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zoom RSS 映画評「ビリー・ザ・キッド 21才の生涯」

<<   作成日時 : 2018/01/19 08:15   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
1973年アメリカ映画 監督サム・ペキンパー
ネタバレあり

サム・ペキンパー最後の西部劇である。ミドルティーンの時に観た際には面白く感じなかった。それから40余年経った今、講談調西部劇が好きな僕には、格別に面白いと思われないが、流石に滋味に打たれるものはある。

西部劇ファンには有名なビリー・ザ・キッド(クリス・クリストファースン)の最後を描く。
 ニューメキシコのフォート・サムナーで過ごすビリーは、元々は仲間だったが保安官になったパット・ギャレット(ジェームズ・コバーン)の警告を無視したために逮捕されるが、便所に隠したピストルを手にすると助手を射撃して逃走する。
 ジョン・ウェインが演じたことでも有名な牧場主チザムら実業家に依頼されたギャレットは逮捕に躍起になると同時に、友人であったが故にメキシコ辺りに逃げてくれとも願いつつ、放浪の末にサムナーに戻ったビリーの隙をついて射殺する。

ムード醸成の為の挿話が多く、それを除くと全体のストーリーは頗る簡素である。今回僕が観たバージョンは本邦劇場公開版より7,8分長いスペシャル版で、冒頭に1908年にギャレットが商売相手に殺されるモノクロの一幕が付加されている。そのおかげで作品の焦点が僕が昔見たオリジナル版より絞られた感がある。「ワイルド・バンチ」以降ペキンパーが西部劇のテーマにしていた西部時代へのレクイエム、これなり。

一部にビリーをキリストと解釈する人もいるが、それを否定するほどの根拠はないものの、少なくとも僕にはそう感じられなかった。彼が最後に付き合う女性がマリア(リタ・クーリッジ)というのは名前がマグダラのマリアと符合するし、裏切り行為を働くギャレットをユダと見なすのは容易であるが、別にユダに裏切られたキリストという配置と見なしても面白味が増すとも作品の価値が上がるとも思えない。出演も兼ねているボブ・ディランが主題歌として披露した「天国の門」に絡め宗教の方に持って行きたくなる気持ちも解らないではないが。

個人的には、全体の主旋律としても使っているこの「天国の門」を含め、ディランの音楽が良かった。音楽がうるさいという意見があるものの、実は、これは歌曲でお話を進める西部劇の古典的フォーマットとなっているバラッド形式で、古い西部劇ファンには寧ろ懐かしい手法でさえある(1950年代に特に流行ったと思う。バラッド形式でお話を進めるのはインドやタイの映画ばかりではないのでござる)。全体として新時代の西部劇という印象が強い中に、こうした古典的手法を取り入れているのは嬉しい。

出演者にクリストファースン、ディラン、リタ・クーリッジというフォーク/カントリー系の有名歌手を配したのも興味深い。が、映画初主演クリストファースンの演技自体は面白くない。

ペキンパー拘りのスローモーションは最小限で割合すっきり見られる。ビリー・ザ・キッドものでは、多分ポール・ニューマンが主演した「左きゝの拳銃」(1958年)より上出来だろう。

バラッドはバラードではないよ。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
クリス・クリストファースンは一時期よく映画に出てましたね。ぱっと見いかにもカントリー歌手で、芝居も含めて正直どこがそんなによいのかよくわからないのですが、アメリカ人にはなじみやすいのでしょうか。

nessko
URL
2018/01/19 22:54
nesskoさん、こんにちは。

>クリス・クリストファースン
全く同感です。
見た目も芝居を魅力がなかったですね。他にも観たけれど、日本人には今ひとつ受けないタイプと見ました。

Allcinemaだったでしょうか、ボブ・ディランについて「大御所二人に囲まれて云々」というコメントを読みました。しかし、本作のクリストファースンは映画初主演で俳優としてはディランと全く同じ立場、事実誤認ですね。
オカピー
2018/01/20 17:22

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