映画評「四日間の奇蹟」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2005年日本映画 監督・佐々部清
ネタバレあり

結論を観客に委ねた「半落ち」、同世代の青春に胸をふるわせた「チルソクの夏」と好みの作品を発表してくれた佐々部清はご贔屓の監督になったので期待して観たが、やや物足りない面もある。原作は浅倉卓弥。

発砲事件で指を折られピアニストを辞めた青年・吉岡秀隆が、その事故で身を守った少女・尾高杏奈のピアニストの才能を見出す。彼女は知的障害者だが、有名な少年画家やレインマンのようにサヴァン症候群によりピアノに素晴らしい才能を発揮しているわけである。
 2人は施設を回って人々を励ます日々で、研究所と病院を兼ねた療養所を訪れる。彼は知らないが、そこでは高校時代に彼に恋していた石田ゆり子が働いている。ある時稲妻に襲撃され彼女は重体になり、軽傷だった少女にその心が転移してしまう。

というファンタジーで、結婚に失敗した彼女の揺れる心が、少女への怨みを完全に否定出来ない青年や植物状態に陥った妻について医師の心情と交錯しながら綴られていく。
 80年代から90年代にかけて盛んに作られた精神交換もののヴァリエーションなので些か証文の出し遅れみたいな印象があり、のめり込んで観られない憾みがあるものの、非常に真面目に作っている態度に好感を覚える。「チルソクの夏」ほどの巧さは感じられないが、軽佻浮薄の時代の中で佐々部監督はやはり期待株である。
 配役では、前後で表情ががらりと変わる尾高杏奈に感心。

因みに、僕が住んでいる場所は夏となると嫌になるほど雷雨に見舞われるのだが、その経験から言っても雷雨の時は早く家の中に入らないといけない。

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この記事へのコメント

2006年08月30日 00:41
オカピーさん、あっという間?に800稿ですね。 
これからも楽しくて辛口の映画評をお願いします。
群馬県といえば、“カカア殿下と空っ風”ですね。 雷雨が多いとは知りませんでした。
オカピー
2006年08月30日 02:20
みのりさん、どうも有難うございます。とりあえず年内1000稿が目標です。
私のは一般的な意味の感想文ではないので、楽しく読んでくれる方は少ないと思いますが、もう少し辛口度を増したほうが面白いかもしれませんね。

本当にとんでもないところで、夏は雷でこわごわと学校から帰り、冬は風に飛ばされそうになり帰ります。自転車は本当に大変ですよ。最近の子供たちは雨が降れば車が迎えに来ます。甘えるのもいい加減にせいよ(笑)。台風が余り来ないのは良いですね。
みのり
2006年09月02日 18:34
オカピーさんそろそろブログを始められて一周年じゃないですか?
年内1000稿というのは、オカピーさんにしてはスローペースじゃないかしら?
オカピー
2006年09月03日 03:00
みのりさん、こんばんは。
9月2日で丁度1周年ですね。映画評は3日からですから、今日で1周年。
最近文章が長くなっているので、ペースが維持できないです。4ヶ月で200本・・・良いところでしょう。
TATSUYA
2006年09月24日 10:50
初めまして、達也です。
『四日間の奇蹟』は、佐々部監督作品なので、
カーテンコール、出口のない海に続いて観ました。
透明感のアルいい映画でした。特に千織役の女の子が、
映画初出演とはとても思えないほどの演技を魅せてくれ
、西田敏行、松坂慶子も良かったです。
ラスト近くのピアノで『月光』と、ショパンの『別れの曲』を
連弾で弾くシーンには感動しました。
エンディングで真理子の魂が教会の屋根から
ゆっくりと上って逝く様を空撮で撮ったシーンも
とても印象的でした。

P.S トラバさせてくださいね。
オカピー
2006年09月24日 15:31
TATSUYAさん、初めまして!
佐々部監督は私もご贔屓監督になりつつあるんです。特に「チルソクの夏」は同世代ということもあり、ぐっと来ましたし、演出が上手かった。

>千織役の女の子
尾高杏奈というらしいですが、上手かったですね。前後の顔が全然違う。台詞を言わずとも、観ただけで内面の変化がはっきり解りましたよね。
kimion20002000
2008年05月11日 23:28
テーマとしては、好きなんですけどね。
映画での直島がとても印象に残ったので、一度行きたいなと思いつつ、まだ果たしていません。
オカピー
2008年05月12日 03:34
kimion20002000さん、こんばんは!

kimionさんの仰ることは基本的に全くその通りなんですけど、余り気にせずにみましたね。

元来人情的なものには弱いです。
しかし、お涙頂戴は余り当てはまりません(笑)。

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