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zoom RSS 映画評「花戦さ」

<<   作成日時 : 2018/05/30 09:56   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2017年日本映画 監督・篠原哲雄
ネタバレあり

【戦】は動詞・形容詞・形容動詞から派生していない独立した名詞なので送り仮名はありえない。実際鬼塚忠の原作は「花いくさ」。しかし、ひらがなではインパクトがないと「戦」を持ってきたが、「花戦」では“かせん”と読まれてしまいかねないので無理やり掟破りの送り仮名戦法に出たと見る。製作会社の方、如何でありましょうか?

幕末ものと安土桃山時代ものは映画やTVで大人気。僕はどちらも大して興味を持っていず、クイズ番組を見てもインテリ芸能人に負けることが多い。文学史では東大王にも負けないが。
 そんな僕も今年は織田信長を研究する為に江戸時代初期に書かれた「信長記」を読む予定。しかし、先日TV番組でこちらはフィクションの部分が多いと聞いたので、その原型とされる「信長公記」も併せて読まなければならなくなった。最近信長の人格評価が変わりそれが毎年のように作られる映画にも反映されているのは後者のおかげらしい。しかし、豊臣秀吉に関して余り変わっていないような気がするのは、これまた江戸時代初期に書かれた「(甫庵)太閤記」に「信長公記」に相当する書物がないせいなのではないか。

信長(中井貴一)に思いがけず評価された花僧・池坊専好(野村萬斎)はその場で茶人・千利休(佐藤浩市)と出会う。十数年後、寺の執行(しゅぎょう)になっていた専好は、信長亡き後天下人に上りつめた秀吉(市川猿之助)の下で確固たる地位を築いていた利休に招かれるが、彼には人の顔を憶えられない弱点(相貌失認症ですかな)があり、利休をがっかりさせる。
 利休は秀吉の命により金色の茶室を作り、北野大茶湯で披露するが、専好の花に人気が集まる。これに怒った秀吉は一日で茶湯を止め、かくして利休を疎み始める。こんな状況で有名な大徳寺木像事件があり、利休は切腹に追い込まれる。
 しかも、秀吉は愛する息子・鶴松を失った結果、自分を揶揄った者を子供から大人まで捕えて打ち首にしてしまう。その中には専好の知人が多い。さらに専好が瀕死のところを救った少女れん(森川葵)も秀吉が処刑させた有名画家の娘であったことから自殺に追い込まれる。
 これに一度は怒った専好は考えを変え、花を以って秀吉を遠回しに説教する作戦に出る。

ここで松の枝が折れる事件が発生するのだが、これは偶然なのか故意なのか。故意なら大したもので、実は信長の前で専好の松の枝が折れた時に巧く処理したのが秀吉。それを思い出して秀吉が笑い出した可能性もあり、色々と解釈できて興味深い。
 れんをめぐる毒の花の扱いも巧妙で、同じ事物を色々と呼応させるところに脚本の工夫がある。

北野台茶湯も最後の花の場面など実際にあった出来事に基づき上手く史実が脚色され、篠原哲雄監督もリズムよく展開して淀みがない。しかし、華道が映画では珍しい一方で、展開の構図に新味薄くアングルの妙味などに欠けるので、残念ながらゴキゲンというところまでは行かない。

主演の野村萬斎はご存知のように狂言師であるが、本作のエピソードには狂言的な構図が多く、彼の起用が生かされてい、好演。四代目市川猿之助は、今更ながら、従兄の香川照之に似ている。

子供の時に「太閤記」を読んだが、今年若しくは来年には「甫庵太閤記」をきちんと読むつもり。

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『花戦さ』('17初鑑賞59・劇場)
☆☆☆−− (10段階評価で 6) 6月3日(土) 109シネマズHAT神戸 シアター7にて 15:55の回を鑑賞。 ...続きを見る
みはいる・BのB
2018/05/30 12:55

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