映画評「花咲く港」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1943年日本映画 監督・木下恵介
ネタバレあり

この作品の最大の価値は、戦後の巨匠・木下恵介のデビュー作であるということである。

1941年の九州のとある港町、かつてこの地に造船所を作ろうとして破産した人物の遺児と名乗る人物が二人も現れる。実は二人とも詐欺師だが、先に乗り込んだ小沢栄太郎がうまく誤魔化して二人は兄弟に成りすまし、造船所建設の詐欺に町民を巻き込んでいく。
 詐欺師二人が同一人物に成りすまして出会い頭に遭遇するピンチを処理する場面からコメディーとしてなかなか快調で、暫くは戦時色もなく進む。

二人は町民の出資が順調すぎて金額が予想以上に大きくなったことに慌てふためくが、そんな折に太平洋戦争が勃発、人々の善意にも強く反省し、出港式の日の朝にこっそり自首をする。姿の見えない社長と常務(専務だったか?)を訝しがる町民の気持ちもよそに、警官に付き添われて船中の人になっている二人を捉える幕切れが巧い。

戦時中の作品なので、どうしても後半「日本人たるもの」といった表現が目立ち嫌らしいが、それでも木下監督と脚本家・阿部盛はそうした色合いを抑えようとした印象もあり、全体としてはウェルメイドの部類と言って良い。

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