映画評「ブラザーズ・グリム」

☆☆★(5点/10点満点中)
2005年アメリカ映画 監督テリー・ギリアム
ネタバレあり

グリム兄弟の物語と言っても、彼らが発掘した民間伝承説話(民話)をベースにしたパロディー映画で、テリー・ギリアムなら面白くなるかなと思ったが、失望させられた。

ナポレオン戦争直後フランスが占領していた頃のドイツ、性格が違うのに一緒にインチキ魔物退治で賞金を稼ぎながら民話を集めているグリム兄弟(マット・デーモン、ヒース・レジャー)が、フランスの司令官にインチキがばれて処刑されそうになるが、11人の少女が誘拐された村の事件を解決することを条件に解放され、500年前におわしました女王が作った謎の塔が鎮座する森に秘密の鍵があることを知る。

女王(モニカ・ベルッチ)が「世界で一番美しいのは誰」と鏡に尋ねるのは「白雪姫」そのものだが、11人の魔法使いの代りとなる11人の少女と500歳の齢を重ねた女王は「眠れる森の美女」に基づいている。
 この二つの童話をベースにしたアウトラインは悪くないが、細かいところが杜撰なのに加え、この類のパロディーの先輩であるロマン・ポランスキー「吸血鬼」やメル・ブルックス「ヤング・フランケンシュタイン」のように強烈な毒がなく、ゲラゲラ笑うことも出来ないのが致命的。つまり、アーレン・クルーガーの脚本にひねりが足りず、パロディーとして思い出されるギリアムの旧作「バンデットQ」にも遠く及ばない。

ファンタジーで重要な要素であるCGの出来栄えを作品評価に加味したことは殆どないが、最近の作品としては動物の動きがぎくしゃくしているなど不出来で、益々がっかり。

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この記事へのコメント

2006年10月25日 22:53
 オカピーさん、こんばんは。
 これは個人的に結構期待して見たのですが、残念ながら宣伝のわりには水準以下でしたね。
 仰るとおりで、特撮もグダグダ、話もグダグダでゴシック趣味に奔るでもなく、パロディ的な笑いも出ないという悲惨な出来栄えでした。見ていてまだ終わらないのかなあという長さを感じました。
 何ヶ月か前にDVDで鑑賞済みだったのですが、いざ書くとなると実の無さに困り、結局記事にはしませんでした。もっと出来るはずなのに残念な結果に終わりました。
 今週、関西ではロシア映画月間をやっている映画館があるので、エイゼンシュテイン作品などを観て来ます。ではまた。
オカピー
2006年10月26日 02:35
 用心棒さん、こんばんは。
 ギリアム向けかなと思う題材なのに、提示された作品は無気力で、まるで押し付け仕事みたいだったですね。
 公開前はかなり期待されている人の多さが、ウェブリログの記事の多さから伺えましたが、がっかりした方が多いでしょうね。

大阪・九条はシネ・ヌーヴォでしょ? かなり古い作品も観られるようですね。8月頃同じような企画がフィルムセンターでありました。ゴーリキー原作の「母」を見に行こうと思ったのですが、東京は遠い。
かよちーの
2006年10月29日 23:02
これ見ました~、DVDで。
わたしも用心棒さんの意見に同感です。いざ書こうとすると書けません。
オカピー
2006年10月31日 18:58
かよちーのさん、レスが洩れておりました。ごめんなさい。
書くとしたら、「(ギリアムらしい)毒もないし、笑えない」くらいで宜しいのではないですか。
2006年11月06日 15:13
オカピーさん、こんにちは。
仰るとおり、シネヌーヴォです。一日で五本連続鑑賞はさすがに疲れました。とは言いながらも帰宅後には記事にするために『イワン雷帝』のビデオを再び観ていました。一日に二回も雷帝を見るとは思いませんでした。

 さて映画宣伝に関してはどうしてもオーヴァーになりがちなので、基本的に新作を観る時には、何も情報を仕入れずに自分で観たままを記事にするようにしています。

 しかしこのグリム兄弟はスカスカでした。劇場行って、これだったら怒って帰って来ますね。DVDだから許せる作品が多すぎるのが気がかりです。アンデルセン物語までCGバリバリで製作されないことを祈ります。

 ではまた。
オカピー
2006年11月07日 04:27
 用心棒さん、こんばんは。
 私は宣伝など鼻から相手にしませんが、雑誌を買っても紹介記事は全く読まず、ストーリーは知らず、殆どの映画をほぼ何にも知らない状態で観るようにしています。役者は勿論監督すら知らないことが多い。基本的に日本で公開された洋画は観られるものは全て観るようにしているのでそれで問題ありません。邦画に関してはそこまで観られないので、監督の名前をチェックしますね。

 映画はストーリーを知っているのはまずいのに、事前に読んでから行くという人には驚きました。そのほうが映画がよく理解できるのだということですが、それをやるなら映画を二回観たほうが良いです。

 CGに人間が使われている映画はつまらない。CGありきで話をでっちあげて面白いものができるわけがありません。昔は、話がありそれをどういう風に映像化するかを監督、撮影監督、美術監督らが頭をひねったから、面白い映画ができたんですよね。
2006年11月09日 02:50
 こんばんは。
>事前に読んでから行くという
ええっ!原作本ではなくて映画紹介記事をですか?最近では『ブラック・ダリア』はジェームズ・エルロイの原作小説があって、映画との差異を楽しむという姿勢で劇場に行って参りました。「小説とは違う!」などという寝ぼけたことは言いませんし、違いがあるから楽しいのだと思って、映画を観ていました。
 小説ならばそれで良いと思うのですが、映画紹介を読んで、「驚異のCG!」やら「驚きの結末!」など見所と呼ばれるものを読んで観てしまってはハプニング的な要素がまったくなくなり、何を楽しんで良いものやらさっぱり解りません。
 恐いもの見たさも映画の魅力なんですけどね。安心が優先されるのでしょうか?ではまた。
オカピー
2006年11月09日 05:44
 用心棒さん
 そうした信念のある方は原作を読まれても良いですが、ミーハーの方たちは「やれ、原作と違う」だのと、原作と違うことを評価の対象にしたり、的外れしてしまうから嫌ですね。
 私は古典はいざしらず、新しい作品は観る前には読まないですね。まして推理・SF系など面白さの大半は新しいネタにあるわけですから勿体なさすぎます。貧乏性です(笑)。
2006年11月09日 09:46
 オカピーさん、おはようございます。
 映画化されるとは思いもしなかったエルロイの「LA暗黒四部作」のうち、『LAコンフィデンシャル』『ブラック・ダリア』が映画化されました。かなりハードな内容を持つこれらの作品を映画化せねばならないほどに感受性が麻痺している現状は深刻なのではないでしょうか。
 日本にも星新一のように素晴らしいSFショート・ショートを書いていた作家がいましたので、彼の作品が映画の題材になれば、ネタの宝庫でもありますし、作り手、とりわけ監督と脚本家が良い本を書けば、素晴らしい映画が出来ると思います。
 しかし溢れる情報から身を守るのは大変ですね。サッカーの試合を録画していて、家に帰ってから見ようと思っていたら、夕刊やら街頭の電光ニュースで結果を流しているのを見ると無性に腹が立ちます。結果が分かってしまうと見る気が失せますよ。実際分かったら見ません。ではまた。
オカピー
2006年11月10日 02:32
用心棒さん、こんばんは。
星新一は映画にするのは大変でしょうね。SSですから長く引っ張っても30分、4・5本を合わせてやっと1時間半くらいの作品になりそうです。

私の場合は野球ですが、高校野球を録画してさて観ようかと思った矢先に結果を言われて意気消沈したことがあります。結局観ましたが。

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