映画評「リング」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1927年イギリス映画 監督アルフレッド・ヒッチコック
ネタバレあり

アルフレッド・ヒッチコック第6作。

ヒッチがサスペンス、スリラーに専念する前に作ったドラマ。メロドラマと言って差し支えない。彼自身と妻アルマ・レヴィルの書き下ろしである。
 これは外国製のDVDで観たのだが、最初のDVDプレーヤは規格に忠実で、恐らく反射率の低いこのディスクを完全に読み取れず、場面を二つほど抜かして観るしかなかった。最近のプレーヤはDVD-Rに対応する為反射率の低いディスクでも読めるので、このディスクも見事にクリアした。

遊園地に<ワン・ラウンド・ジャック>と呼ばれる無敵のボクサー(カール・ブリスン)がいる。ところが、そこへプロのチャンピオン・ボクサー(イアン・ハンター)がやってきて結局やっつけてしまう。
ジャックは恋人ネリー(リリアン・ホール=デーヴィス)と結婚するが、ネリーは腕輪をもらっていた関係でチャンピオンとかなり懇ろになっていて、痴話喧嘩の挙句に出て行ってしまう。プロボクサーになった彼は順位を上げていっていよいよチャンピオンとの戦いとなるが、ジャックの奮闘が彼女の愛情を蘇らせる。

蛇の形をした腕輪をちょっとした狂言回しにした作品で、チャンピオンが彼女に最初にこの腕輪をプレゼントする、結婚式直後の河のシーンを経て、ラスト・シーンではジャックが一度抜いた腕輪ははめ直す、といった活躍をするわけである。
 トリュフォーも指摘したように蛇は原罪の象徴であり、トリュフォーが「隣の女」で不倫を原罪として扱ったように不倫は原罪である。そういう意味では見た目以上に凝っている作品で、タイトルも<輪>のリングとボクシング会場を示すリングの掛詞になっている。

ヒッチコックも自信たっぷりに語っているが、ジャックの出世をポスター上で彼の名前が上昇することで象徴するだけでなく、その期間の長さと変化を表すために風景の変化をオーヴァーラップさせるという演出が取られている。この作品の前にもあったかもしれないが、この演出は現在でも多少方法を変えて未だに続いている優れものである。

お話は何と言うことはないが、ヒッチコック研究には必見作。

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