映画評「魅惑の巴里」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1957年アメリカ映画 監督ジョージ・キューカー
ネタバレあり

「ブリガドーン」など50年代半ば振付師としてのジーン・ケリーには些か手詰まり感が見えたが、本作ではそれを払拭した。彼自身を主体に据えないことでそれを解消したのである。勿論再鑑賞。

振付師ジーン・ケリーが自らを座長として作り上げ人気を博した女性三人のグループ“レ・ガールズ”が解散して、それぞれの道を歩み始めるが、そのうちの一人ケイ・ケンドールが出版した本の中で、仲間の一人タイナ・エルグがケリーとの恋に破れて自殺未遂した、と書いてあるのは名誉毀損であるとタイナ嬢がケイ嬢を訴える。ケイ本人とダイナ本人が証言したものの全く食い違う為に第三の証言者ケリーが証言に立つ。

夫々が自分に都合の良いように証言する為に真相が霧の中に入ってしまうという「羅生門」形式の展開そのものがこの作品の楽しさの第一である。
 その証言が映像として再現され、その中で彼女らが繰り広げるお色気に溢れたレビューやミュージカル場面がそれに続く。

上の二人は元々縁のあった男性と結ばれ、残る一人ミッツィー・ゲイナーはどうなったかと言えば言わずもがなであるが、一応円く収まった後サンドウィッチ・マンみたいな老人が「真相は果たして?」という看板を抱えて歩いている場面で終るのもなかなか洒落ている。

ミュージカルがミュージカルらしかった時代は50年代で終焉を迎え、その最後を飾る秀作と言うべし。

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この記事へのコメント

ぶーすか
2006年06月28日 20:26
TB&コメント有難うございます。こちらにもTBさせて下さい。
ケイ・ケンドールが出ていたのでそれだけで見る価値はありました。でも「雨に唄えば」と比べるとちょっと退屈していまって…^^;)。
オカピー
2006年06月29日 02:52
ぶーすかさん、こんばんは。
お話では、トーキー初期の実際にあったドタバタをベースに作った「雨に唄えば」が一番面白いかもしれませんが、この作品の三者三様の色気の出し方が大変面白かったです。
私のケリーのベストは「巴里のアメリカ人」と「踊る大紐育」(ブログ掲載済)でこれは10点。「雨に唄えば」も素晴らしいが、ミュージカルとしての魅力でやや上記2作品と差があるので9点です。

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  • 「魅惑の巴里」「クレイドル・ウィル・ロック」

    Excerpt: ●魅惑の巴里…★★ 【NHKBS】ジーン・ケリー、ケイ・ケンドールのミュージカル。美女3人を手玉に取る色男の振付師を演じるジーン・ケリーだが、見どころは3人の美女の方にあって、若干活躍の場が少ないの.. Weblog: ぶーすかヘッドルーム・ブログ版 racked: 2006-06-28 20:20