映画評「大病人」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1993年日本映画 監督・伊丹十三
ネタバレあり

伊丹十三第7作。再鑑賞。
前作「ミンボーの女」が元で暴力団に襲撃された時の入院体験が影響したのか、今回のテーマは病院である。

俳優兼監督の三國連太郎はガンで余命が幾ばくもない音楽家を主人公にした映画を製作中であるが、自らガンに冒されて入院してしまう。病院の方針で告知はされないが、周囲の反応から察知して自殺まで敢行、離婚を決めていた妻・宮本信子の呼びかけによりあの世から戻り、担当医・津川雅彦からも告知されると、運命を受け入れ、映画を完成させて死んでいく。

虚実がオーヴァーラップする作劇であるわけだが、劇中劇で音楽化された【般若心経】が演奏される撮影場面は文字通り虚実が交錯しなかなか面白い。
徹底したマニュアル映画という作りではなく、あちらの世界を彷徨っている特撮場面なども折り込んでいるが、丹波哲郎ではあるまい、この辺りは観念的で余り感心しない。患者側の苦悩のみならず、尊厳死、というより死の尊厳という難しい問題も扱われているが、描き方は意外と皮相的で感銘するところまでは行かない。

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この記事へのコメント

kimion20002000
2008年04月29日 01:19
伊丹十三については、高校生から大学生ごろにかけては、その軽妙なエッセイや、唯心論を一緒懸命学んでいるあたりは、好きでした。
最後は、なんともつらいものがありました。
オカピー
2008年04月29日 02:20
kimion20002000さん、TB&コメント有難うございます。

>つらいもの
「ミンボーの女」に始まる不穏は、謎めいた自殺に繋がったのでしょうか。
所謂ゴシップ的な事件も、ある筋の捏造だったかもしれませんし、ミステリアスですね。嫌なニュースでした。

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