います。

少なくともアル・パシーノやルキノ・ビスコンティなどと書いている【ロードショー】なんて雑誌から見れば遥かに元の発音に近い。固有名詞におけるviをビなど書くのは余りにも発音と綴りを無視しすぎています。

チャールズ・ブロンスンの最後は通常<ソン>で終りますが、英語の発音では<スン>に極めて近いはずです。同じsonでもスウェーデンやフランスの役者では勿論<ソン>となっていて、この辺りは【スクリーン】誌は意外と繊細ですよ。また、<スン>表記の方も増えてきたように思います。
(続く)
オカピー
2006年11月14日 19:04
【スクリーン】誌はベテラン批評家の記事の場合修正しないことがありまして、そういう方は<ギョエテ>なんて書かれる人も確かにいらっしゃいました。例えば、故・津村秀夫氏など。

言うまでもなく、完璧な表記はありえませんが、英語の綴りと発音の中庸化を図り最も理想的な表記が【スクリーン】誌だと思っています。
例えば、Montgomery Cliftは、一般的にモンゴメリー・クリフトと現地発音に近く表記しますが、すると何故<モンティー>と省略されるのか解りません。【スクリーン】誌ではモントゴメリー・クリフトと綴り重視に表記されます。この場合どちらか良いのか微妙なのですが、綴りを憶えるという意味では【スクリーン】誌を買います。

今解らないのが、レオナルド・ディカプリオですね。Leonardoですから、レオナルドなのですが、彼はイタリア人ではなくて、イタリア系アメリカ人ですから、Leonard(レナード)と同じに考えるべきなのか。これは本人に確認しないと解りません。
オカピー
2006年11月14日 19:47
続きます。
「ロンググッドバイ」がお好きなアルトマン・ファンがどの程度の割合でいらっしゃるか解りませんが、かの作品はやはりレイモンド・チャンドラーの映画化と捉えるムキが多いのではないかという気がしまして、アルトマン(40年近くもオルトマンで来たのでどうもしっくり来ない)が好きならやはり「マッシュ」に始まる群像劇こそ彼らしいと思う方が多いのではないでしょうか。

正直に言いますと私もkabumasaさん寄りかもしれません。というのも、彼に限らず群像劇は余り好きではないんですよ。「マッシュ」は群像劇と言ってもやや感触が違いますし、「ナッシュビル」だけは例外的に好きでしたが。そうは言っても、かよちーのさんが仰るように、安定的に見られる作品群かもしれません。
かよちーの
2006年11月14日 23:03
アルトマンはここらへんでオチかしら、と変に期待して観ています。
ところでまったく話が変わって申し訳ないのですがかのスクリーンはマシュー・マコノヒーはどんな表記なんでしょうか?
すごく気になりました。
オカピー
2006年11月15日 03:44
かよちーのさん
ちょっと変な感じが致しますが、マシュー・マコナヘーですね。
(あっ、「へぇ~」と仰いましたね?)
Matthew MaConaughey という綴りからはマコノヒーが正しいように見えますけど・・・恐らく根拠があると思いますよ。何故なら、【スクリーン】誌は通常リンジー、リンリーといった表記をしていますから。
kabumasa
2006年11月15日 12:31
お早うございます。
マコナヘーね。まったくへぇーと言うだけ。
スクリーンを出す近代映画社なるチンケな会社のこだわりに
疑問もなくこだわるオカピーさんの方針はまったく個人の
好みなので、いくら言い合っても無駄なので発音問題は
終わりです。

「マッシュ」は群像劇とは言えないでしょう。いわゆる
群像劇とはメインとなるキャラを作らないで多くの視座を
並行させながらストーリー展開するもので、「マッシュ」は
どこまでも数人の軍医がメインで、サザーランドとグールド
二人の濃厚なキャラが全編で狂い咲いていますよ。
と言うより、群像劇とかそういうジャンル分けみたいな言葉
自体がどうでもいいのだが。
http://onsen-kabumasa.cocolog-nifty.com/okirakunikki/
kabumasa
2006年11月15日 12:40
発音問題で最後に一つだけオカピーさんに?。

>例えば、Montgomery Cliftは、一般的にモンゴメリー・クリフトと現地発音に近く表記しますが、すると何故<モンティー>と省略されるのか解りません。【スクリーン】誌ではモントゴメリー・クリフトと綴り重視に表記されます。この場合どちらか良いのか微妙なのですが、綴りを憶えるという意味では【スクリーン】誌を買います。

と書かれているが、スクリーン擁護されるのはあくまで
言質発音に近いからと言うのに、どうしてこの場合だけ
綴りを覚えやすいからスクリーン誌を買いますでは、あ
まりにいい加減な方針では。綴りを覚えやすいのがいい
ならそれこそ、一般的であるアルトマンでしょう。
kabumasa
2006年11月15日 12:42
上記の文で原質発音は現地発音の間違い。
オカピー
2006年11月15日 13:52
kabumasaさん
近いうちに、人名の発音についてコラムを書く予定です。

Rei
2007年04月13日 13:28
ゴスフォード・パークから人名表記まで話がいくとは。
あらためてゴスフォード・パークですが、アルトマン作品はこれが好き!というセレクトが迷うくらい、それぞれ作品の味が違うし、そしてどれもが面白い。そして役者の新しい面、新しい魅力を見せてくれる。そういう意味ではゴスフォード・パークはとても面白い作品でした。特にマギー・スミス、エミリー・ワトソンそしてヘレン・ミレンどれもそれぞれに、あらっこんな顔も持っているんだと、そしてそれがまたそれぞれに魅力的でした。また役者からそういう違う味を引き出し、劇中に収めているアルトマンの手腕にいまさらながら感服しました。
オカピー
2007年04月13日 16:04
Reiさん、こんばんは。

>人名表記
ひどい目に遭いました。
文章をよく読めば「いい加減な方針」などとは言えないはずなのですが。要は発音と綴りの中庸/折衷が「スクリーン」ないし私の方針であり、発音に行ったり綴りに行ったりするのには、一々理由があるわけです。外国人の名をカタカナで書くのは一種の記号とは言え、寧ろ綴りにだけ拘るのは本人に大変失礼でありましょう。
日本人でも私の母の旧姓・山崎は<やまざき>であり、同僚の山崎は<やまさき>で、一々訂正するのが気の毒でした。私も下の名を正確に呼ばれたことがありません。その不愉快なこと。
(続く)
オカピー
2007年04月13日 16:06
それはともかく、多様な人間模様を楽しませるのが群像劇。少ない人数で作るより観客を退屈させない可能性がより高い方法であり、最近の群像劇の多さにはどこかまやかしの要素が入っていないかと些か不満が多いのも事実であります。
勿論多くの登場人物を整理し、出演者の手綱を締めるのは大変でしょう。完璧に作られた群像劇の鮮やかさには本当に感嘆しますね。個人的には「ナッシュビル」の人生の渦に巻き込まれるような迫力が大好きでした。
余り評判にならなかった「プレタポルテ」や「カンザス・シティ」も結構買っております。
Rei
2007年04月14日 01:23
すでにご存知かと思いますが、キネマ旬報社から5月下旬に「アルトマン・オン・アルトマン」(仮題)が発行されるそうです。ポール・トーマス・アンダーソンが序文を書いているとのこと。キネマ旬報4月下旬・5月上旬2回に分けて「ロバート・アルトマン わが人生、わが映画を語る」と題して本文の一部を掲載しています。刊行されたら是非読みたいものです。PTSも次回作何を見せてくれるのでしょうか。ブギーナイツ~マグノリアはとても好きでしたが、「パンチ・ドランク・ラブ」は私には、今ひとつピンと来るものがなかったので次回期待しているところです。
オカピー
2007年04月14日 17:02
Reiさん、情報ありがとうございます。

そういうことを考えてみても、P・T・アンダースンはやはりオルトマン(アルトマン)の系譜を正統に継ぐ才能なんでしょうね。
ただ彼の作品に対する評価はちょっと逆。「マグノリア」は些か暗喩が多すぎるのではないかなあとちょっと不満もあり(暗喩・比喩は映画を長くする。長いのが悪いとは限りませんが)、「パンチドランク・ラブ」はストレートさを結構買いました。
いずれにしても、オルトマン亡き今、彼に期待を寄せるファンも多いでしょう。
シュエット(旧姓・Rei)
2007年04月21日 04:20
ブログ開設で数日間かかりっきりで、今ごろ見ました。マグノリアは言われるとおり、もう少しどないかならんかなと思いますけど、でもあそこで流れているテーマは「ハートエイド」「ブギーナイツ」と一貫してると思うんですね。PTA3部作。それぞれの物語は私は好きです。逆に「パンチ~」のほうはストレートすぎて私としてはやや物足りなさを感じました。面白いですね。彼は次回どんな作品をだしてくるか楽しみですが。
オカピー
2007年04月21日 18:17
シュエットさん、こんばんは。

>ストレートすぎて私としてはやや物足りなさを感じました。面白いですね

私は基本的に一回で評価するタイプなので、誤解もあると思います。何年も経って観ると、評価を誤ったという例も(そう多くはないですが)あります。
「パンチ~」はストレートですが、依然奇妙な味が残った上にコンパクトだったので、気に入りました(笑)。
「パンチ~」で若干スタイルを変えたので、次は前の彼が出るか、前作を継承するか、それともまた別の顔を見せるか、楽しみですね。

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