映画評「2001年宇宙の旅」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1968年アメリカ映画 監督スタンリー・キューブリック
ネタバレあり

SF映画に革命を起こした超有名作であるが、見るのは20年ぶり2回目に過ぎない。

難解と言われ続けてきたが、今回見直して意外と結構が整っていて、話の鍵であるモノリス(石板)の解釈さえ間違えなければすんなりと理解できるように構成されていることに気づいた。

宇宙飛行士キア・ダレーがコンピューターHALとの戦いに勝つことにより、彼らの使命が初めて明かされるのだが、その時に「月でモノリスという物体が発見され、300万年もの間傷一つつかずにいるのだが、この物体は木星へ電波を発信している」とビデオで説明される。
 この場面が実は大事で、その後あのサイケデリックな光の旅に入っていく。その後半ソラリゼーションがかかった場面に海や島らしきものが見えてくる。これは惑星が生まれる場面を飛行士に体験させていることが判る。そして出現したモノリスに触れると老いた飛行士はまた赤ちゃんとなって生まれ変わる。300万年前の猿人が人類に進化していったように、人類の新人類への進化を示している。

易しくはないが読解力のある人間なら外枠のストーリーはほぼ分るだろう。勿論映像的魅力も満載で、よい意味で見終わった後ご馳走様という気分になる。

リヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」が使われているのは、音楽として格好良いからではなく、曲の原案となった同名書の著者ニーチェの「神は死んだ」宣言にキューブリックが共感したかららしい。因みに私ではなく、町山智浩氏のご意見です。

この記事へのコメント

かよちーの
2006年04月10日 17:20
完全に寝ました。
で、2010年の予告は見ました...。
オカピー
2006年04月10日 18:32
かよちーのさん、こんばんは。
あははは。笑わせないで下さい。
10回に分けてでも観終えないと勿体ないかな。本人以外に完全に解ることは出来ませんが、解ったふりくらいは出来るかも。
かよちーの
2006年04月11日 12:54
そうですか~~、では安いときに購入してみます。
なんせフォークなど、名作として今も売られていて確認できていないので。
オカピー
2006年04月11日 17:37
かよちーのさん、こんばんは。
哲学的な作品であることは間違いないですが、娯楽的な映画の中でつらつらと哲学を語られるより余程ましでしょう。
フォークというのは、ピーター・フォークではなくて、音楽のフォークですか? 僕らの中学生時代は、井上陽水とかぐや姫の全盛期でした。今でもよく聴きます。
オカピー
2006年04月12日 15:13
かよちーのさん、こんにちは。
いやあ、そうじゃないかと思ったのですが、今完璧に解りました。
こちらこそお恥ずかしい次第で。
かよちーの
2006年04月14日 01:51
早速アマゾンでDVDを購入しました。
まだ届いていないですが、楽しみです。でも何回観たら寝ないことになるだろう...。
トム(Tom5k)
2006年04月17日 22:00
>オカピーさん
わたしも寝ました。

でも、おっしゃりとおり、人間は未知の体験をする分だけ進化せざるを得ないのでしょうね。モノリスはその象徴で、HALの異常体験がキア・ダレーを人類の象徴とするものだったと解釈しています。
そして、まさに現代は神を失った封建の世を経験したがために、成り立った最も人類の進化した状態なのでしょう。
今後、人類は何を経験し、どのようにかわっていくのでしょうか?
不安のみでなく、夢や希望も持ちたいものです。
では、また。
オカピー
2006年04月18日 02:56
トムさんまで、何と言うことを(笑)。
冗談はさておき、本来SFは哲学的なジャンルであるはずで、この作品などは正しく(公開当時はともかく)最も成功した哲学的映画となったようですね。細かな点は私も分りませんし、ここまで謎めいた作りである以上それで良いのかもしれません。
道徳的に進歩することはやはり数千年というスパンでは難しいかもしれません。人類は未だに差別と戦争を克服できないでいます。本当に夢と希望を持ちたいですね。

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