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zoom RSS 映画評「サテリコン」

<<   作成日時 : 2018/02/08 09:06   >>

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☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1969年イタリア映画 監督フェデリコ・フェリーニ
ネタバレあり

初めて観たのは高校生の時、TVでである。“酒池肉林”という言葉をこの作品を観ることで憶えたと思う。そんな酒池肉林をテーマにしたかの如き作品が堂々とTVに出た時代だ。大学に入学するため上京、他のフェデリコ・フェリーニ映画と共に名画座で観たのが二度目の鑑賞。完全版としては初めてであった。その後TVでもう一度見ていると思うので、多分今回は4回目。

ローマ帝国の学生エンコルピオ(マーティン・ポッター)が友人アシルト(ハイラム・ケラー)と美少年ジトーネ(マックス・ボーン)を争って振られ、詩人エウモルポ(サルヴォ・ランドーネ)に連れられ、奴隷出身の大富豪トリマルチョーネ(マリオ・ロマニョーリ)の文字通り酒池肉林の饗宴に出かける。
 ジトーネを追ううちに、奴隷船の捕虜にされアシルトらと再会、将軍(アラン・キュニー)と結婚させられたのも束の間、反乱により皇帝が殺されて、解放される。
 しかし、今度は牛男と対決する羽目になり、性的不能をめぐる一幕の後、何とカニバリズム(食人)が出てくる。

フェリーニは、古代ローマの金権万能主義と退廃を以って1969年当時の世界を風刺するつもりもあったのであろう。生意気盛りの大学時代にはそうした部分を感じ取って感心したものの、今となると、それは枝葉末節のようだ。

原作となったペトロニウスの小説は、不完全版の完全版を3年ほど前に読んだ。長い小説のごく一部しか残っていないからこんな変な書き方をしたわけだが、序盤から饗宴にかけての展開は殆どそのままである。この映画を見ていたからその感覚が手に取るように分かった一方、原作を読んだからと言って本作に関する感想は殆ど変わらない。欠損している部分をフェリーニらが補って進めているから、お話はきちんと繋がらないが、本作は悪漢小説の原型と言うべきお話を、退廃の見本市のようなエピソードで繋いでいることが解ればOKなのである。

同じローマ帝国の退廃を扱っても、後年の「カリギュラ」(1980年)とは比較にならない華麗なる造形が画面狭しと次々に現れる。「カリギュラ」は相当お金をかけたらしいが、監督ティント・ブラスの力量が著しく不足、資金に見合わない貧相な単なるポルノに終わった。本作の場合、華麗なる造形と言っても人物の風体などは殆どグロテスクと言わねばならないものの、線の太い描写の迫力と古代を舞台にしたお話ならではの野趣満点の画面一つ一つに米食文化の我々日本人は素直に「参りました」と脱帽するしかない。

地震の場面を見て、「ああチネチッタだ」と感じましたな。サイレント初期(1910年代)スペクタクルでならしたのはイタリア映画でござる。

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[映画]サテリコン
1969年、イタリア・フランス 原題:Satyricon 監督:フェデリコ・フェリーニ 脚本:フェデリコ・フェリーニ、ベルナルディーノ・ザッポーニ 出演:マーティン・ポッター、ハイラム・ケラー、マックス・ボーン DVDで鑑賞。 古代ローマを舞台に、愛する少年を追いかける若者の ...続きを見る
一人でお茶を
2018/02/08 19:10

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
セットの美術のすばらしさはイタリア映画のすごみを堪能させられますね。フェリーニの映画の撮り方も、イタリア映画のぜいたくさを感じさせられます。ヴィスコンティなんかにくらべると、全体にマンガチックで陽気で浮世のにぎわいに肯定的なところが、フェリーニ映画の楽しさだと思います。
こういう映画ならではの楽しさが、最近は薄れてきていてさびしいです。アメリカ映画は技術的にどんどん進歩していますが、CG駆使して泥臭いリアリズムを極めているようで、あれはあれですごいとは思うのですが、べつの描き方でのおもしろさもありますよね。昔の映画のほうがそういう点では洗練された表現が見られる。
nessko
URL
2018/02/08 19:17
nesskoさん、こんにちは。

>セットの美術
「8・1/2」以降のフェリーニは正に美術を見る楽しみが作るごとに増していきましたね。

>ヴィスコンティ
彼の作風はイタリア人らしからぬ感じでしたね。最近イタリア映画なのに北欧風の厳しさのある作品が観られたり、イタリア映画の特徴もなくなりつつありますが。尤も、それはイタリア映画に限らず、フランスもロシアも・・・世界的な傾向ではありますね。僕が各国作風におけるグローバル化に反対している理由です。

>昔の映画のほうがそういう点では洗練された表現
ヒッチコックの作品なんかも実に楽しかったですよね。ご本人は【本当らしさ】を求めていましたが、それはリアリズムとは全く違う観念でした。
オカピー
2018/02/09 17:29

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