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zoom RSS 映画評「武曲 MUKOKU」

<<   作成日時 : 2018/05/15 09:05   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2017年日本映画 監督・熊切和嘉
ネタバレあり

藤沢周の小説を熊切和嘉が映画化した純文学映画である。

非情にまで剣道を強いる師匠たる父親・小林薫を憎む余り木刀で父親を打ち込み植物状態にした綾野剛は、罪悪感から酒に溺れている。高校の剣道部で指導している住職・柄本明は、部員がとっちめようと連れ込んだ素人の村上虹郎に剣道の才能を見出し、御褒美を出すと半ば騙して薪割りに駆り出すと用具を無理矢理与え、かつての弟子である綾野への遣いに出す。
 村上君は後日現れた綾野の面を打つという奇跡に近い首尾を見せる。かつて洪水で死に限りなく接近する経験をした結果死に魅せられるものを覚えている彼は、もう一度綾野ときちんと決着を付けるべく修行に励み、やがて死を覚悟して臨むその日が訪れる。
 今回も上手く打ち込むものの、綾野は父親の幻影を見て村上君の喉元を付いてしまう。これには相互に罪悪感を覚えるが、父親の葬儀の後漸く精神的に落ち着き酒からも抜け出した綾野は村上と剣道の精神に則って対決することになる。

村上君のスタートはラップのライムを考えるのに夢中の今時の若者であるし、綾野は酔いどれ・・・という具合で、幕切れに至って漸く剣豪ものらしくなる。

テーマは弱さである。結局綾野もその父の小林も村上君も弱いが余り、逆にその中に突っ込んでいく。小林は剣道に、綾野は父親に、村上君は死に向って。対象と一体化することで対象から逃げるのである。純文学的にはなかなか興味深い着想であると思う。

が、僕ら凡庸な市井人には全く縁がないとも言えないにしても、これを普遍的に自分のものとして捉えるのはなかなか難しく、一般的な意味で面白いとはなかなか言いにくい。

熊切監督の持ち味は重苦しく淀んだ空気感を感じる画面設計にあると思うが、これが旧作「海炭市叙景」のように市民的生活に視線が下降するタイプでは胸を打つが、本作のように異常心理に近い内省的なものになると、些かしんどくなる。しんどいので余り多く☆★を進呈する気になれない。

AKB48の元メンバー同士という理由で、脇役の前田敦子に対し「大島優子に比べ演技に進歩がない」といった批判を目にしたが、これは演技に対する固定観念が強すぎる意見であろう。特に一般の人は口跡(台詞回し)に対して間違った観念を抱いている。前田敦子のように貧乏が似合う女優は、女優という特性故になかなか居ず、貧乏くさい映画の多い邦画界において彼女は今後も重用されると思う。当座は今のままで良い。

藤沢周平のほうが僕には面白いですね。

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