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zoom RSS 映画評「バーフバリ 伝説誕生」

<<   作成日時 : 2018/01/04 10:25   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2015年インド映画 監督S・S・ラージャマウリ
ネタバレあり

インド映画は着想に優れたものが多く、エキゾシチズムもあって、アメリカ人は大好き、IMDbでの評価も異常に高い。本作は全世界的に評価が高く、インド映画史上一番ヒットした作品であるそうだが、がちがちの映画理論派としては、やはり欧米映画の洗練された作り方と比較して厳しい評価を得ざるを得なくなる。かと言って、【Yahoo!映画】にあったようなお国柄を全く無視した批判は僕にはできない。

古代インドのマヒシュマティ国、敵対する軍隊から逃れた女性が川の中で一人の赤子についてシヴァ神に祈りを捧げ、自らは死ぬ。村の女性がその赤子を自分の子ジヴドゥとして育るが、成人した彼(プラバース)は鯉のように滝(のある崖)を上りたがる本能があり、やがて女性の仮面を追って滝を上り、その女性アヴァンティカ(タマンナー・バーティア)と恋に落ちる。
 彼女は、暴君バラーラデーヴァ(ラーナー・ダッグバーティ)により25年も拘束されている王妃(アヌシュカ・シェッティ)の解放を目的に活動している反暴君組織の一人で、実は王妃の子供であるジヴドゥはそうとは知らず愛する女性の為に母を救う役目に奮闘する。
 追手である王の軍隊を退けると、現王に逆らうこともできない代わりに王妃に手を差し伸べたくもある武器工場長カッタッパ(サティヤラージ)が、蛮族との激しい争いに果てに王位に就いたジヴドゥの父たる王バーフバリ(プラバース二役)を殺したのは実は自分であると告げる。

序盤は「十戒」の始まりに似ている。そして1時間ばかりジヴドゥの生い立ちと恋模様を描くが、どうにもまだるっこい。生い立ちの描写はあんなものだろうが、僅かとは言えミュージカル的場面も織り込んだ恋模様について一部の人が仰る「テンポが良い」と感じる感性は僕にはない(一つ一つのエピソードが短いからテンポが速いと錯覚していると思われる。実際にはお話は大して進行していない)。アメリカの腕の良い脚本家・監督なら30分で処理するだろう。勿論早ければ何でも良いというものでもないが、本作の場合ムード醸成に寄与するようなじっくりぶりではないので、少々退屈する。

そして1時間20分くらいからいよいよ眼目の蛮族と王子二人の合戦模様(回想)に入っていく。古代戦故に7,8年ほど前に観た中国史劇「レッドクリフ」に似た印象で、スローモーションやCGの駆使など撮り方にも共通性があるが、CG自体は漫画に見えるようなところが多く、現在の世界的レベルで言えばそう高くない。

お話の構成としても、後半に入ってかように長い回想が出てくるのは、バランスが悪く、余り洗練されていると言えない。古代の戦闘ぶりや武器・兵器の類は、インドの神話を大いに参考にしていると思われ楽しめる。が、些か長ったらしく、両軍の戦闘における優劣も解りにくく、次第に退屈してくる。

インドで大人気と聞いていたインド武闘映画が観られたのは収穫。インド文化を理解する上でも大いに参考になるが、IMDbの多くの投票者のようにこれに高得点を進呈するほど僕は甘くない。
 映画における内容面のグローバル化には反対の立場なので、インド映画らしいムードは残すべきと思うと同時に、ミュージカル以外のジャンルからはインド映画の特質であるミュージカル的場面を排除してもう少し短尺にしていかないと本当の進化はない。かつて世界水準をしのいでいたサタジット・レイという巨匠がいたことを思うと、ボリウッド映画のみが歓迎されている日本の現状は、実は少々寂しいのである。

日本人は東洋人であるから、西洋人ほどはインドに対するエキゾチシズムを覚えない。その辺りが評価の差になっているか。日本でも好評と言える部類だが。

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バーフバリ 伝説誕生
兵士に追われ命を落とした女性が守り抜いた赤ん坊は、シヴドゥと名付けられ村人に育てられた。 青年となったシヴドゥは、美しい女戦士アヴァンティカと出会い恋に落ちる。 彼女の一族は暴君バラーラデーヴァが統治する王国と戦っていた。 自ら戦士となり王国へと乗り込んだシヴドゥは、25年間幽閉されている実母の存在と、自分がこの国の王子バーフバリであることを知る…。 アクション・スペクタクル第1部。 R-15 ...続きを見る
象のロケット
2018/01/10 16:50

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