映画評「ボーン・スプレマシー」

☆☆★(5点/10点満点中)
2004年アメリカ映画 監督ポール・グリーングラス
ネタバレあり

60年代に流行したアリステア・マクリーンのスパイ映画を思い出させてなかなか嬉しい部分もあった「ボーン・アイデンティティー」の続編だが、監督はポール・グリーングラスに代った。原作は前作と同じロバート・ラドラムの別作品。

記憶喪失になったCIAの暗殺者というのが異色で、これが前作の面白さの大きな部分を担っていたのだが、二作目となるとこれでは押せない。
 インドのゴア、前作で懇ろになった恋人フランカ・ポテンテとひっそり暮らしていたマット・デーモン即ちボーンの前に、CIA公金横領事件解決の鍵を握る狙撃者カール・アーバンが出現、結局彼の放った銃弾により彼女は絶命、ボーンは姿を消す。
 以降、ボーンはCIAに追われながら、横領事件調査班のいるベルリン、ナポリ、モスクワと転々とし真相探しを続ける。

この作品には大きな問題が二つある。
 一つは映画界全体に関係することだが、話に連続性のあるシリーズものは発表間隔を置いては駄目だということ。僕のように年間400本以上映画を観ていると、気に入った作品以外は細かい部分はどんどん忘却され、続編を見る頃にはどうしても解らないことなどが散見されるようになる。続けて観ればもっと面白いのだろうが、結果的に余り面白くないということになりがちである。
 現在公開される映画の2割近くがシリーズものかリメイクであり、ネタ不足は相当深刻。ハリウッド映画に限れば3割くらいであり、僕はこの状態を大変危惧している。

もう一つの問題点はカットの異様な多さとハンド・カメラの多用である。
 特に、モスクワでのカー・アクションは意図として理解出来る部分があるものの、ロング・ショットとクローズアップによるカット転換がむやみに行われ、何がなんだか分らない状態になる。しかもハンド・カメラで撮影されているから実に落着かず、常にふらふらした映像に気持ち悪くなる人がいても不思議ではない。緊張感、迫真性を出そうというところだろうが、<木によって魚を求む>愚を犯していると言わざるを得ない。

内容に 酔わされる前に 酔う映画

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この記事へのコメント

かよちーの
2006年04月06日 20:47
TBしました。うちのコメント欄ですが、やっぱりスパム対策だったみたいで、普通に直しておきました。
この作品、その瞬間は面白いかもと思うのですが多分2回は見ないしストーリーは忘れると思います~。
オカピー
2006年04月07日 03:42
かよちーのさん、こんばんは。いやあ、もうすぐ朝が来ます~。
観ない観ない、カメラは意識的にぶれてんのかなあ、話に酔う前に映像に酔ってしまいましたよ。良くて酔うのはいいけれど、本当に酔ったら洒落にもなりません。
kimion20002000
2008年05月05日 21:52
結局3部作になりましたけどね。
主人公が、手近なツールを武器にして、超高速で状況判断するところは面白いですね。武器や格闘の訓練というよりは、状況判断と記憶力の訓練みたいです。
オカピー
2008年05月06日 02:12
kimion20002000さん、TB&コメント有難うございます。

「007」のように読み切りのような作品はシリーズものもいいですが、TVドラマのように話が続くシリーズものは一挙に公開してくれないと、僕やkimionさんみたいに数多く観る人は辛いですね。

予想よりは良いとは言え、マット・デーモン君はやはりスパイという風情ではなく、僕には少し苦しいです。

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