映画評「ビューティフル・マインド」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2001年アメリカ映画 監督ロン・ハワード
ネタバレあり

2003年度第6位。その時の選評です。

ベスト10の中に米国映画は一応4本入っているが、米国製と堂々と言えるのは「A.I.」と本作の僅か2本である。益々氾濫するヴィジュアルの洪水に反比例するように想像力に欠ける傾向を突き進むハリウッド映画群にあって、この作品にはかなりの手ごたえを感じた。

実在するノーベル賞受賞数学者ジョン・フォーブス・ナッシュの風変わりの後半生を描いたものお話だが、伝記映画でありながら前半はかなりトリッキーに作られている。
 ナッシュの不器用な人間ぶりに加え、このトリッキーな扱いがなかなか楽しめ、実は個人的に最も気に入ったのはこの部分である。
 つまり、彼が独自のゲーム理論で大学教授の地位を得る前から実は本人が気付かぬまま殆どの時間を幻想の中で過ごしていたのだが、それをサスペンスの要素として意識的に構成している為、後半の軸となる夫婦愛の物語も淡々と夫婦愛を描いた場合よりもドラマティックな感慨に結実するのである。

ナッシュを演ずるラッセル・クロー、その妻となるジェニファー・コネリーの充実した演技は貢献度が高い。
 監督ロン・ハワードはアカデミー賞の常連ながら余り信用できない。脚本の出来が悪いと途端につまらない作品を作るからである。今のところ確実な仕事をする職業監督という評価に留めておきたい。

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この記事へのコメント

十瑠
2006年09月15日 15:23
ロン・ハワードは私にとってはハズレのない監督の一人です。注文も付けたくなる所が幾つかありますが、総体的に満足させてくれます。
「シンデレラマン」も「ダ・ビンチ・コード」も見てないので、これが私の中では一番新しいハワード作品ですね。

最近は映画館では1回ずつの入れ替えだと思いますが、こういうのって1回で退場させられたら腹立つような気もしますネ。
http://blog.goo.ne.jp/8seasons/e/246356f8acf556bfc72b89ccc9c308e0
オカピー
2006年09月15日 16:53
十瑠さん、コメント有難うございました。
>ロン・ハワード
堅実な仕事をしますが、与えられた脚本を超えてしまう、例えばヒッチコック的な才能、映画作家的な資質では現状ではまだまだかなあという気がしています。反面、脚本の出来を壊すこともないですね。
viva jiji
2006年09月15日 17:09
>余り信用できない。脚本の出来が悪いと途端につまらない作品を~
う~~ん、そうでしょうか。例えばプロフェッサーがつまらないと思われた作品、教えて下さい。
ロン・ハワードは私も十瑠さんと同じです。必ず観ますし、映画を楽しみに観に来る客の心根をわかってくれている監督のひとりと思います。
「ダ・ヴィンチ~」など彼以外の監督がもし作ったら・・・それこそ信用できないとんでもない映画になったと思います。
またハワードは製作・総指揮の分野では大変目利きに優れた作品をもってきてくれます。プロフェッサーの評価高かった「ノーマンズ・ランド」もそうですし、隠れたる心理劇の傑作と私だけが絶賛している(笑)アラン・リックマンとマデリン・ストーの役者2人しか出ない密室劇「クローゼット・ランド」(監督:ラダ・バラドワシ)もプロデュースしています。
「ザ・ペイパー」「グリンチ」「シンデレラマン」面白かったです。「アポロ13」は英雄になり損ねた男達をいかにして地球に帰還させるかなんて失敗してから始まるお話なんて着眼点がユニークで楽しめましたけどね。
オカピー
2006年09月15日 18:07
viva jijiさん
そこまで猛反発されるほどひどいことを申したつもりはありません。私が最高の職業監督と崇めるウィリアム・ワイラーほどではないというニュアンスでは述べていますが。採点表を作ってみました。
最新の二作は未見。「ザ・ペイパー」は観たはずですが記憶なし。

4点(劇場映画としては不可)
バニシング・インTURBO
5点(平凡)
スプラッシュ、グリンチ
6点(まあまあ)
ウィロー、バックドラフト
7点(良)
コクーン、バックマン家の人々、身代金、エドtv
8点(優秀、秀作)
遥かなる大地へ、アポロ13、ビューティフル・マインド
十瑠
2006年09月15日 21:50
オカピーさん。
viva jijiさんのコメントは“猛反発”ではなく、同じ映画ファンとしての忌憚のない意見を求められただけでしょう。あまり気にせずに、<Let's take it easy.>

点数は付けない主義ですが、あえてのっかりましょう。
“ぼくの採点表”形式でいきますね。

バニシング・インTURBO、グリンチ、エドtv、バックマン家の人々は観てません。

65点(まあまあ)
スプラッシュ
70点(良)
バックドラフト、コクーン
75点(優秀、秀作)
ウィロー、身代金、遥かなる大地へ、アポロ13、ビューティフル・マインド

甘~い、かもね!
viva jiji
2006年09月16日 08:34
また私、プロフェッサーを“へこませてしまいましたか~?”
申し訳ありませんでした。
猛反発、というリアクションに私のほうこそ正直、驚いていますが。
十瑠さんにまたもや温かい仲裁役をやっていただく破目になりました。
プロフェッサー、反発などではありませんのよ。ハワードの当初のすべり出しはイマイチでしたが近頃では着実に堅実にヒットを飛ばしている、それこそ職業監督と思うからです。もちろんアラもたくさんありますし雑な作り方もありますが「シンデレラマン」を観た時、「腕を上げて来てるな!」って思ったものですから。ヒッチおじさんや巨人中の巨人のワイラーと比べられたら、それはもうハワードさんが可哀想!かの方たちは「別格」ですもの!“私たち”って言ったらプロフェッサーに怒られるかも知れませんが「映画」という共通の「恋人」を“愛しすぎて”いるんですわ~私たち~。まるで「僕のほうがこんだけ愛しているんだ!」「いいえ、私のほうこそ、こんなにも愛しているんです!」って言ってるみたい。(笑)ねえ、十瑠さん、そう思わない?
オカピー
2006年09月16日 10:46
十瑠さん、色々と有難うございます。
「ハッカビーズ」を巡ってある方のブログでかなり攻撃的な反論に遭ったもので「なぜそう攻撃的になるのだ?」とちょっとへこんでいたところへ、正当性があるとは言え、viva jijiさんまでも・・・「うぇ~ん!」てな感じですよ。

双葉塾の生徒である十瑠さんが「採点をつけない主義」とは面白いですね。私は文章だけではお気に入り度が解らないので、採点は不可欠と思っています。例えば、わが文章を読んだだけでは8点の「AI」と10点の「激突!」の差が掴めません。この2点は出来栄えの差以上に、お気に入り度の違いでありますから。

傾向的には「ウィロー」を除けば同じですね。さすが双葉塾卒業生です(笑)。非常に安心しました。確かに、8本のうち5本が☆☆☆★★★なら「外れが少ない」監督ですね。
私も7本が<良>以上なので、言うよりは評価しているのですが・・・言葉至らずでした。
オカピー
2006年09月16日 11:12
viva jijiさん、恐縮です。またお騒がせ致しました。
結局私の心の中に(出来に振幅があっても)映画作家は安心感があるのですが、職業監督は蓋を開けてみないと解らんぞというところがあるのです。
実際この二つの区別は曖昧ですし、色々と複雑ですが、
①脚本に手を染めない
②様々なジャンル、タイプの作品を作る
を職業監督かどうかを判断する基準としています。実際にはそんなに単純ではないはずが。

ワイラーは映画史上最高の職業監督。凡作すら作ったことがない超人です。
職業監督が大半を占めていたハリウッドでも、ニューシネマ以降、映画作家が増えてきました。大物の中でハワードは役者上がりということもあり、珍しく職業監督的。脚本を駄目にする監督も少なくないので、堅実だとは思っているのですが、この脚本でよくぞここまで仕上げた、という作品がまだ出逢ってないんですね。「ダヴィンチ・コード」はviva jijiさんの措辞から判断するに、そんな作品かもしれません。楽しみだなあ。

私も仲間に入れてください。色々と背景、伏線があったものですから、その~、過剰反応してしまいました。
十瑠
2006年09月16日 12:38
viva jijiさんの愛に比べたら私なんぞ脚元にも・・・。刺激的な文章は毎朝の楽しみであります。
そういえばviva jijiさんの所にも反撥というか、否定的な反応があるようですネ。概ね一蹴されているようですが(笑)。

オカピーさん。
高校生の頃は一生懸命点数を付けていたんですよ。でも相対的な矛盾が出てきたり、技術的な面ばかりに目がいくようになって映画を楽しめなくなった時期がありまして止めました。
正々堂々と採点結果を評と共に公にしておられるのは、流石セミプロを自称しておられるだけの事はあると感心しております。
未見の作品で高得点のものは忘れないようにしておりますよ。

今回のハワード作品の点数もなんとなく思い出しながらのモノなので、その程度と考えて下さい。
オカピー
2006年09月16日 18:57
十瑠さん、こんばんは。
viva jijiさんは文章も巧みで、ご自分の中で良い映画の基準がしっかり確立されていまよね。ぶれがないのが良いのは映画そのものも同じ。そういう意味でviva jijiさんには双葉さんに共通するものを感じます。

十瑠さんは、まず、ハンドルネームの由来を教えてもらいたいですね。そもそも正確に何と呼ぶのかも解りません。
私の最初の数年は採点付けには苦労したものです。当時は当然ノートですから、毎日消しゴムを握って点数を付け変えていたり。今はもう観て一巻、遅くても三巻で大体のところは固まりますね。
双葉さんが5年前に肺病で倒れて「ぼくの採点表」が中座して以来、力及ばずながらも、密かに双葉さんの代わりを務めているつもりなんです(馬鹿だね~)。
ブログを立ち上げる時に私は「スクリーン」編集部に連絡して、双葉式星取表を使わせて戴く許可を取ろうかと真剣に考えましたが、慣れるまで解りにくいだろうと思い、解りやすい10点満点式にしました。それでもちょっと解りにくいだろうと思いますけどね。

今後とも<双葉もどき>を宜しくお願い致します。
十瑠
2006年09月16日 21:10
双葉さんは「トム・ソーヤ」から持ってこられたんですよね。
私のは読み方は「ジュール」としてます。「とおる」と読まれた方もおりましたが、あぁ、そういう読み方もあったかとコチラが驚きました。

初めて親に買ってもらった本が「北極冒険旅行」。以来ジュール・ヴェルヌはご贔屓作家でした。ということで、このフランスの名作家から戴きました。
一番好きなのは、風邪で学校を休んだときに寝床の中で読みふけった「十五少年漂流記(二年間の休暇)」です。
オカピー
2006年09月17日 03:46
十瑠さん、ご説明有難うございます。
トム=トミー⇒十三、ソーヤー⇒そうよう⇒双葉でしたね。
それならハックルーベリー・フィンにハンドルネームをすれば良かったかな、と前のコメントで書こうと思ったら字数オーヴァーでした。
フィンはひれだから、鰭八苦兵衛(ひれ・はっくべえ)なんて(笑)。

私にとってのジュール・ヴェルヌは「海底二万哩」ですね。しかし、その後読んだルパン・シリーズに心酔しましたので、アルセーヌ・ルパンかモーリス・ルブランから戴く手もありましたなあ。
中でも正式名「カリオストロ伯爵夫人」が素晴らしかった。学校で読んだ児童向け邦題は「七つ星の秘密」でした。何だかわくわくするでしょ?

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