映画評「チャーリーとチョコレート工場」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2005年アメリカ映画 監督ティム・バートン
ネタバレあり

ティム・バートンは苦手な監督。彼独自の極彩色の表現が余り好きではないのである。
 それより<奇妙な味>で知られる短編ミステリーの名手ロアルド・ダールの童話作家としての側面に興味があった。原作は「チョコレート工場の秘密」だが、ジーン・ワイルダー主演で一度映画化されたことがある(1971年、日本未公開)ので、今回はリメイクである。

従業員が一人もいないはずなのに世界中に商品が販売されているチョコレート工場の経営者ウィリー・ウォンカ(ジョニー・デップ)から、ゴールドチケットを獲得した5人の子供たちが工場見学を許され、さらにその中の一人に特別の褒賞が贈られるというニュースが届く。

最後に選ばれたチャーリー(フレディ・ハイモア)は家族思いの貧乏少年だが、他の4人は欲望社会である現代が産んだいびつな子供たち。
 食い意地の張った肥満少年、チョコレートを買い集めた金持ちのわがまま少女、勝つことだけを考えて他人を尊重しない少女、ゲームしか興味のない打算的で頭でっかちの少年、という顔ぶれで、教訓臭さが序盤からぷんぷんと臭い出す。

彼らが夫々一人ずつの保護者とともに工場に入り、そのいびつさからとんでもない目に遭う。
 チャールズ・ディケンズの「クリスマス・キャロル」を思い出させる分かり易い教訓話と言って良いが、四人の子供たちのタイプは子供に限らず現代の欲望そのもの、まるでキリスト教の<七つの大罪>みたいで納得させるものがある。教訓臭い話は余り好きではないが、それをはっきりと狙いにしているのでまあ宜しい。

チャーリーは古い時代からやって来たような善良な少年なので予想を超える褒賞を得ることになるのだが、最後はウィリー・ウォンカの父との和解を絡め家族の絆を称えて終り。

この類は本当の美術と装置でやってくれると感激するのだが、いかに素晴らしくても大半がCGでは感激も半減となる。撮影はフランスの名手フィリップ・ルースローだが手持ちぶさたであったろう。

子供たちがひどい目にあう場面のミュージカル的処理は楽しい。

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この記事へのコメント

chibisaru
2006年10月12日 23:05
こんばんは。いつもありがとうございます。
この作品めずらしく劇場で見てしまいました。子供に戻ったように楽しくて見終わったあとも歌いだしてしまいそうなほど(笑)
一番の貢献者はウンパルンパでしょうね。
彼(ら?)のダンスと歌にもうクラクラ(笑)
あと、リスのコミカルな動きにノックアウトされてしまいました。

DVDで見直してみるとそこ以外はたいしたことはないなぁとは思うのですが、それでもやっぱり見ると歌いだしてしまうほど楽しい気分になれました(笑)
オカピー
2006年10月13日 00:53
chibisaruさん、こんばんは。
ウーパールーパーならぬウンパルンパとは。
あれは楽しかったですね。

VFX処理が凄いと感心した人がいましたが、それを言うなら80年以上前の「キートンの即席百人芸」が凄い。クラシックのコンサートを聴く場面で、演奏家も客も全てキートン。それも全然不自然ではない。VFXなどという技術がない時代にあの芸当の方が数段すごいですじょ。
かよちーの
2006年10月19日 12:58
DVDを買うほど(それも特典つき・笑)気に入っています。
リス好きだからって理由なんですが..。
オカピー
2006年10月19日 18:39
かよちーのさん、こんばんは。
リスは可愛いですねえ。動物は観ている分には大体好きですけど。
CGではないですが、本物をベースに色々といじってはいないかしら? よく解らん。
かよちーの
2006年10月20日 21:18
本物とCGと人形を組み合わせているみたいです。
リスを調教っていうところがわたしの心をつかみました。
メイキングを見るとけっこうCGだな~とわかります。
オカピー
2006年10月21日 14:02
かよちーのさん
IT時代ですから、本物からありえない動きを引き出すことも可能な次代ですから、CGでなくてもかなりのことが出来ますよね。
しかしであります。この作品のことではないですが、実写で撮るべきショット(例えばカーアクション)などまでCGやそうした合成を使う傾向は全く感心しません。そういうのを私は「なんちゃって実写映画」と申しておりますが、実写映画は極力実写・実技で勝負しなくてはつまらん。最気品のハリウッド娯楽作品は、アニメを観ているのと殆ど変わらんという気がしませんか。
かよちーの
2006年10月22日 00:41
ブルーバックでしか撮ってないでしょと突っ込みたくなる作品ってありますよね。
ウソ臭くても実写が好感が持てたりするときもあります。
CGばかりだと映画館で酔いそうな気がして足が遠のいてしまうときがあります~。
オカピー
2006年10月23日 00:49
かよちーのさん
前の私のコメントはかなりひどい間違いをしていますが、意味は何とか解りましたか(お粗末でした)。

うそ臭くない実写であれば、それに越したことはないですけどね。
ニューシネマ時代のカーアクションなど、細工をしていないのに(から)迫力があるものが多く、今となると感心するばかり。「栄光のル・マン」「ブリット」「フレンチ・コネクション」など素晴らしかったなあ。
ぶーすか
2008年03月06日 11:45
TBとコメント有難うございます。
<CG向きのお話は寧ろ本物の装置や美術で観たい
とのことでしたが、いかにもうそっぽい工場ファンタジーにはマッチしていて、上手い使い方だったと思ってます。正統派ミュージカルという感じのジーン・ワイルダー主演のオリジナルよりもずっと楽しめました。
オカピー
2008年03月07日 01:42
ぶーすかさん、こんばんは!

>うそっぽい工場ファンタジーにはマッチ
そういう観点では、その通りですね。^^

しかし、あの程度のシンプルなセットなら美術・装置で十分できると思えるんですがねえ。
CGは他に手段がない時に使わないと、実写で撮る力が落ち、いずれ作品の質も落ちて行くというのではないかという疑念は拭えません。

ティム・バートンでは皮肉にもモノクロの「エド・ウッド」が最も感心した作品で、次が「ビッグ・フィッシュ」辺りでしょうか。

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