映画評「女の座」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1962年日本映画 監督・成瀬巳喜男
ネタバレあり

成瀬巳喜男は作風的に元々小津安二郎的な監督であったが、この作品では「東京物語」のテーマにも近づいている。その意味で彼としては異色の作品と言って良いのかもしれない。

商店を営んできた旧家を舞台に、長男の未亡人・高峰秀子、甲斐性のない旦那に愛想を尽かしている長女・三益愛子、行かず後家の次女・草笛光子、失業した夫と共に実家に戻って居候を決め込む三女・淡路恵子、二人の夫候補に迷う四女・司葉子、現代っ子の五女・星由里子、次男夫婦を中心に夫々の行状を描くが、映画の終幕で列車事故若しくは飛び込み自殺した孫の葬式で一家の主人・笠智衆をして「我が家にろくな人間はいない」と言わせ、もはや大きな家を追い出されるしかないような状態において長男の嫁のみが老夫婦二人と暮らすにふさわしいと認定せしめているのである。

つまり「東京物語」とほぼ同様の結末を迎え、家(の制度)の崩壊というテーマが明らかになっていく。ただ、「東京物語」とは違い、その過程の中で種々の要素を織り込みすぎて散漫になり最後の老人の言葉は唐突に聞こえる印象が否めない。その前の孫即ち高峰の息子の飛び込み自殺(?)も作品の流れからは違和感がある。

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この記事へのコメント

ぶーすか
2006年06月02日 22:37
TB&コメント有難うございます。こちらにもTBさせて下さい。オカピーさん辛口ですねー^^)。私は「乙女ごころ三人姉妹」よりは面白かったなぁ…と思ってます。笠智衆も「東京物語」に比べて、ちゃっかりしたところがかえって人間くさいキャラに思えて親近感がわきました。
オカピー
2006年06月03日 02:43
ぶーすかさん、こんばんは。
「東京物語」も芸術至上主義的に分析すると、弱点もあるのですが、自分の祖父を思い出さずにはいられないあの作品が大好きです。
この作品は登場人物は多様ですが、些か類型的な印象がありますし、最後の交通事故は幕切れへの伏線とは言え、些か強引でしょう。メロドラマ的になりすぎました。あの場面がなくて上手く幕切れに持って行ければ、★一つ増えたところです。

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