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zoom RSS 映画評「パリの恋人」

<<   作成日時 : 2017/11/06 10:12   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1957年アメリカ映画 監督スタンリー・ドーネン
ネタバレあり

高校生の時TVで初めて観て以来多分4回目となる。原題はFunny Face。

ファッション雑誌の撮影隊がある書店に乗り込み、カメラマンのフレッド・アステアが留守番をしていた売り子オードリー・ヘプバーンを見初める。“共感主義”という哲学に夢中になっている彼女は説得されて、フランス人デザイナーのショーの為にパリへ移動、所期の目的であるくだんの哲学を主唱する哲学者フランク・オークレールに会いに行くが予想外にスノッブだったのでがっかり、いつしか恋心を覚えていたアステアと結ばれる。

というお話は、他愛無いと言えばミュージカルらしく他愛無いが、“共感”をキーワードになかなかがっちりしている。恋愛映画としての部分では、撮影時28歳のオードリーに対して58歳のアステアが年寄りすぎるという指摘がなされることが多い。僕にはアステアは年齢不詳という感じがあるので余り気にならない。後半の準三角関係を含めて素直に楽しめた。

しかし、本作の価値は、勿論シング・アンド・ダンスにある。Allcinemaの会員(笑)諸君は、多くオードリーの歌をこきおろし、ダンスも一部を除いて評判がよろしくない。
 僕は音痴以外は、世間で言う歌の上手さなどという観念は半ば幻想と思っている。例えば、バイブレーションのない人を下手という。しかし、実際にはバイブレーションは音程が不安定になるのを誤魔化す技巧なので、バイブレーションなしに音を外さない人は本当は下手とは言えない。一方でこの技術を使わないとぶっきらぼうに聞こえるのは確かである。歌が上手いと言われる人はバイブレーションが上手いケースが多い。思うに、彼等の中の一部は歌が上手いのではなく、バイブレーションが上手いだけで、それを歌の上手さと混同されている場合が多いのではあるまいか。確かにオードリーの歌はぎこちないが、ヘタウマの魅力がないでもない。
 踊りのほうはもっと評価が難しい。パリのカフェで彼女が披露するのは、純ミュージカル的な踊りではなく言わばモダン・バレエである。彼女は少女時代にバレエをやっていたし、割合良いように思う。巧拙で評価できない抽象絵画みたいなものですよ。アステアのダンスは恐らくオードリーを生かす為に抑え気味で、特に新機軸はない。

見た目で勝負するこういう映画を製作後の基準に当てはめてストレートに評価するのも問題が多い。「旧態依然」と言う人は、この作品以前の映画と比較して言っているのであろうか?
 オードリーとアステアと編集長ケイ・トンプスンが各々パリを闊歩する様子を三分割して表現する手法など当時まずなく、こうしたセンスは、分割画面が流行る1968年から70年代初めまで待たなければならない。無地の衣服を多用したり、ドアをベタ塗りにするなど腐心した色彩設計も、なかなか楽しめる。

音楽面ではガーシュインのお馴染みの名曲「ス・ワンダフル」をフィーチャーしていて、他の曲と合わせられて紹介されるところが多い。僕が「巴里のアメリカ人」で憶えた曲だが、実は30年前にフレッド・アステアが主演した同名(Funny Face)舞台ミュージカル用に書かれた曲だそうである。従って、本作はアステアにオマージュを捧げた作品ということにもなる。

個人的には、スタンリー・ドーネンのミュージカルに外れなしと言ったところ。

アステアの超絶技巧のダンスを期待すると少し当てが外れるかも。相変わらず優雅ですがね。

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