映画評「ロボコン」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2003年日本映画 監督・古厩智之
ネタバレあり

「まぶだち」でなかなか良い感覚を示した古厩智之監督がそれ以上に才能を示した青春映画。

高専で落ちこぼれになった女生徒・長澤まさみが居残り授業の代わりにロボット・コンテスト略してロボコン出場を目指すロボット部に協力することになるが、派遣されたのはきちんと管理された第1部ではなく、オタク的な伊藤淳史が部長を務め、人間嫌いのような小栗旬が設計を担当している第2部。さらに不良っぽい幽霊部員・塚本高志がいる。

無気力だった彼女が無気力極まりないクラブに入ったらどういう化学変化を起こすか、と思えば、ロボコンに惹かれたということもあるのだろうが、他のメンバーの無気力ぶりを見て彼女は俄然燃えるのである。この心理が実に面白い。

ほぼ偶然的な理由で本大会に進出を決めたチーム。合宿では旅館で働きながら設計を進め、本番では幸運にも恵まれ決勝に進み、その間にメンバーは人間的に成長していく。オタク的な部長は指導力を身に付け、設計オタクは他人との付き合い方を学び、幽霊部員は最後までやり遂げることを知り、バラバラだったグループにも一体感が生まれてくる。

正に青春スポーツ映画の定石的な展開であるが、古厩監督のリズム感と呼吸が抜群でそんなことは全く気にならない。演出と編集の力は物語性に勝るのである。試合展開そのものにも手に汗を握らせる巧さがあるが、ディテールにさらに優秀なアイデアが多い。特に良いのは、振動推進発見の秘密の場。発見した部長は笑って答えない。次の場面で箒の毛に固形石鹸を乗せてにやにやする部長がいる。こういうカットの置き方こそ映画らしいと言うべし。ロボット・コンテストという文化も実によく解り、有難い。

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この記事へのコメント

ぶーすか
2007年01月21日 08:18
TB&コメント有難うございます。オカピーさん、高得点ですね^^)。
<箒の毛に固形石鹸を乗せて
そうそう、本人が直接語るのではなく、このカットでアイデアがどこから生まれたかをバラしてくれているのは上手い!と思いました。
「まぶだち」未見なので宿題リストに入れたいと思いますー。
オカピー
2007年01月22日 01:51
ぶーすかさん、こんばんは。

いやあ、呼吸と編集が抜群。私は文学的な映画より映画的な映画が好きなんです。
素晴らしかったのでまだハイビジョン映像でHDDに残してあります。

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