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zoom RSS 映画評「疾風ロンド」

<<   作成日時 : 2018/01/09 09:09   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2016年日本映画 監督・吉田照幸
ネタバレあり

今のところ自分が生まれた以降の書物は滅多に読まないので余り関係ないが、図書館に行っても眼目の作品がまともに借りられない大人気ミステリー作家・東野圭吾は映画界でも大人気である。「容疑者Xの献身」は映画版も楽しめたが、後年読んだ原作はもっと気に入り、人気の所以が解ったような気がした。

阿部寛が勤める医科学研究所が偶然に作ってしまった無敵の炭疽菌K−55を、干された研究員が盗んで雪山に隠し、同研究所に3億円を要求する。しかし、男が交通事故死した為に場所が特定できなくなる。炭疽菌を入れた容器は摂氏10℃で溶けるため早めに回収しないといけない。犯人が目印にしたテディベアのぬいぐるみに入れた発信機の電池寿命は後四日後の金曜日に切れる。所長の柄本明としては炭疽菌の存在を明らかにしたくないので警察に依頼はできない。
 阿部は男が証拠として残した写真により大スキー場の近辺であると掴み、水曜日に息子・浜田龍臣を連れて現場を訪れる。

三重苦と言うべきハードルを設けたサスペンスで、一番大きく重要なのは電池寿命による時限サスペンスである。極秘任務である為阿部氏は碌に出来ないスキーに乗って単独で捜索に出るが、重傷を負った為続行が不可能。そこで「ワクチン」と嘘をついてスキー場パトロールの大倉忠義に捜索を依頼、スノーボード選手の大島優子が彼に協力することになる。

これ以降ミステリー的に楽しめる時間が暫く続く。

しかるに、研究所にはもう一人けしからぬ輩・堀内敬子がいて盗聴で知った情報を弟のムロツヨシに伝え、阿部グループが炭疽菌を発見したところを横取りさせようとしている。

個人的には中盤のミステリー的部分が気に入ったが、設定そのものに相当疑問符が付くとは言え、本来のサスペンスでも一通り楽しませる。TV視聴者層辺りを狙ったか、作者側は立っているだけで笑いを誘う阿部寛を起用してかなりコミカルな方向に持っていった。しかし、内容が内容で潜在的牽引力があるだけに、設定をもう少し詰めシリアスに作った方が面白くなったと思う。

メッセージ性も幾つかあるが、妹をインフルエンザで失った少年のすり替え事件は展開的に未消化である。そもそも彼は盗んだ“ワクチン”で何をしようとしたのか、映画版では曖昧に過ぎる。確かに“ワクチン”に毒性が残っている場合もあるとは言え、微弱ではあるし、通常の知識しか持たない中学生ではそれで他人を傷つけようなどと思うまい。すぐに“ワクチン”の毒性に思いが行く観客もそれほど多くないのではあるまいか? 

TV的に、そこそこ冷や冷やし、笑い、メッセージに感動できるのを求める向きには悪くない内容だが、僕のような頑固な映画ファンはサスペンスとして純度が高い方が満足する。笑いとメッセージ投入するにしても最小限で良い。恐らく、本格映画ファンとミーハーを決定的に分断するのは、作劇の純度に関する観念である。

丁度一ヶ月後に冬季オリンピックが始まる。心配がないでもないが、北朝鮮もここで何かをしでかすほど馬鹿ではあるまい。ところで、昨日高校サッカー選手権で前橋育英が優勝。群馬県勢初の快挙でした。

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疾風ロンド
危険な違法生物兵器「K-55」が、医科学研究所から盗まれた。 ところが、3億円を要求してきた犯人が事故死してしまう。 4日以内に「K-55」を回収しなければ、大惨事となることは確実。 警察にも通報できず、極秘捜索を命じられた主任研究員・栗林和幸は、僅かな手がかりを頼りに野沢温泉スキー場へ向かう。 パトロール隊員・根津とスノーボードクロス選手の千晶が、栗林の行動に疑念を抱く一方で、さらに怪しい男が一部始終を伺っていた…。 サスペンス・コメディ。 ...続きを見る
象のロケット
2018/01/10 16:44

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