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zoom RSS 映画評「エクス・マキナ」

<<   作成日時 : 2018/04/15 09:56   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2014年イギリス映画 監督アレックス・ガーランド
重要なネタバレあり。未鑑賞の方は要注意。

密室型SFという点で昨年観た「パッセンジャー」と競合する。

世界的な検索エンジン企業の社員ドーナル・グリースンが、選考の結果、社長オスカー・アイザックが隠遁する山荘に招かれる。その建物からは社長以外の手では出ることができない。社長の目的は美女型ロボット(アリシア・ヴィカンダー)に搭載したAIと対話し、その実用性を確認してもらうということだが、その過程でAIと言おうかその美女との間に恋愛感情とも言うべき化学変化が起き、やがて彼女が言うように社長の嘘を確認したグリースンは、彼女の希望に従って、脱出の手伝いをすることになる。

監督初挑戦という脚本家アレックス・ガーランドは哲学映画と言って良い「わたしを離さないで」の脚色も担当してるし、暫くは、AIと人間の差を考える哲学映画のように進める。しかし、終わってみるとこれはおためごかし的で、本質は三者(あるいは四者か?)によるコン・ゲームである。
 と書くと、それだけで半ばネタバレになるのでやりにくいが、映画の本質を突かない映画評も空しいので仕方があるまい。

「パッセンジャー」のほうが娯楽性が高いようでいて観終わった後に哲学的印象が後を引くのに対し、こちらは前半あれほど哲学的に見えて後味は完全なるコン・ゲーム。面白いことは面白いが、終った後にあれやこれや考えたいと思うと不満が残らないでもない。その代わり英国映画らしく端正な画面が強く印象に残る。さすがにそれだけでは寂しいので、内容について少し考える。

結論から言えば、エヴァと名付けられたAIは主人公の青年をだましていたわけである。ある人は彼の善良さにほだされない冷徹さを機械的デジタル的と見るだろう。しかし、僕は寧ろ人間的と見る。人間は多かれ少なかれ打算的な生き物だからである。どちらが正しいかなどと考えてもさほど意味のないことだが、そこにこの映画の哲学性を見ることができるかもしれない。

哲学と言えば、エヴァという名。Avaであるから正確にはエイヴァであり、人間最初の女性エヴァ(イヴ)と違うが、社長が自分を創造主と考えて意識した命名であったのだろう。男性二人の名前(ケイレブ、ネイサン)もまた聖書由来。
 ついでに、エクス・マキナは僕も映画評でよく使うデウス・エクス・マキナというラテン語の一部で、from machineということである。made from machine と考えれば機械仕掛けという以上に機械作りという変な日本語を考えたくなる。

コスト面で有利で、しかも面白く見せられる可能性があるので、こういうクローズド・サークル型の映画が人気なのだろう。インディ映画にうってつけということじゃね。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
「エクス・マキナ」
A.I.は、エエのか? アイを知るのか? ...続きを見る
或る日の出来事
2018/04/16 07:57
『エクス・マキナ』('16初鑑賞69・劇場)
☆☆☆☆− (10段階評価で 8) 7月16日(土) シネ・リーブル神戸 スクリーン2にて 16:20の回を鑑賞。 字幕版。 ...続きを見る
みはいる・BのB
2018/04/16 15:40
エクス・マキナ
検索エンジンで有名な世界最大のインターネット会社“ブルーブック”で、プログラマーとして働くケイレブ。 彼は、巨万の富を築きながらも普段は滅多に姿を現さない社長ネイサンが所有する山間の別荘に、1週間滞在するチャンスを得る。 しかし、人里離れた別荘に到着した彼を待っていたのは、不可思議な実験だった。 ケイレブは、美しい女性型ロボット“エヴァ”に搭載された、世界初の実用レベルとなる人工知能のテストに協力することに…。 SFスリラー。 ...続きを見る
象のロケット
2018/04/21 08:17

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
観ましたよ。
俗い観方をすれば、結局、人間型ロボットの理想型はこんなロボットなんでしょうかね。
アトムではなく(^^ゞ
ソノヤ・ミズノさんもよいですね。
『ララ・ラ・ランド』にも出とられましたね。
野球の大谷君も活躍されていて、陸上でも10秒を切る方が出てきて、日本人も壁を突き破りだした感がありますね。
いまどきの若い者は・・・・なんてことは言えないでありますね。
ねこのひげ
2018/04/16 01:42
 他のレビューを見て驚いたのは、雑用と欲望処理目的の知的レベルの明らかに低い、奴隷的アンドロイドの役が日本人?だったことをもってして、差別だと文句を言っている輩が少なからずいること・・。
ネトウヨというのは、僕の知らない知識も豊富で、知的レベルはむしろ高いのかもしれませんが、本質的な脳の欠陥があるようです(笑)

 AIが発達し、人間の知性を超えることによって、人間の生活に大きな変化が起こることをシンギュラリティ(技術的特異点)というそうですが、「2001年宇宙の旅」のコンピューターHALなど、多くの海外SF作品でも、人間に対する脅威として描かれていますね・・。
産業革命のときのラダイト運動など、機械脅威論が欧米には根強い・・。

 翻ってぼくら日本人は、手塚治虫の鉄腕アトムなど見ても、そういった危機意識も薄い(これは、キリスト教的価値観との違いでしょうが、ロボットはむしろ人類の友であり敵対の構図そのものがおかしい・・)
チェスなどボードゲームの名人と、AIを対決させるなど、本来、日本人の発想にはないと僕は思っています。
スピルバーグくらいでしょうね、ロボットが子供のおもちゃでも人類の敵でもなく、人間自身の鏡として描かれた作品は・・。(注 鉄腕アトムでも、名作「青騎士」にAIと人間の対立のお話はありますが、悪いのは人間のほうというのが手塚の結論です)
浅野佑都
2018/04/16 14:04
ねこのひげさん、こんにちは。

>ロボット
社長は、AIの能力を見るとか言いながら、実は人間の方を研究していたわけで、為にAIを非常に美人にしました。そうでなければ、人間型にする必要もなかったのですからね。
可愛くて良いです^^/

>ソノヤ・ミズノさん
ハーフらしいですが、超美人ですね。

>いまどきの若い者は・・・
価値観が違うというのが実際であって、優秀であったり、人間的に優れた人も多い。現在問題の多いのは老人の方(ほう)だったりしますね。僕も反省しなくてはいけまへんかな。
オカピー
2018/04/16 21:40
浅野佑都さん、こんにちは。

>差別だ
その手の発言は自身のなさの裏返しで、そういう根性が、嫌韓本などという程度の低いアイテムを生むのでしょうな。自分たちに自信があれば他の国や民族のことなど、こちらを意図的に激しく貶めない限り、放っておけば良い。

>知的レベルの明らかに低い
製作した社長がそういう設計をしたのは確かですが、その人間型ロボットに搭載されたAIが偽装していた可能性もあるわけで、もしそうであるならば「日本人おそるべし」を思わせる展開ですよ!(笑)

>シンギュラリティ
その象徴が2045年問題ですね。
先日、将来性ありとAIファンドというのを購入して、その時にそういう話をしてみましたが、まあ僕レベルの文系にはよく解りません。文学的アプローチと言うべきこれくらいの映画の方が、親しみやすくて良いデス。

>キリスト教的価値観
彼らはとにかく自分と少しでも違うものを排除するという意識が強いですね。現在はその反動で強くそういう考え自体を排除しようとする立場が優勢で、原理主義者と対立していますが。

>スピルバーグくらい・・・人間自身の鏡として
僕は「A・I」をそういう映画と主張しているわけですが。かつて簡単に書いてみましたが、あの映画は奥が深く自分が納得できるように書くのはなかなか大変。いずれ自分でも納得できるものを書きたいと思っているのですが、果たして・・・
オカピー
2018/04/16 22:32
A・Iがよく話題になるようになった昨今、3年前に既にこの境地に達していたことに驚嘆です...
onscreen
URL
2018/04/17 01:01
onscreenさん、こんにちは。

2045年問題が騒がれ出す前ですかねえ?
オカピー
2018/04/17 18:59

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