映画評「解夏」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2004年日本映画 監督・磯村一路
ネタバレあり

★「今、会いにゆきます」WOWOW初放映記念第4弾★

さだまさしの小説を映画化したドラマ。

小学校教師・大沢たかおは突然目の病を発症、教職を辞して故郷の長崎に帰る。母には理由を言わず、二人で父の墓参りなどをする。恩師の娘で恋人の石田ゆり子が研究で滞在していたモンゴルから帰国して長崎を訪れる。暫く平穏な日々が続くも病状が深まると、彼は彼の目になりたいと望む彼女を突き放してしまう。が、結局彼の目が完全に霧に覆われた時自分の目になってほしいと告げる。

ロマンス映画ではない。病気と否応がなく対峙せねばならない人々の物語で、母と子、恋人同士のデリケートな心の交流に重点を置いて描かれる。磯村一路の演出はさだまさしの楽曲のような三連符の世界を静かに構築して意外なほど快調である。人間の心の襞を感じさせるような微視的な描写ではないが、この物語ならそれくらいで丁度良い。

大学の先生でもある僧侶(松村達雄)と二人が触れ合う場面が最も印象に残った。彼の説法の中に出てくる言葉が【解夏】で、要は梅雨のあける日を指す仏教用語である。これは動植物たちが卵を産み、芽を出す時期に人間が動いては殺生になり、その間を修行期間とし、修行が終わることを指す。主人公には僧侶が言う「失明した時苦悩から解放される」という言葉が耳に響いたであろう。

問題があるとすれば、序盤彼の目に走る症状を入れすぎたきらいがあるのが気になる程度である。

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