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zoom RSS 映画評「続・深夜食堂」

<<   作成日時 : 2018/03/30 09:21   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2016年日本映画 監督・松岡錠司
ネタバレあり

安倍夜郎という漫画家の原作もそれをドラマ化したTVシリーズも知らないが、その映画版はなかなか良かった。僕らのような棺桶に半分足をつっこんだ人間の琴線を見事に打った。オー・ヘンリーの小説の読後感に似た温かいものを感じ胸にしみた。この続編も一つ一つのエピソードが秀逸で、トータルで前作を凌ぐくらい。

前作同様、訳アリの店主・小林薫が0時から始める食堂で交錯する人々のお話で、3話構成のオムニバス。

第一話「焼肉定食」では、ストレス発散の為に喪服を着る編集者・河合青葉が、作家の葬式で同業者という佐藤浩市と知り合って交際を始めるが、香典泥棒と判明してがっくり。しかし、葬式参列の為に帰った故郷で知り合った僧侶と親しくなって結婚するらしい。
 レギュラー連中が揃いも揃って葬儀後で、やはり葬儀後か思われたヒロインがストレス発散の為の喪服と告白するまでの呼吸が抜群。映像ならではのお楽しみである。

そば屋の息子なのにうどんが好きでよく訪れる二十代半ばの青年・池松壮亮が四十に近い女性・小島聖と結婚すると宣言して母親キムラ緑子を驚かせる。彼女は店で意気投合した女性にその話をして「年の差なんて関係ない」と気炎を上げるものの、その相手が当人であったと判明すると前言撤回する。後日、息子が一生懸命そば打ちの練習をしていると店主と聞かされて母親は出されたそばを「まずい」と嬉しそうに食べ、折しもそこへ最初の意思を貫こうとする二人が店に入って行く。
 というのが第二話「焼うどん」。コミカル度の高い一編だが、“推して知るべし”の結論を見せずに終わったところが品が良い。

続く第三話は「豚汁定食」。息子の名前を使った“来て来て詐欺”に遭った福岡のおばあちゃん渡辺美佐子が、それを息子に伝えると言ったのにいつまでも連絡をしないので、前作で店主に親切にされて今は板前修業中の多部未華子や巡査オダギリジョーが奔走して義弟・井川比佐志に来てもらい、駆け落ちで息子を捨てた彼女の過去が判ってくる。
 しかし、驚きましたなあ。2週間近く前に観た「湯を沸かすほどの熱い愛」に続いてまたまた母ものの古典「ステラ・ダラス」のヴァリエーションを観るとは。今回は捨てた娘を老母が窓越しに結婚して幸せになった娘を見るオリジナルに近い内容で、タクシーの窓越しに家族をもって幸福になった息子を見る。作者(安倍夜郎?)は「ステラ・ダラス」を知っていましたかな?
 オダギリジョーの善良なる巡査の奮闘ぶりにニコニコしてしまう。実感として、ネットが壊しかけている日本人の精神にも、こういうささやかな人情がまだまだ少なからずあるようが気がする。

全体として、ヒューマニズムと言っても大げさではなく、定食よろしくささやかなところが却って胸を打ち、本作の良さになっていると言うべし。四半世紀前に「バタアシ金魚」で注目した松岡錠司が安定した語り口を披露、僕の目も節穴ではなかったということかな。

続編にも旨いものあり。

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映画 続・深夜食堂
カウンターだけの狭い店ながら、マスターの料理と居心地の良さで、つい立ち寄りたくなる“深夜食堂”こと“めしや”。 春夏秋冬、ちょっとワケありな客が現れては去っていく。 喪服で焼肉定食を食べにくるキャリア女性、焼うどんが大好きな蕎麦屋の跡継ぎ息子、豚汁定食がお気に入りの老女。 それぞれが抱える悩みとは…。 人気TVドラマ劇場版第2弾。 ...続きを見る
象のロケット
2018/04/14 22:59

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