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zoom RSS 映画評「ぼくのおじさん」

<<   作成日時 : 2017/12/16 09:15   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2016年日本映画 監督・山下敦弘
ネタバレあり

フランス映画に「ぼくの伯父さん」(1958年)という名作があり、それに影響を受けたような題名の「男はつらいよ ぼくの伯父さん」(1989年)もある。本作はその「男はつらいよ」を彷彿とする。因みに、原作となった北杜夫「ぼくのおじさん」は全く知らない。現在では大分少なくなった名前で見る映画作家の一人・山下敦弘の新作である。

大西利空君の属する小学4年生のクラスが、担任・戸田恵梨香先生に周囲の大人一人について作文を書くよう指示される。大西君は、考えた末に居候中の父方の叔父さん松田龍平を取り上げることにする。大学で哲学を週に一コマだけ教えている哲学講師の叔父さんは授業以外は家にいて、事実上兄夫婦に養ってもらっている。子供に勉強も教えず、屁理屈・詭弁の類いを弄して日々を過ごしている。
 ところが、兄嫁の姉から紹介された閨秀写真家・真木よう子に一目惚れ、日系四世の彼女が住むハワイへ行く空約束をし、懸命にハワイ旅行がペアで当たる応募券のついているビール缶を回収し始める。大量に投函したものの大外れ。
 しかし、利空君の作文が優秀ということでハワイ旅行に保護者同伴で行くことになり、勿論松田氏が保護者としてハワイへ同行、彼女が写真家を辞めて継いだコーヒー園の為に働くことを誓うが、体力がなく惨憺たる状態。そこへ彼女の前のフィアンセ戸次重幸が未練たらしく現れ、松田氏と恋のさや当てが巻き起こる。

というお話は寅さんと満男との関係に似て、後半の三角関係も初期の寅さんを見るようだ。寅さんは教養はないものの、一種哲学者的な部分がある。勿論旅好きと引きこもりといった違いなど差異も多いが、昭和的なお話という点で共通するものがある。

この物語について、批判的な人は勿論、好意的な人でも常識に縛られたコメントを発する傾向があるようだが、こうした常識を横に外した物語を常識的な角度から語るのはナンセンスである。「あれほど苦労して缶の応募券を集めるくらいなら働いた方が余程楽だろうに」というのは常識人の考えであって、資本主義を口実に働かない哲学者もどきには全く通用しない。彼のナンセンスぶりを笑うのがこの手の作品を鑑賞する際における常識である(うーむ、言葉遊びになってしまった)。
 その意味では、寅さん的に格好をつけたように見える恋の幕引きも彼は本当にそう計算したものかどうか定かではない。そのとぼけた表情からは伺い知ることは出来ない。そうかもしれないし、そうでないかもしれない。

山下監督らしいオフビート感はあるが、旧作に比べればさほどではなく、専ら自称哲学者・松田氏の非常識ぶりに負うのみ。その意味では不満が残る。

因みに、先ほど調べたら新潮社から出ている原作の表紙と映画のポスターは全く同じ構図でした。

平成版「男はつらいよ」的にシリーズ化しても面白いかもしれない。

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