映画評「銀座化粧」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1951年日本映画 監督・成瀬巳喜男
ネタバレあり

風俗映画とも言える一種の女性映画。
 成瀬巳喜男の作品としては東宝(PCL)移籍第1作の「乙女ごころ三人姉妹」に近い風俗劇であるが、ヒロインの扱いは現実的で悲劇性を強調した前述作とは大分違う。

中年に差し掛かった一人の女性・田中絹代が、贔屓客だった昔の情人との間に設けた男児を育てながら銀座のバーに勤め、ひっそりとしたたかに生きていくというだけのお話だが、現在も腐れ縁の続く情人との交流、妹・香川京子との心の触れ合い、マダムの為に金策に奮闘する挿話、行方不明になった息子を探す場面を通して彼女の性格と心境が描かれている。

何気ないエピソードの数々だが、夫々に捨てがたい魅力がある。その中で同僚・花井蘭子の知り合いである若者・堀雄二が巡り巡ってたった一日で妹の結婚相手になってしまう一連のシークェンスは凡庸のようで秀逸であるが、その直前ヒロインが田舎出身者である彼を連れて街を歩く紹介する場面が当時の銀座風俗を巧く点出している。

島崎藤村の藤村を【ふじむら】と読ませるお笑いなど、成瀬作品には珍しくコミカルな扱いも多い。総じて魅力に溢れる一編と言うべし。

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この記事へのコメント

みつこ
2005年10月03日 08:42
初めまして、TBさせていただきました。
何気ないエピソードがつながれた映画でしたが、観終わってからじわじわと感じるものがありました。
いくつかの駄洒落もなぜか印象に残っています(笑)
オカピー
2005年10月06日 18:24
みつこさん、初めまして!
TBされていないような気がするのですが?
そうですね、成瀬作品の中では、後味が良い部類に入るかもしれません。

みつこ
2006年01月03日 06:23
TB、何度か試みたのですが、どうも反映されていないようです・・・
当方のブログにもコメントいただきまして、どうもありがとうございます。
オカピー
2006年01月04日 01:54
みつこさん、こんにちは。
TBに関しては、変ですねえ。保留TBのリストにも入っていません。
これに懲りず、またお越しください。
私もまたお邪魔致します。
iyahaya98
2006年10月14日 22:42
TBいつもありがとうございます。
ヒロインは恵まれた環境ではないのですがそんなに悲劇ではなく、たくましく生きており、ちょっとした恋心や可愛い子供などささやかな喜びも感じられます。そこがいいところです。
当時の色々な風俗が見られて興味深かったです。
オカピー
2006年10月15日 17:53
iyahaya98さん、こちらこそ。
映画は生き物ですから、公開当時良くても今ではつまらないという作品もあれば、その逆もあります。
この作品などは当時より今の方が面白く観られる作品かもしれません。半世紀前の銀座が観られるのだから、映画は素敵ですね。

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  • 「銀座化粧」~今も昔も柳は変わらねど

    Excerpt:   銀座化粧1951年日本監督/成瀬巳喜男出演/田中絹代 香川京子 小杉義男 東野英治郎 三島雅夫   花井蘭子 津路清子 西久保好汎 春山葉子 堀雄二銀座のバー・ベラミイの雇われマダム雪子(田中絹代.. Weblog: お茶の間オレンジシート racked: 2006-10-14 22:34