映画評「男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1983年日本映画 監督・山田洋次
ネタバレあり

「男はつらいよ」シリーズは第1作を除いてテーマ【映画 あ行】から省きましたので、テーマ【山田洋次】にて検索をお願い致します。

シリーズ第32作。全3回の出場回数を誇る竹下景子が初登場する。

開巻直後寅さんが毎度見る夢は作品全体のプレビューだから、軽く見てはいけない。夢の中で寅さんが結婚することになるのだが、それは別人で大慌て。といったわけで今回も既に何度か扱われた<結婚>がテーマである。

岡山は高梁(たかはし)、寅さんが博(前田吟)の父親の墓参りに訪れる。そこへ住職(松村達雄)がへべれけになって現れたのが縁で寅さんが寺に厄介になることになるが、代理の法話は好評だし出戻りの娘・朋子(竹下)への思いは断ちがたいし、長居をするうちに博一家が三回忌に訪れたことから大騒動。
 通常のセンスなら慌てるのは寅さんにするだろうが、山田洋次(と朝間義隆)はそこが違う。博とさくらが大慌てしてしまうのである。可笑しかったなあ。

後半は息子(中井貴一)を追い出した住職の軽口から寅さんが朋子との結婚を真剣に考え、柴又の御前様(笠智衆)の下で修行を始めるがこれが文字どおりの<三日坊主>。弟の様子を見るだけでなく寅さんの心境を確認しに上京した朋子を見送る寅さん。
 別れの場面が相変わらず巧いねえ。二人が少し離れる時のさくらの微妙な表情もたまらないねえ。「分ったかい?」と問う寅さんに首を横に振る竹下景子も可愛いねえ。
 彼女が去った駅を出て行く寅さんをさくらが小走りに追いかけるところを引き(セミロングショット)で撮る。この時観客には名状し難い切なさが湧き上る。山田洋次の至高の名人芸である。

因みに博とさくらの一家が使っている冷蔵庫は、我が家が1967年頃に買ったものと同型であった。引っ越して何年も経っていないのに彼らはそんな古い冷蔵庫を使っているのだ。泣けますな。

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この記事へのコメント

ぶーすか
2006年09月24日 19:24
TB&コメント有難うございます。松村達雄 演じるヘベレケ住職がイイ味だしてましたねー。
<冷蔵庫
他に時代を感じたアイテムが満男がタコ社長からもらったパソコンです。あの頃、自宅にパソコンがある家なんてかなり少なかったのではないかなぁ…。
オカピー
2006年09月25日 02:30
ぶーすかさん、ようこそ。

<松村達雄
結構軽率。愉快でしたね。やっぱり<おいちゃん>をやっただけのことはあります。

<パソコン
あの頃のパソコンといったら、英語ができない素人は使えませんよ。とにかくWINDOWS95が出る前は、パソコンは専門家のものでした。

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