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zoom RSS 映画評「哭声/コクソン」

<<   作成日時 : 2018/03/07 09:40   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2016年韓国映画 監督ナ・ホンジン
ネタバレあり

日本人は勿論、西洋人にも韓国映画ほどパワフルな作品はなかなか作れない。この作品は正に“恐れ入りました”と言いたくなる怪作である。様々な解釈が可能なのだが、トータルではオカルト映画と言って良いのではないかと思う。

とある山地の寒村で、一家の者が他の家族を殺すという事件が続発し、村人は先頃住み着いた日本人・國村隼が怪しいと噂をする。犯人を見たらしい若い女チョン・ウヒも出現する。最初は信じなかった警官クァク・ドウォンも状況証拠から怪しみ始め、同僚と捜査を開始、無断で家に入ると、犯人やその家族の犯行前と犯行後の写真を無数に発見、確信を抱く。しかし、相手の日本人はのらりくらりと質問をかわして尻尾を掴ませない。
 その間に娘キム・ファニが犯行を起こした村人と同じ皮膚病を発症した為、有名な祈祷師ファ・ジョンミンにお祓いを頼むが、余りの苛酷さに中座させてしまう。どうにも我慢ならなくなったクァクは遂に実力行使に出、結果的に國村を死なせてしまうが、先の若い女を見た祈祷師は“対象が間違っていた”と告げる。片や悪霊と見なされた若い女は“日本人こそ悪霊で、祈祷師はグルだ”と言い、再び発症した娘のいる家に入らせない。その間に娘は家族を殺すかもしれない。さあ、どちらが一体本当なのか?

この終盤は誠にサスペンスフルで、全体に些か気を持たせすぎる傾向があって156分と長尺になっているが、強烈無比である。
 西洋にキリスト教のフォーマットを使った、多くはアンチ・キリスト教の作品が目立つ昨今だが、本作もアンチかどうか定かではないものの、明確にキリスト教フォーマットを使っている。事実、開巻直後にキリストの言葉を出し、最後に悪魔の正体を現した(ように若い助祭には見える)日本人に同じ言葉を繰り返させ、若い女にキリストの有名な言葉“鶏が鳴く前に三度私を知らないと言うだろう”をもじって“鶏が三度鳴くまで家に入るな”と言わせている。

邦画「怒り」に似て、信じることと疑うことがモチーフになっていることが解る以外は、多義的であり難渋である。少なくとも脚本も書いた監督ナ・ホンジンは理解を観客に任せているらしい。僕は、WOWOWの案内人二人(小山薫堂氏と信濃八太郎氏)とほぼ同じように、“信じすぎても疑い過ぎてもいけない”という人生訓のようなものを感じる。
 幕切れを見ると、キリストも異教徒には悪魔のようなものなのかもしれないなどと思えて来るわけで、キリスト教徒ではないからこそ面白く観られるとも言える。馬力にも感心させられる。

が、先述したように些か気を持たせて長くなり過ぎであること、序盤にコミカルな描写を置き後半の悲劇性・シリアス性を打ち消しかねない韓国流(但し、本作はそう極端ではなく、再度見れば許容できるかもしれない)が気に入らない。もう百回くらい言っているが、ユーモアとコミカルさの区別が韓国映画人は殆ど出来ていず、為にトーンが前後で一貫しないことが全く多い。僕がよく知っている中では、キム・ギドク、イ・チャンドン、パク・チャヌクだけが例外である。

韓国映画のパワーはキムチ・パワーと言いたくなる。が、唐辛子は日本人が16世紀末朝鮮出征の時に朝鮮にもたらした(或いはもう少し後朝鮮通信使が日本から持ち帰った)ものという説が有力だから、キムチの現在の味付けに関しては日本が関係していると言えないこともないらしい。

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『哭声/コクソン』('17初鑑賞27・劇場)
☆☆☆☆☆ (10段階評価で 10) 3月28日(火) シネ・リーブル神戸 スクリーン2にて 14:30の回を鑑賞。字幕版。 ...続きを見る
みはいる・BのB
2018/03/07 13:40
「哭声(コクソン)」
2時間半あまりの大作。途中すごーく怖いシーンもあるので、鑑賞前には忘れずにトイレに行くことをお勧めする。などの戯言はいいとして、そう、とても怖い話であった。文系のくせに科学しか信じない私でさえ、最初こそ「いいから早く医者連れてけよ」と思ってはいたものの、終わってみると人知を超えたものに対する恐怖がひたひたと押し寄せてきて身の置き場がない。激しい雨の降るある朝、巡査部長のジョング(クァク・ドウォン)は殺人事件の現場からの呼び出し電話を受ける。捜査に出向くと、そこは陰惨な現場であった。刃物で惨殺され... ...続きを見る
ここなつ映画レビュー
2018/03/08 12:37

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