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zoom RSS 映画評「おとなの事情」

<<   作成日時 : 2018/05/01 08:46   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2016年イタリア映画 監督パオロ・ジェノヴェーゼ
ネタバレあり

整形外科医マルコ・ジャリーニと心理カウンセラーの妻カシア・スムートニアックの家で友人4組によるパーティーが開かれることになる。結婚したばかりのエドアルド・レオとアルバ・カルヴァケル、反対にマンネリ夫婦のヴァレリオ・マスタンドレアとアンナ・フェリエッタ、そして恋人を連れて来ずに一人で現れたジュゼッペ・バッティストンという顔ぶれである。
 女主人カシアは、スマホをスピーカー対応にし、かかってきた電話に応答するというゲームを提案、他のメンバーも秘密などないと大きな口を叩いて応諾する。
 隙を見て、決まった時間に女性から写真が送られてくるマスタンドレアが同じ機種を持つバッティストンに電話を交換するよう提案する。
 ところが、実は男性(一緒に来るはずだった恋人は実は彼)と付き合っていたバッティストンに掛かって来る電話によりマスタンドレアは却って窮地に追い込まれることになる、というのを筆頭に色々と問題が出て来て、夫婦の絆も友人同士の絆も崩壊寸前にまで達してしまう。

というお話で、電話交換の事実が最終的に明るみに出ることにより何故か突然(デウス・エクス・マキナ的に)全てが丸く収まる一応のハッピー・エンド。
 一応とは言えハッピー・エンドだから《喜劇》である。アリストテレスは無名市民を主人公にしたものを《喜劇》と定義したが、さすがに現代劇への適用には無理がある。現在、文芸用語的には、悲劇的な終わり方をするもの以外は概ね喜劇と解釈されると言って良い(バルザックのように反語的な意味で使う場合もあるが)。
 その観点からはホーム・ドラマはおしなべて喜劇であるが、本作は文字通り人間の弱い厭らしい部分を色々と浮き彫りにするブラック・コメディーの色あいが強いから、その意味でも十分に喜劇である。日本人は、喜劇(コメディー)をそのうちの一ジャンルである笑劇(ファース)と混同しているからこんなことを書いてみた。

集まった7人の中でさしたる問題が起きなかったのはホスト夫婦であるが、これにもそう単純に決めつけられない落ちがある。そうした人間の憐れむべき特徴を、誰もが携帯を持つ時代ならではの状況を生かして、浮き彫りにする。会話劇の形式で強烈な(しかし第三者には頗る滑稽な)サスペンスを生み出すアイデアが映画的に秀逸と言うべし。

一種陪審ものの趣きで、「7人の怒れる男女たち」といったところですかな。しかし、あんなに電話かメールがかかってくるものですか。ケータイを持たない人種には解らない世界でござる。

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