映画評「隠し砦の三悪人」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1958年日本映画 監督・黒澤明
ネタバレあり

25年ほど前に観た時より遥かに楽しめた。その時の採点(ブログとは違う百点満点星取表)を確認したら同じ点でびっくりしたが、必ずしも納得して付けたものではないようだ。

舞台設定は「七人の侍」より多少前ではないかと想像される戦国時代である。
 千秋実と藤原釜足は武装農民であるが、ひどい目にばかり遭い、国にでも帰ろうかと迷っていたところ偶然薪に忍ばせた金を発見、近くに同じようなものがあるだろうと発掘に取りかかる。そこへ頑強な侍崩れのような男・三船敏郎が現れる。
 彼は存続が危うくなっている秋月家の最後の砦である雪姫(上原美佐)を守る為に他の数名と隠し砦に潜んでいた侍大将で、雪姫を移動させる際莫大な軍用金を同盟国・早川領まで運ばせようとこの二人の利用を思いついたのである。
 四人はいざ出陣、知恵を駆使して関所や追っ手からの危難をすり抜けた後遂に敵軍に捕らえられるものの、縁は異なもの、敵の大将・藤田進が突然反乱を起こして一味は救われる。

最後だけ些か長たらしい印象がないでもないが、それまではスリルとサスペンスの連続といった、何かのキャッチコピーみたいな言葉がふさわしい。極めて直線的な展開で、黒澤作品の中でも理屈を忘れて観られるという意味で「用心棒」と1,2位を争う快作である。

強欲な百姓の二人組の珍道中の面白さはジョージ・ルーカスをびっくりさせ、「スター・ウォーズ」のロボット二組の珍道中に応用されたことはよく知られている。

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この記事へのコメント

2006年06月15日 18:43
オカピーさん、こんばんは。黒澤映画には珍しい単純明快なストーリーを持つため、明るい感じを受けますが、結構お家存続の苦労と家臣たちの自己犠牲も描かれているんですよね。苦難の物語を明るく、そしてスピーディーに纏めきった脚本チームと編集の賜物でしょう。ではまた。
オカピー
2006年06月16日 13:25
用心棒さん、こんにちは。
黒澤明の悪い癖が全く出てこないのが良いですね。彼の性格はとにかくくどいですから、過剰に説明し、得てして暗い方向に話が流れがち。この作品も背景としては戦国時代の陰湿さがあるにしても、時代劇は多かれ少なかれそうしたものですし、マクガフィン的に考えて差し支えないでしょうね。
YOSHIYU機
2008年11月07日 20:30
こんばんわ、虎党です。
早速、こちらにお邪魔しました。
これは文句無しに、面白い映画ですよね。
百姓コンビは笑わせてくれ、馬を駆る三船さんが
とても格好良いですが、何と言っても雪姫が良いですよね。
「姫は楽しかったぞ!」の場面の台詞が、素晴らしかった。
そして、その雪姫の言葉に心を打たれた兵衛の
「裏切り御免!」が最高でしたよね。
オカピー
2008年11月08日 00:50
YOSHIYU機さん、こちらにもトラコメ(虎こめか?笑)有難うございます。

これ、ブログ当初でしかも多分ブログ用に書いていないので極めて簡単な映画評で、すみません。
アクセス数が比較的多い記事に限って手抜きなんですよねえ。^^;

>文句無しに、面白い
黒さんのいつものくどさがなくて本当に面白いです。
まあ、あのくどさも楽しみの一つなんですけどね。

>馬を駆る三船さん
格好良いというより凄いですね。両手離して馬に乗ってしまう。
黒さんの完全主義に乗せられて、相当練習したんでしょうね。
役者根性だなあ。

>雪姫
上原美佐のセリフ回しは相当お粗末でしたけどね。
僕は一本調子のセリフ回しは意外と好き、好きと言ってはなんですので、気にならないほう、と言っておきましょう。

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