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zoom RSS 映画評「レインツリーの国」

<<   作成日時 : 2017/12/26 08:58   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2016年日本映画 監督・三宅喜重
ネタバレあり

クイズをしていて題名を憶えた作品なので観てみた。映画界でなかなか人気の有川浩の同名小説を三宅喜重が映画化した青春恋愛映画。

食品会社勤務の若いサラリーマン伸行(玉森裕太)が、大事にしていたのに見当たらない小説の内容を知りたくて、「レインツリーの国」というHPに行き当たる。感銘して管理人・人見利香(西内まりや)にメッセージを送り、返事が来たことから、実際に会ってみようということになる。
 予想通り可愛らしい女性だが、「込んでいる店は嫌だ」「映画は字幕の洋画でなければ嫌だ」、終いには重量オーバーになったエレベーターの最後の一人なのに降りようともせず、これには伸行もさすがにカッとなる。かくして彼女は自分が難聴者であることを告げざるを得ない。今度は伸行が反省し、綱渡り的に二人の交際が続くことになる。

彼女が難聴者であると判明するまでは、邦画ロマンスらしい甘ったるい進行ぶりで一向に面白くないが、ここから俄然興味深くなる。主人公だけでなく観客にも釈然としない彼女の行為に「難聴」という種明かしをするちょっとしたミステリー趣味が映画としての旨みになっているのである。
 ミステリー趣味はここだけに留まらず、主人公が初老の男性(大杉漣)から「ヘルパーさん」と呼ばれているのに会社員として上京する謎にも解答があって、原作故だろうが、楽しめる要因となっている。

しかも、難聴という障碍の扱いがなかなか良くて感心させられる。同じ枠でくくれるだろう死病映画において死病がギミックとしてしか機能しないのが殆どであるのに対し、本作は難聴が一つの主題をがっちりと構成し、かつ、本来の主題であるロマンスをバックアップする要素として十二分に機能しているのが良い。難聴者が体験するであろう様々な事件が健常者たる鑑賞者の目を開かせる。

【Yahoo!映画】にあった「ヒロインは障碍に甘えている我が儘女」という指摘自体に仮に頷けるものがあるにしても、ヒロインの性格を映画のマイナス材料と考えることはできない。何故なら一般的なドラマは主人公の変化や成長なりを描くものだからである。最初から立派な聖人君子しか出てこないなら大衆的なドラマは成立せず、本作で言えば単なる難聴者のロマンスに終始するしかなくなる。それでは普遍性がなく映画として面白くなかろう。登場人物の(当初の)性格を作品の難点とする彼もしくは彼女が何を求めてドラマ映画を観ているのか僕にはさっぱり解らない。

勿論、かなり甘いお話で、手放しで褒めることはできないが、大衆的なロマンスであるのならば、十分である。

WOWOWに邦画のラインアップが増えて暫く経つ。しかも青春ロマンスが圧倒的に多い。原作は殆どコミックである。実際に観ればつまらないものばかりではないが、プラスαの要素がないと観る気にはなれない。

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レインツリーの国
大好きだった小説をきっかけに「レインツリーの国」というブログの管理人ひとみとメールで繋がった伸行。 会ったこともない彼女に惹かれ「直接会いたい」と伝えるが、なかなか「会いたい」と言ってくれないひとみ。 実は彼女には、伸行に打ち明けていない「秘密」があったのだ。 ようやく会えたひとみに、伸行は違和感を感じるが…。 ラブ・ストーリー。 ...続きを見る
象のロケット
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