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zoom RSS 映画評「結婚しない女」

<<   作成日時 : 2017/12/21 09:31   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1978年アメリカ映画 監督ポール・マザースキー
ネタバレあり

結婚して16年経つ主婦ジル・クレイバーグが、若い女性との浮気を告げた夫マイケル・マーティーと離婚し、15歳の娘リサ・ルーカスを抱えて悲嘆に暮れる。が、セラピストの女性から言われた一言から男性を探す冒険に乗り出す。バイト的に勤めている画廊のクリフ・ゴーマンと一度の関係を結んだ後、抽象画家アラン・ベイツと意気投合してステディーな関係になるも、同居に関してはどうしてもOKを出さず、新天地へ出る彼を見送って家に帰る。

というだけのお話で、原題は「離婚女性」もしくは「結婚していない女性」で、邦題とは似て非なるものだが、最終的にヒロインはベイツとの関係において邦題の立場を選ぶ。しかし、それは金輪際結婚しないという意味ではない。
 ヒロインは優雅なバイトをしているとは言え、管理職の夫を持っていたが故に、離婚した途端に本人すらよく解らない不安に苛まれ感情が不安定になる。ところが、ベイツというなかなか頼りがいのある男を見つけて精神が安定すると、相対的にモラトリアム的であった前夫との結婚生活を反省して、自立する女性を目指すのである。
 結婚しないということはそういう意味であり、彼女が将来的に完全に自立し、娘が巣立っていけば、結婚するであろう。

予期せぬ状態に突然陥った中流階級の中年女性の心理を丹念に細密に描いて圧巻と言いたいほど。少なくとも約40年前に映画館で観た時よりぐっと心にしみ入るものがあった。40年前人生経験の浅い学生に過ぎなかった僕には20歳くらい年上の離婚女性の心情など解るべくもなかったということである。

セラピー、ジョギング、今で言う女子会(4人組という構成は後年の「セックス・アンド・ザ・シティ」に似る)、ミスター・グッドバーを探す酒場風景、等々当時流行の、あるいは現在でも残っている時代風俗がきちんと織り込まれているのも興味をそそる。脚本と監督を兼ねたポール・マザースキーのスケッチ描写が正確だから、そういう点に感興が起こりやすいのである。

最後ベイツの残した大きな絵を持ってふらふら歩くヒロインの姿に、楽ではないであろう自立の道を重ねたラスト・シーンが実に良い。
 この場面はファースト・シーンの夫君とのジョギング風景同様よく憶えていたが、もう一つヒロインが娘とポール・マッカートニーの「恋することのもどかしさ」Maybe I'm Amazed をピアノで弾き語りする場面もお気に入りであった。

ジル・クレイバーグは当時絶好調で本作でもヒロインを大好演しながら、80年代に入ってスランプに陥り(IMDbは脚本の選択に難があったと分析する)、2010年に白血病で亡くなる。従って、若い映画ファンには余りお馴染みではないだろう。

一橋大学のHP(大学長によるボブ・ディランの歌詞の引用)に関し著作権料を、あるいは、音楽教室から著作権料を徴収すると言い出した欲深JASRACも題名については著作権料を徴収できまい。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
この映画、主人公の作るオムレツ(?)が、ちょっとイメージできなかったのがすごく記憶に残っています。娘が、ソースだらけのとかいってたような。ふつうに卵がぐちゃっとなって焼けてたみたいだけど、どんなんだろう、と。
ラストの、大きな絵を一人でかついて街を行く場面は、主人公のこれからを象徴しているような、よい絵になってたと思いました。ジル・クレイバーグは、都会の洗練された知性と教養ある女性といった雰囲気で、素敵でしたね。
nessko
URL
2017/12/22 00:04
nesskoさん、こんにちは。

>オムレツ(?)
見たばかりなのにもう忘れました。
映画ファンなのに映像記憶能力がないという致命的欠点を持つ僕です(泣)

>大きな絵を一人でかついて街を行く場面
これは仰るとおり主人公の今度の象徴であり、ニューシネマ(最晩年)らしく自然なロケが効果を発揮していましたね。

>ジル・クレイバーグ
知性を感じさせるすてきな女優でしたが、この後2,3本注目すべき作品に出た後、殆ど問題になる映画に出演せず、日本ではご無沙汰になりました。
数年前比較的若くして亡くなり、残念でしたね。
オカピー
2017/12/22 19:34

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