映画評「ラスト・プレゼント」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2001年韓国映画 監督オ・ギファン
ネタバレあり

韓国の恋愛映画の甘ったるさは好きな人にはたまらないのだろうが、そうでない人には糖分が多すぎてもたれる。全面的に否定する気もないが、手放しで誉めたいとも思わない。これもそういう作品である。

売れないコントの片割れヨンギ(イ・ジョンジェ)は、口論が多いが本当は愛しくてたまらない妻ジョンヨン(イ・ヨンエ)が不治の病にかかり余命僅かであることを知る。それまでのプライドを捨てて変な仕事でも引き受けて成功しようとし、TV関係者を名乗る詐欺師に引っかかりそうになるが、寸前でいんちきと知り逆に彼らを利用して妻が会いたがっている人々を探させる。

その一方で勝ち抜きお笑い大会で決勝まで進む躍進を見せるコントの活躍を描くが、一番巧いのはジョンヨンが大事に持っている古い写真の扱いである。その写真には一人の少年が丸で囲まれていて、その為ヨンギは彼女がその彼にずっと会いたがっていると思い込む。
 が、縁は奇なもの。実はこの写真は幼馴染と交換したもので、その相手が持っていた写真で丸が付けられていたのがジョンヨンの憧れの人。その憧れの人は、何とヨンギ自身だったのである。些か調子が良すぎるが扱いとしては巧い。

この作品の評価とは直接関係ないが、韓国の恋愛映画では綺麗な思い出を回想する形式が多い為、人間が生きる為に心の底から悩む作品が殆どない。既に終わった一幕を再現するのでは本当の苦悩や闘いを描くのは難しい。その辺に韓国映画にもう一段上がる余地が残されている。

この記事へのコメント

ぶーすか
2006年12月22日 20:39
<綺麗な思い出を回想する形式が多い…心の底から悩む作品が殆どない
これには同感です。不幸な自分に酔っているとしか思えないところもあったりします。そして愛する者が不治の病か交通事故で死ぬというパターンも、二人の男に言い寄られるヒロインというパターンも一昔前のメロドラマみたいです。でもボロクソに評価していても、韓国映画にはストレートにジーンときたりホロリとさせられるところがあるので、ついつい観てしまうんですよね…^^;)。
オカピー
2006年12月23日 03:11
ぶーすかさん、こんばんは。
交通事故が人生転機となるのは大昔のハリウッド映画の定番で、まだこんなのやっているのという感じが多いですね。有名なのはリメイクの「めぐり逢い」(デボラ・カーのバージョン)です。

私も人情家ですから、余程ひどくない限りはホロリとしてしまうことが多いですね。70年代半ば日本で流行したイタリアの難病映画には少しも心を動かされませんでしたが、それよりはレベルは上でしょう。

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