映画評「ル・ディヴォース~パリに恋して~」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2003年アメリカ=フランス映画 監督ジェームズ・アイヴォリー
ネタバレあり

ダイアン・ジョンスンのベストセラーをジェームズ・アイヴォリーが映像化した風刺喜劇。

フランス人と結婚し現在二人目の子供を妊娠中の姉ナオミ・ワッツを訪ねて妹ケイト・ハドスンがアメリカからパリにやって来るが、義兄が不倫の末に家を出て離婚騒動になり姉を見守る必要が生じ、詩人である姉の紹介で女流作家グレン・クロースの許で働き始め、ロマン・デュリスというボーイフレンドが出来ながら、義兄の叔父ティエリー・レルミットとゲーム感覚の不倫関係を始める。
 その一方で、離婚が決定したことから姉夫婦の持っていた博物館クラスの絵画が家族同士の奪い合いになり、アメリカから両親(サム・ウォーターストン、ストッカード・チャニング)までやって来るのだが、この一連の場面で米仏のカルチャー・ギャップが皮肉っぽく描かれて面白い。
 やがて姉の自殺未遂、義兄が不倫相手に殺される悲劇的な事件の後、人々は落ち着くべきところに落ち着いていく。

世間では<面白くない映画>という評判が立っているが、分かりにくくはあっても面白くないと簡単に断言できる作品ではない。「面白くない」と言っている方の大半が映画の性格と狙いを正しく理解していないだけである。出演者に若いハリウッド・スターを揃えているせいもあって、大半の方がロマンティック・コメディーか恋愛映画或いは不倫ドラマとして観ているが、見当違い。それではこの作品は何を描いているのか。
 米仏間のカルチャー・ギャップを点出しながら、女性差別のあるらしいフランスで束縛されたヒロイン(とその姉)がいかに自由を取り戻すかを描いた人間ドラマなのである。

見落としている人も多いだろうが、実は開巻直後モイラ・シアラー主演の映画「赤い靴」がTV放映されている。ご存知のように<赤い靴>を履いた人間は死ぬまで踊るのを止められないわけだが、映画の束縛ムードはここで決められている。映画では靴の代りに赤い鞄を持たせ、最後にそれを手放すところで終る。
 その合間に起る様々なエピソードでは、観客にも登場人物同士がすれ違う時に起る摩擦熱を楽しむような余裕が欲しい。

アイヴォリーとしては「シャンヌのパリそしてアメリカ」を逆の設定にした印象であるが、得意とする英国貴族調作品ほどは手応えがない。

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    Excerpt: 世の中好き勝手に生きてる 大人たちが多すぎますね。 大人がこれだと子供たちが かわいそうです。 ちなみに扶養家族はいません。 好き勝手言います。。 評価 : 3/10 Weblog: Watch IT! racked: 2008-09-15 14:42