映画評「ペーパー・ムーン」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1973年アメリカ映画 監督ピーター・ボグダノヴィッチ
ネタバレあり

70年代前半絶好調だったピーター・ボグダノヴィッチの秀作。31年前映画館で見て以来の再鑑賞となる。

聖書販売で詐欺を働いているライアン・オニールが自分も関係していた商売女の娘テータム・オニール9歳を伯母の家に届ける羽目になるが、この少女が彼をはるかに上回る知恵の持ち主で道中随分助けられることになるのだが、密造酒を騙し売った相手に逆襲されて全額を奪われた挙句に叩きのめされた後やっと親戚の家にたどり着く。が、少女は父親かもしれない詐欺師と離れがたく追いかけてくる。

という人情コメディーで、まず詐欺師のテクニックが面白い。二人の微妙な関係や9歳の子供にしてはませた言動が実に楽しく、それをまた実の父娘が演じているあたりが味となっていて大いに結構で、ボクダノヴィッチの人情味醸成が断然優秀。

父親のライアンは彼にしては珍しいほどの好演だが、テータムは映画初出演にしてこの演技。80年前後にハイティーン女優として抜群の人気を誇ったが近年ご無沙汰なのが寂しい限りである。

この記事へのコメント

十瑠
2006年08月22日 07:38
9点というのが嬉しいですね。
私も先月、何十年かぶりに見直しました。思い出通りに面白い映画でした。無駄なスートーリーはないし、テータムが名演技だったことも再確認できました。
レンタルDVDの鑑賞だったんですが、特典メニューの監督やカメラ(コヴァックス)のインタビューも興味深い話が聞けて楽しかったです。
オカピー
2006年08月22日 18:23
十瑠さん、こんばんは。
映画批評家上がりの優れた監督と言えば、フランソワ・トリュフォーですが、ボグダノヴィッチも素晴らしいですね。ニューシネマの衰微と共に余り活躍しなくなったのは淋しいですが。その点、水野晴郎は・・・おっと・・・十瑠さんがお好きだ困るのでこれ以上は言わずにおきましょう。

ちゃんと値段を出したDVDは特典も魅力ですね。それによってギャフンということがないとも限りませんがね(笑)。
ひよりん
2007年07月14日 23:19
オカピーさん、こんばんは。
トラックバックさせていただきました。
わたしはこの作品10点です。
テータムはアカデミー助演女優賞受賞って、ほんとは主演ですよねえ。
コメディは最後にホロリと来ないとダメという私にピッタリの作品です。
オカピー
2007年07月15日 07:26
ひよりんさん、おはようございます。

9点も10点も実は完成度としてはほぼ同じなんです。
10点を付けるのはマイ・ベスト100として半ば固定されている旧作群だけでして、新作で9点を出す気になるのは500本に1本くらいでしょう。そのくらい狭き門となっています。

主演と助演の区別もオスカーでは特に曖昧で、本来その区別もない群像劇でも役者の格などで分けられてしまったりしますね。主演と助演に分けること自体が不合理で、一本化にすべきでしょうし。そうすると賞の数が少なくなって少々寂しい、なんて洒落を言っている場合ではないですか(笑)。

これは間違いなく、ひよりんさん好みですね(笑)。

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