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zoom RSS 映画評「893愚連隊」

<<   作成日時 : 2018/01/29 09:10   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
1966年日本映画 監督・中島貞夫
ネタバレあり

昨年一月に亡くなった松方弘樹の一周忌特集は、1960年代の二本だけ観るつもり。

さて、このタイトルは勘が少し良い方なら「893」や「やくざ」と読む(若しくは指す)と解るはずだが、恐らくその2年前に公開されたアメリカ戦争映画「633爆撃隊」のパロディーでもあると思う。

挿話は無数と言って良いくらいあるものの、お話は単純。

やくざのような強い上下関係やしがらみを持たず、その名も“愚連隊”と名乗る松方、荒木一郎、広瀬義宣の愚連隊が、白タクの客引き、タクシーただ乗り、たこ焼きをただ食いする詐欺などを働く様子を矢継ぎ早に紹介した後、一昔前の太陽族のような大学生・近藤正臣をスカウトして仲間に加え、出所したばかりのベテラン天知茂も加わってくる。
 若い連中が人妻・稲野和子を罠にはめて商売女に転身させると、天知は彼女に入れ込む。彼は囚人仲間だった男から持ち込まれた製薬原薬を盗んで大金を脅し取る作戦に成功するが、やくざのスパイになっていた近藤に情報を流されたやくざ側においしい汁を奪われてしまう。黒人兵と日本女性とのハーフであるケン・サンダースを可愛がっている天知は、若者と稲野和子と共に新生活を始める資金を確保しようと抵抗したが為に殺される。
 現実路線を取ってきた松方らもちょっと逆らってみる気になり、バキューム・カーのエンコを偽装し、取引を終了したばかりのやくざ高松英郎を襲撃して身の代金を奪取。かくして始まったカー・チェースは予想外の顛末を迎える。

東映や後年の中島貞夫のイメージを全く裏切る快調なテンポの犯罪アクションになっている。快調すぎてハーフ青年が初めて出るくだり辺り訳が解らない感じになっているが、おいおい解ってくるのでまあヨロシ。

幕切れについて“予想外”と一応書いたものの、坂道車線が途切れるところでやくざが暴走して墜落、その代わりその直前で停まった彼らの車が坂道をバックして衝突の衝撃で炎上、全てが水泡に帰す、というアイデアはジョン・ヒューストンを始め寧ろ当時大いに流行っていたものの流用。ニヤニヤはさせられるが、巧いと膝を打つほどではない。

日活アクションやヌーヴェル・ヴァーグを意識した感覚は瑞々しく、今こんな作品を観たら☆4つくらい進呈したくなりそうだ。同時代的にもなかなか面白かったであろうと想像されるが、敢えて厳しくする次第。

実際には松方弘樹のほうが近藤正臣よりほんの少し若いのだ。

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内 容 ニックネーム/日時
 近藤正臣って、こんな昔から出ていたのですねぇ!ぼくが映像で初めて彼を見たのは、御多分に漏れず「柔道一直線」の足でピアノを弾く天才柔道家役で・・(笑)
ケン・サンダース(ドラマ「サインはV」のジュン・サンダースにあらず笑)は、このころ結構出ていて、ザ・タイガースの「世界はぼくらを待っている」で、騒音罪でブタ箱に入れられたグループの面々に音楽の魅力を説く、牢名主?の混血青年も演じていました・・。

>日活アクションやヌーヴェル・ヴァーグを意識した感覚は瑞々しく、今こんな作品を観たら☆4つくらい進呈したくなりそう

 まさにまさに!・・。
今の基準で観ても、というよくある言い方は、現代人は過去の人より理性的かつ知的に優れている、という驕りがあって嫌いなのですが(理性など、生物学的実体の脳の凶暴さにかんたんに支配されるのは歴史が証明していますし・・)十分、アベレージをクリアしてると思いますよ、この作品。
本当に、この手の映画を誰か現代の手法で撮れないものかと・・。
浅野佑都
2018/01/29 12:22
浅野佑都さん、こんにちは。

>近藤正臣
右に同じ。僕も「柔道一直線」のピアノです。ある意味衝撃的でしたよね、あれは。

>ケン・サンダース
詳しいですね(@_@)
この頃の日本の犯罪映画にはハーフが絡んでくることが多いですよね。終戦直後に駐日米兵との間にできた子供がちょうど成人になるころだからでしょう。
 明日若しくは明後日アップする映画にもジョー山中が出てきますし、「野良猫ロック セックスアニマル」には若き安岡力也が出演、基地問題を扱っていました。この作品もしくは「野良猫ロック」シリーズは、浅野さんはよくご存じと推測いたします。

>今の基準で観ても、というよくある言い方は、
>現代人は過去の人より理性的かつ知的に優れている、
>という驕りがあって嫌い

“映画的である”という観点から言えば、昨今の作品は寧ろ後退していますよ。
 最近の作品はテンポが良いという類の発言も、カットが短くなったのをお話の進行の速さと勘違いしているところもありますね。
 映画における“本当らしさ”を“本物そのもの”と勘違いしている人が多いことを考えると、観客のレベルも落ちているような気がします。
オカピー
2018/01/29 20:56

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