映画評「この世の外へ クラブ進駐軍」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2003年日本映画 監督・阪本順治
ネタバレあり

阪本順治は観たい監督の一人である。

今回は戦後復興期の日本で、米軍兵のクラブでジャズを披露した5人組(萩原聖人、オダギリジョー、松岡俊介、MITCH、村上淳)の青春を描いたドラマで、前田亜季扮する女性歌手や朝鮮戦争にまた出征していく米兵を絡めて描いている。

戦争直後作られた映画を何十本も観ている僕には、当時のムードの再現はまあまあといったレベルで抜群とは感じられない。当時の荒廃した風景はセットではなかなか無理ということもあるが、阪本監督がそれに固執した風はないし、完全に再現されないから悪い作品ということにはならない。

「A列車で行こう」「ダニー・ボーイ」など有名な楽曲が演奏されるが、音楽ものとしては適材適所に使われているとは言いにくい。それは、阪本監督は実はイラク戦争をこの映画にダブらせていて音楽映画として本格的に作ろうという気がなかったからとも思われる。太平洋戦争の後遺症や朝鮮戦争で死んでいく若者の姿にはイラク戦争がダブるのである。

僕としては戦後のムードを大事にした音楽映画を期待したいだけに残念ではあるが、それなりに心に残る。それはエンド・クレジットの背景として、この作品のモデルとなった人々の演奏場面が挿入されているからかもしれない。

この記事へのコメント

ぶーすか
2006年11月01日 15:32
音楽に打ち込む青春映画で太平洋戦争を語るというちょっと変わった切り口が良かったです。音楽のおかげで暗くウツウツとした内容になりがちなのが、ユーモアもあって戦争ものをあつかった日本映画の中では好きな方です。
オカピー
2006年11月02日 03:01
ぶーすかさん、こんばんは。
私には、太平洋戦争への思い以上に、監督のイラク戦争への意識が強く出すぎてしまったかなという印象がなくもないのですが、後味はなかなか良かったですね。基本的に音楽好きということもありますが。

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